衆議院選挙も開票が終わりました。自民党とその関係者、利権にあずかる業界の皆様おめでとうございます。
失われた30年で、格差社会・少子高齢化が進み、一向に上向かない日本経済ですが、現状維持で結構、このままのじり貧で構わない、と国民が自民党を選んだのだから、文句を言わず今まで通り、自公連立のやりたい放題の国政を見守るしかありませんね。
さて、昨日のお宝の鑑定結果であります。残念ながらワタシには、古美術品の鑑定眼も無ければ、古物品の相場観もありません。勿論売買などの経験も無いのでこれからはあくまで推論、独り合点の独断鑑定であります。
まず、「呉昌碩 」さんの名前と漢文が彫られた角印は、呉さんとは縁もゆかりもない素人さんの作印と断じましょう。画家としても名高い呉さんが彫ったにしては、側面の絵が下手くそなのが決め手です。彫った印面の文字にも魅力が無く、安い印刷物みたいな印字でした。
想像するに、数十年ほど前に、中国の「松南書屋」という書道具店に出入りしていた趣味で書をやっていた人が、店の主人に頼まれて店の印を試しに作ってあげた、というところでしょうか。呉昌碩さんの模倣印で金をだまし取る、というような意図は感じられません。古い時代の印材ということと、石自体大きいので再利用の価値をみて、評価額は2千円というところか。
近年、篆刻に用いる印のほとんどが石材であります。普及品の一般的な印材でも、時代物、古いものほど値段が高くなります。最もポピュラーであった青田石も、時代を経た古青田と、今売られている市販のそれでは、全く見た目も触感も異なり大きく価格差が生じています。
当然ながら石が熟成したり、数百年の生産時期によって石質が変化するからではありません。篆刻が盛んになったのは、簡単な道具で、非力な人でも簡単に彫れるヨウロウ石が発見されたおかげです。これが全盛期の2~300年くらい前から、盛んに採掘されたのです。当初は、豊かな埋蔵量があり良質なもの、美しい石が高く売れるので、そちらを争って採掘します。いいものが先に掘られ、売られていくので古材は高品質のものが多いのです。現在では多くの希少材が枯渇し、質の悪い石やアフリカ産の印材まで売られています。
畑の地下に埋もれていた丸い田黄石の小石は掘りつくされ、幻の石と呼ばれる「艾葉緑」という美しい深緑の石などは、すでに鉱脈が尽きたそうです。
また、地中深く眠っていた石が、切り出され磨かれその美しさゆえ数百年も愛玩されて来ると、空気に触れ、人間の掌の皮脂などが付着するうちになんとも言えない古びた味わいのある色合い・風情となるのです。
さて、肝心の「徐三庚作」と刻まれた瓦紐、古い凍石の印であります。結論から言えば、割合良い石を使って、腕に覚えのある人が作った程度のいい模造品ではないかと思います。数十年前に作られ、蒐集家にそこそこの廉価で引き取られた、というような品物では無いかと。買う方も半信半疑で、安いからまぁいいか、といったノリだったかもしれません。
通常篆刻家さんの作ならば、最低でも布箱に入れて販売します。これだけの大きさで本物ならば、あつらえて作る木箱に収納し、箱書きもあるでしょう。それが無いということは、所有者が偽物であることを見抜きぞんざいに扱っていた、共箱などは紛れない様に処分したと考えるべきかもしれません。印のあちこちに細かなアタリ傷がついているのは、むき出しで保管されていた証拠であります。
篆刻印の製作注文をすると、最低でも数千円、ちゃんとした名のある篆刻家さんに頼めば2,3万円の値段を要求されます。さもありなん。高い技術料を差し引いても、最低1,2日をかけて製作する人件費だけでもその位になります。高価な希少材を使えば更に値段は高くなります。ですから、たとえ贋作・模造品であってもかなりの原価がかかっているのです。
以上の事等を加味すると、この丁寧に細工された良質の古い印材は真作ではないとして、その価値は1万円程度と見ます。
最後の龍の手彫りの紐(飾り彫り)の評価です。その印材は、見た目100年程度は経過している寿山石で、キャラメルのような美しい色合いと艶やかな肌理があり、自然の丸石に彫刻したものと断定します。印面の文字はどうみてもプロの篆刻家の手によるものには見えません。ワタシがやった方がまだマシとしたものです(笑)。石の希少性、丁寧で細密な紐が施された一点ものの良材としてみれば、最低1万円、蒐集しているお好きな方なら2,3万円でも欲しがるかもしれません。そこで、ワタシの評価額は15千円といたします。
ということで、ワタシがオークションに要した25千円は、価値を低めに見てまぁ妥当なところであったとしておきましょう。自分の授業料、教材の購入費と思えば腹も立ちませんね。
この程度ならばあえて専門家に見せるほどのことも無し、ちょっと宝くじを買って、いつまでも当選番号を見ないで楽しみをとっておく、といった心境であります。
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