ブログと園芸というルーティーンの作業と並行して、こつこつ篆刻を学び実践しております。ほぼ100%独学独習なので、才能が開花するとか、立派な作品を彫り受賞するなどといった栄誉に浴する将来があるとは思えませんが。
ワールドカップやら自治会・小イベントなどでなかなかまとまった時間がとれませんが、それでも30分の空きを見つければ大東文化大の篆刻テキストの摸刻に取り組んでお有ります。通いもせず授業料も払わず、ただで大学の講座を受講できるという、まことに厚かましくもお得なコースでありますな。
現時点では、篆刻で基礎となる「章法」に関わる造形の技法を学んでおります。印面に文字をどう配置するか、文字の変化や連繋などの調整・レイアウトに先人が培ったノウハウを会得しようということになります。この歳になるまで一度も目にしたことが無いような「均布・穿挿・屈曲・挪譲・・・」などといった特殊な用語が出てまいります。その各項目に該当する古の印人の印を摸刻するのであります。現段階ではやっと30数個、そのコンセプトはあれこれ考えず、テキストの順に片端から闇雲に彫る、彫残しや布字のミスは気にしないであります。(笑)、どう彫ろうが誰も指摘したり怒る人は居ませんから。
こんな感じであります。オリジナルは趙之謙・徐三庚・呉 昌碩・ 河井 荃廬 (敬称略)など錚々たる篆刻家さんの印影ですが、残念ながらワタシは片手間に彫っており、ほとんどワタシのオリジナルと化しております。
これと同時に、もう一つの大事な仕事が「印材」収集であり、ヤフオクのチェックが欠かせません。というわけで、ごく最近入手した印の紹介であります。ただし、予めお伝えしますが、ワタシの印材に投じる資金は乏しく、せいぜい数千円程度で落札している安物が殆どなのです。
まず、最初がこのブログで再三登場する印材の中国三寶「田黄・鶏血・芙蓉」の類似品であります。どれも、真正の品ならば数万円から軽く数十万円するものであります。
まずはコレ。
田黄まがいの大きな印材です。数人の高評価点の方が数件入札していたものが、5千円弱の落札価格(爆)。雑な側款と紐(持ち手の彫り)、共箱は安物で壊れており、真っ赤な偽物であることは明白で、ワタシはダメ元、せめて自然石であって欲しいと応札したのでした。これが本物の田黄石ならば、重量から計算すると50万円以上するでしょう。
届いたものは、やはり田黄とは程遠いものでした。それでも自然石である可能性は大であったのです。樹脂や石の粉を練って作った人造石は、印刀を入れるとすぐにわかります。ぐずぐずした彫り心地で、彫りカスは、プラスチックなどに似て薄い膜のようにくっつきます。しかし、これは、黄色い微細な粉が出るのです。角を深めに削って磨くと自然石のような艶が出ました。ただし、その生地は半透明な灰色であったのです。流通品の灰色の凍石を植物の樹液と一緒に長時間煮込んでそれらしく着色したものではなかろうか、と思います。全体を削って元の石の姿にするのも手間ですね・・・
お次はこの二つ。飴色に輝く透明度の高い石で、切り出した大きな石を薄く自然石形に整形したものでしょう。表裏共に、人物・風景の薄意が施されています。石自体は透明度が高いもので黄白色の層が流れており上品とは思えません。しかし、田黄石ではないにしてもさほど悪いものでは無いですね。
一方、右の方形の石は昌化鶏血であります。血の割合がとても少ないので、新鶏血の中でも、安い下の方に分類されますが、千円なので文句は言いますまい。下手な彫りと側款はすでにすり潰しました。
最後は凍石類の4本であります。凍石とは、緻密な材で一定以上の透明度・艶がある石に付属的につけられる名称であります。これを産地や外観・採掘抗などの後ろに付けて「〇〇〇凍(石)」と名付けられるのです。
最も高価で、まずお目にかかれない「燈火凍」はじめ、水晶凍・天藍凍・牛角凍などは、総じて一本数万円するような高級石材に分類されます。
そこで、このところそうした凍石、出来れば水晶凍や牛角凍を入手したいと物色しているのであります。
写真の石はいずれもそれなにりに手が込んだ紐・側款があるで決して駄石とはいえません。
左から「丹東黒緑凍石(5000)」「牛角凍(4290)」「老芙蓉石(2900)」「??(5000)」出品時の説明書き、( )内は落札額であります。
左から二番目は10本ほどまとめて出品されてた中にあって、なかなかのものに見えたのです。
まぁ。どれにせよ一個数千円の代物なので、無価値のつまらない石だとしても騙された・つかまされたと大騒ぎすることもありません。勉強代と思えば安いものであります。現在凍石系のコレクションが少ないこともあり、ヤフオクでもうしばらくは「授業料」を払いつつ、似たような材を集め、研究いたしたいと思うのです。
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