日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

短慮

2008-03-25 | Weblog
  サムエル記上13章 サウル王の失敗 
  1節は新改訳「サウルは三十歳で王となり、十二年間イスラエルの王であった。」となっている。新共同訳では、3節ヨナタンの活躍を想定するとサウルの年齢が特定出来ない。
  いずれにしても、サウルが対ペリシテ戦で極めて不利な状況に追いやられたことが伺える(2~5節)。ペリシテ軍の兵力は戦車三万、騎兵六千とあるが、ここも口語訳とは数が違う。ヘブライ語の数字の読み方は難かしい。
  8節にサムエルとの約束が出ているが、それが何時どこであったか不明。然しサウルのとった行動は、サムエルによって「愚かなことをした」と指摘されている(8~13節)。祭壇に献げ物をする祭儀はレビ族サムエルの権限であった。
  これは、11章、12章で示されていた王の権限を逸脱したことを指す。彼の短慮が犯した失敗である。ベニヤミン族のサウルには祭儀の権限は与えられていなかった。
  イスラエル軍には鉄製の武器が無かったことが戦闘の不利としてしているが(17~22節)、武力抗争がここでは問題ではなかった。

  王が祭儀・宗教を支配しようとする政治的な誘惑は、唯一絶対なる神に対する背反となる。これは15章でも起きている。

  箴言16章32節に「自分の心を治める者は城を攻め取る者にまさる。」とある。サウルの短慮は王位を失う原因となった。