唐突ですが問題です、この見出し写真は何でしょう
正解は京花紙であります
これに、見覚えがある方は、かなりの年配者です。ワタシたちが子供のころ、大人がわりあい大事に使っていたものですね。
先日ヤフオクで落札した、「半紙もろもろ」、1万円ほどでしたが、正直落札して失敗したとほぞをかんでおりました。
ワタシは、書道関係の出品を見ながら、画像を仔細にチェックしたり相場を調べたりというような慎重な考えもなしに適当に入札しています。低い値段ですからほとんど、他の方が落札するのでさほど問題は無いのですが、たまに入札出来たりするのです。(そのほとんどが、興味をもたれないような、状態が悪い、価値の低いものです)。
今回の半紙は、かなり古い半紙4千枚と、使用された手漉き半紙110枚というような内訳でした。学童用の低廉なものを除けば、未使用書道半紙は大体安くて一枚3~4円というところなので、妥当な線かと思いました。落札してから慌てて出品内容を調べて愕然としました。(全くあべこべ、ここがワタシのおバカなところ)
半紙と思っていたら、どうやらその半分2000枚が「京花紙」だったのです。半紙のパッケージと見まがうような体裁で、大きな社判が押印され「半紙白雪」と説明されていましたから、すっかり間違っていたのです。古い機械漉きらしき半紙にちり紙がおまけで、新品半紙の定価で買ったような気持ち、少々凹みました。
それで、段ボールに詰まって到着しました。やはり京花紙でした。これが、冒頭の写真であります。
京花紙とは、主に戦後使われたちり紙のことを指します。木材から作るパルプやら古紙を原材料にして今でも機械生産されていますが、昔は楮(コウゾ)を原材料にして手漉きにした極薄の和紙で、ご婦人方の高級な懐紙として利用されていたそうです。その後、化学パルプという木から化学薬品などで取り出した繊維を工場生産して、トイレットペーパーやティッシュペーパーが出回るS40年頃までちり紙としての主役だったのです。
現物は、そうした歴史や包装紙の状態からみて、S30年代以前で手漉きと思われます。製造元の会社は2006年に倒産しておりました。紙は非常にきれいで、透ける薄さ、そして手漉き和紙特有の白い繊維の模様が、懐かしくもあり美しくさえ感じられます。
当然、現在では、純粋の楮を使った手漉き京花紙は、生産されていないでしょう。ネットでわずかに見かける高級品はレーヨンを混ぜて強度を高めているようです。恐らく、絶滅種と言えるようなレアな和紙とも言えますね。つまり鼻紙にはもったいないのです。柔らかく薄く水をよく吸い、引っ張ると簡単に破けるため、書道にも使えず用途が限定されますね。どこまで行っても古い鼻紙とすれば、タダ同然ではあります。しかし、探しても見つからない貴重品なので大事に保管しておこうと思います。
それで、肝心の半紙「霜華」という未使用の4千枚を早速書いてみました。これが存外書き味がよろしく、適度な滲みやかすれも出ます。紙の箱には「名家ご推奨」の表記に社判が押されただけのシンプルなもの。手漉き特有のうっすらした横への縞模様もあるので、もしかしたら、昔の手漉き半紙で、普及品だったのかもしれません。練習用としては、元値には関係がなくうまく字が書ければ何でもよろしいわけですから、これは儲けものです。
残りの手漉き半紙、「墨香」という半紙は、包装紙はボロボロ、紙も茶色のシミが広範にあり、とても作品には使えません。「紙が風邪をひいた」というのは、閉め切った湿度の高いところに長期間保管したための、湿気を吸った状態のことです。この半紙は風邪をひいただけでなく、肺炎を起こして(茶色のシミだらけになり)、その後は放置されカサカサになった「枯れた」状態のものでした。しかし、十分練習に使えます。しかも、オークションの説明には110枚と書かれていましたが、実際は、約500枚近く残っていましたよ。
どうやら、この出品主は、あまり書道に興味や知識もなく、ほとんど調べることなく「ポン」とオークションに出してきたのですな。ヤフオクは、原則ノークレイムノーリターン、開示された写真と説明書きを自己責任でチェックして入札するものです。仮に、写真と全く違うものが送付されたら連絡はしますが、写真通りの現物が届いたのであれば、価値や損得は運みたいなもの、くじ引きや占いと思えばいいのです。今回の「取引」しまったと思ったほど悪くは無かったようです。
教訓「オークションは、入札する前によく調べるべし。」
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