ヤフオクで落札した石印材で真っ先にすることは、「石を磨く」であります。
まず、特に田黄石(擬きを含む)の場合人造石である可能性、あるいは安い天然石を田黄石に見せかける細工をしているかをチェックするのです。
例えば、この4千円で落札した「田黄」と説明書きにあった石。ワタシもこんな角石で光沢のない石、しかもたった4千円で印材の王様田黄石が入手できるとは思っていません。ここ半年以上前から印材の落札価格が異様にヒートアップして、体感的には以前の2,3倍くらい出さないと落札できないという状況なのです。
そこで、コレクターのワタシもいわば時間つぶしでヤフオクの出品物を眺め、安かろう悪かろうを承知で入札するという状況に陥っているのです。この石もそんな感じで、ありました。もう届いた瞬間から4千円の価値が無いことは確信しました。すぐにサンドペーパーを濡らして磨いてみたのです。
ザラっとした風合いでいかにも田黄の色に似せておりますが、案の定中の地色は薄い灰褐色でありました。細めのサンドペーパーで更にこすっても透明度は低く「艶」も出ません。彫りやすいかどうかは別にして、正体不明の駄石であります。
ついでに同じ業者が出品していた「田黄石標本」というものは1,000円で一緒に落札したのです。石の大半が白っぽい雑質の石ですのでそもそも印材には不向きであります。しかし、ちょっと全体を丸く磨いて彫れそうな場所だけを平らに磨けば使えそうなものに見えました。1個100円しないものなので、損も得もないレベルですね。
そうはいっても、明らかに粗悪な代物を平気で出品して欺く。というスタンスに見えます。そしてその評価は約400件の成約で92点!、これは驚異的な悪い評価点であります。落札者の10人に一人が悪い、という評価をしているのは滅多にありませんよ。もう速攻で「ブラックリスト」に載せました。これで間違えて次に入札することはありません。こういう人はいずれ締め出されると思います。その時には得したようでも、長いスパンではいつか凋落の日が待っています。
ビッグモーターも今回倒産したパチンコ「ガイア」も然りであります。
一方ワタシが「フォローリスト」に載せている出品者さんが3者います。これらの業者・個人は①商品説明が正確 ②きちんとした鑑定眼があるので偽物・まがい物がない ③良質の印材を提供していて入手したものにも満足できる、といった方たちであります。
これがそのお一人から最近落札したものです。
写真上は、1番上のものが「天青石」という初耳の石で、水色が美しく、てっぺんの茶色の部分が表面の殻であったと思えるものです(2,700円)。この種の石は大変珍しくコレクションに加えたいと思いました。左の薄い透明度のある紐(ちゅう)付きの石は「老性芙蓉」と書かれていて、「黄芙蓉」という銘石と思われます。側面にも全面に細かな細工が施されていて、石の価値の高さを想像させるものです(3,600円)。白っぽい丸石は「善伯 瓦紐」と表示されていて上部の丸い小さな穴に紐を通すようになっています。善伯洞は良材を産することで有名な印材の産地(水坑)なのです。(1,000円)
下の写真は「青田石」です。左の石は藍星の入ったものでワタシが好きで4,5本保有しています。藍色の部分が広いほど珍重され高価になります。(1,400円) 右の小さな2つの石は「封門」と言われる青田石の中でも最上位とされる良質な材でありますが、ワタシ自身今一その区別や特徴が理解できていないのです。信頼できる出品者による石の種類説明なので、よく磨いてみて一般的な青田との違いを観察しようと思いました(1,000円)。
ついでに今とても興味深く、疑心のうちながら期待を膨らませている石があります。10/15に1,500円で落札した「パリン(巴林 )灯火凍」であります。
中国篆刻の祖と言われる「文彭先生」は、それまでお抱えの彫師に象牙を使って印を彫らせていたのですが、たまたま入手した「燈光凍」を彫ってみたら、これが気に入って以来自分で石を彫るようになったというエピソードが残っています。ワタシはその燈光凍なる幻の印材を探しているのです。出品物の説明「灯火凍」とはちょっと違うのです。本物が1500円のわけがない、やっぱり別ものなんですね(残念)
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