植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

準中級者のぼやき 筆は値段ではない

2020年03月30日 | 書道
 関東に積雪がありました。昨日の季節外れの雪は、温暖でなる当地でも霙が落ちてきて、最低温度2度まで下がりました。今朝もまだ5℃の寒さであります。咲きかかったバラの蕾も、芽吹いてきた若葉も引っ込むようなお天気です。

ヤフオクでの爆買い(笑)が一段落して、心静かに書道に専念しております。様々な種類の紙と安物から高級筆まで、筆が使い放題なので、ひたすら書けばいいという恵まれた環境ですね。とはいえ、いまだ、準中級者でありますから、日によって出来栄えや調子は随分差があります。数日前に「紙頼み」のブログを載せました。

 紙一つでも書の出来は大幅に変わります。先日落札した書道用半紙「特 白蘭」4束が届きました。手漉き因州和紙です。非常に期待したのですが、現物は「半切」でした。オークションの説明は「半紙」でしたよ。半切、条幅用紙あるいは画仙紙とも呼びますが、作品用で一般的に使われる縦長用紙であります。これが1束に100枚入っていまして、正式には書道では「1反」と数えます。半紙の場合は、まとめて買う場合通常箱入りで1000枚ないし2000枚入りです。つまり、半紙4箱ではなく、半切4反が届いたのです。欲しいのは普段練習で使いたい上質の手漉き和紙でしたので残念。

 練習とは言え、機械漉きの安い紙は字がうまくなりません。明らかに下手に見えます。(本当です) いい紙がだてに高いわけはないのですよ。技量はともかくも、少しでも上手に見える字が書きたい、というのが準中級者の心理であります。半紙は数千枚の在庫があるので、すぐには困らないので、またそのうち良さそうな(安い)半紙をヤフオクで見つけたいと思います。

 それで、更に字の巧拙を左右する筆のおはなし。
わが師である藤原先生によると、いい筆かどうかは「値段でも、筆管(軸)でもないのよ」ということであります。中国の筆(唐筆)は鋒と呼ぶ筆の毛の部分の質や細工が粗末なものが多いので、筆管を竹や銘木にして仰々しく命名し、ごまかしているのだそうです。日本の筆(和筆)は、高価なものは数十万円します。中国長江で飼われる若い雄山羊の髭を使った細嫩光鋒(さいどんこうほう)の毛が最高級と言われています。管にそういう毛の種類を書いているのは高いのですが、実際は何の毛かは確かめようもないのですね。

 オークションで手に入れた5万円以上もするような筆から、数千円の筆まで、とっかえひっかえ使って書いています。いろいろな書体、いろいろな書道用紙に試して書くうちにだんだんとわかってまいります。
 やはり、値段はあてになりません。筆は、たいていは定価が小さなラベルに書かれて筆管に張り付けてあります。高い筆は古くてもはがれずに残っている確率が強いので(なんとなくワカルナー)、ヤフオクの中古筆でも元値が分かるものがあるのです。前述の最高級の羊毛筆などは、長鋒(筆管が細く筆の毛の長さが長め)が多く穂先の微妙な味わいが出せる書道家とか上級者の方が好むようです。しかし、ワタシら中級者以下にとっては扱いが難しいのです。短鋒はその逆で、筆の軸が太く、穂先が短いのです。
 また、当然筆の大きさによって貴重な毛の使用量も変わりますから、大筆の方が値段は高くなるのです。
 羊毛のほかには、鼬(いたち)、馬、タヌキの毛を用いますが、これらは剛毛筆といい、羊毛と混合して仕立てたものを兼毫筆と呼びます。

 中国では筆の要素を4徳と言うそうです。穂先がとがっている「尖」、まとまりがあって毛が揃っている「斉」、穂先が円錐形でいびつにならない「円」、程よく弾力があり滑らかに運筆出来る「健」。こういう要素が揃っている上質の筆の中から、書体によって長鋒・中鋒・短鋒、更には毛の種類を選ぶという訳ですね。
 因みに最近では、ワタシにとっては羊毛と鼬(または馬)を組み合わせた兼毫筆が書きやすいように感じています。中でもお気に入りで書きやすいのが、元値不明のプラスチック製軸の兼毫筆、恐らく2,3千円でしょう。つまりワタシにとってはこのレベルの筆で上等なのでありますな。



 そうして、最も適した筆と上質の手漉き和紙を駆使して、毎日コツコツと書いてこの程度です。上級者への道はまだまだはるか遠くであります。

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