相変わらず摸刻三昧であります。
先日彫った「明」という漢字一字で、偉い先生の作を模倣したものです。篆刻の基本となる篆書体はもともと、象形文字・甲骨文字を起源とした古代文字で、それから金文や小篆といわれる字に進化しました。人・魚・日・月などの原始的な文字が組み合わさって一つの字の意味を形作るのですが、その頃は、部首・旁などに定まった法則が無く、位置や向きが適当に配置されていたそうです。写真右の月が横に寝ているのです。こうしたことを覚えておくと、古い篆刻印に刻まれた文字を読み解くヒントになります。
さて、菅さんによると「明りがはっきりと見え始めた」そうであります。ワクチン接種のペースは、先進国では最低レベルなのですが、順調に進んでいると思っているのです。感染を抑え込んでいると胸を張っていましたが、世界全体では28位まで感染者数が増加しています。アジアではインドに次ぐ2位なんですね。
明るく見える理由は、ワクチン接種が国民の半分を超え、抗体カクテル療法 も有効だと確認できたからです。最近東京でのPCR陽性者が頭打ちになっているのも根拠になっているようです。
客観的にみると、桁違いの感染力を持つデルタ株はワクチン接種者でも感染し時には重症化することは明らかであります。抗体カクテル療法は有効でも、点滴による治療に生かすべき病床数が圧倒的に足らず、発症者感染者のほとんどが数万人も自宅待機を余儀なくされているのですから、その恩恵に浴するというのは、妄想に近いのです。そもそも抗体カクテルの数が圧倒的に足りていないというのが、世界的な常識なんです。
首都圏の感染数がずっと同じ程度の数値で推移しているのは、感染者が減って来たのではなく、若者が「コロナ」を土産に各地に帰省・旅行して拡散しているからであります。その証拠に、関西や九州北海道では過去最大レベルの増加数となっています。
また、パラリンピック開催に前後して、(意図的に?)PCR検査を増やしていない(検査キャパを越えている?)せいで、数値に反映されなくなっているのです。陽性率が20%という極めて高い水準は、検査数が少なく、軽症者や発熱など明らかな症状が出ている人を対象にしているせいでしょう。一般の市民や無症状・濃厚接触者に検査が及んでいないことを重ねると、もっと驚くべき数の陽性者が居る、と考えるのが自明であります。
更に、総裁選が日程に上ったために、菅さんの、オリパラ開催が成功し、コロナ対策が正しく行われている証拠として、見た目の陽性者が明らかに減って来なければ具合が悪くなってるのです。明確に見える数値などどうにでもできるというのが、安倍・菅路線の常套手段であったことは明白です。菅さんが明るいと感じたのは、二階さんのバックアップをとりつけ安倍さんが味方に付いたので、総裁続投の見通しが明るくなったからなんですね。
さて、菅さんにはハッキリと見える明るさは、ワタシには見えてきません。むしろ、どこまでもはっきりとしない闇が蒼茫として広がっているとしか思えないのです。「明晰」という言葉の対に「暗愚」という言葉があります。ワタシ達は愚かなゆえに暗く感じているのでしょうか。
やくざの親分から俳優になった安藤昇さんの「男が死んでいく時に」という歌を思い出しました。
「どうやら 今日明日でつきるようです。
最後の最後までお見捨てにならず
お叱り下さいましたことを感謝致します。
(略)
お言葉通り馬鹿でした。 寒くなってきました
そして暗くなって来ました。
お別れです。 」
お言葉通り馬鹿でした。 寒くなってきました
そして暗くなって来ました。
お別れです。 」
菅さん、暗いのを「明るく」と言い間違えていませんか?