植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

優しい春の雨

2021年03月02日 | 植物
 明け方に降雨があり、今朝は地面が湿っておりました。やんだばかりと見えて、コンクリートはまだ黒く濡れていますが、土を触るともう乾きかけ、久しぶりの雨も雨量はわずかだったようです。僅かでもこの時期の雨はうれしいのです。

 昨日、ようやく今年1回目の消毒作業を行いました。数種類の殺菌剤をブレンドし、千倍に希釈して、およそ60本のバラと三本のブドウの枝や幹に噴霧いたしました。昨年より二日遅れの殺菌ですが、バラはすでに若葉が赤く芽吹いており数週間早いような印象であります。これを一回やっておけば、5月の開花シーズンには青々とした葉っぱが茂るのです。
 ブドウだけは、雨に当てないで育てる、という長年(笑)の課題があり、ようやくビニールの覆いを被せる作業に入りました。これはなかなかの難工事なのです。まだ1/4ほどしか進捗しておりません。

 すでに冬の間に幾度か、お礼肥・寒肥として牛糞やたい肥などを施しております。これから気温が上がり生長期に入りますから、今日明日には「ハイポネックス・メネディール・万田酵素」などを混ぜたカクテルをやります。こうした液肥はなんといっても即効性があります。足りない水分補給と合わせてこの時期大変有効です。
 人間と同じで、たまには精の付くものを食べさせなくては。とはいえ過度の肥料は、徒長といって枝葉ばかり茂り花がつかないという現象を引き起こします。また、バラや植えたばかりの野菜苗などには、強い効き目の肥料は禁物です。一般的には直接根に触れるような施肥は、肥料やけをおこし、根を傷めます。株元から少し離すとか、肥料をやって耕して1週間ほど土になじませてから植え付けするなどの配慮が必要です。

 また、スーパー肥料の鶏糞・ぼかし肥料などは、効き目が強すぎるので、少量にとどめたりバラなどには避けた方が賢明です。野菜などの元肥にも有効ですが、少なめにしよくよく耕して強すぎないようにします。ワタシはもっぱら多肥を好む果樹を中心に土の上に撒くようにしております。

 今年一回目の「ぼかし肥料」作りは10日経過、すでに発熱も収まり上出来であります。米ぬか・油粕などを1週間ほど発酵させて作るぼかし肥料が、マイ農法の主役であります。
 先日訪ねた郊外の「柏木牧場」で敷き藁・飼葉が混入している牛糞を飼ってきました。市販されている牛糞とは全く別物、乾燥した藁と牛糞そのものなのです。これを、果樹やばらの株元に敷きこんでおくと、長い間にゆっくり分解されて優しい肥料になります。

 有機栽培と言っても、有機肥料だけではなく、化成肥料や消石灰なども補助的に使います。毒性の弱い殺菌剤はいくつもの種類を複合して使い、無数にある病気・ウィルスに負けない様に多用いたします。

 そして、間もなくやってくる啓蟄、これが害虫たちとの半年以上に及ぶ試合開始のゴングであります。これは、農薬を使わなければとうてい抑えきれません。無農薬は消費者のエゴ、無農薬で無傷の野菜など作れません。目視と手作業で、害虫駆除はいたしますが、食用以外の草木・バラには容赦なく農薬を撒きます。土中に潜むヨトウムシ・コガネムシの幼虫なども専用の農薬は欠かせません。

 ここ数年目立つ「カイガラムシ」これも被害が大きくなってきました。いつの間にか葉の裏や茎の付け根にコロニーを作ります。べとべとして始末が悪いのです。歯ブラシでこそぎ落とす、のが最も有効ですが、観葉植物などは葉や茎を傷める心配があります。また、バラは数が多くてとうていすべてやりきれません。室内の植物は、書道用筆の質が悪くて使い物にならない中国筆を活用します。屋外は、もう構わずネオニコチノイド系の薬を使います。カイガラムシの表面が水をはじくので外から吹きかける殺虫剤は効かないのです。浸透移行性がある農薬を使って、植物のエキスを吸ったら死ぬ、という駆除しかありません。

 今朝は、4年目を迎えたスモモ「貴陽」にびっしり花蕾が付いたのを発見しました。
他の桃やプラムは植え付けて翌年には実をつけたのに、3年間葉っぱばかり、しかも大量のアブラムシが発生しました。昨秋、伐ってしまうかしばし悩みました。が、来年駄目だったら処分するか、と思いとどまったのです。
そうして時を同じくしてプラム「サンタローザ」にも蕾が付きました。 
これは、まさに思惑通り・わが意を得たりというものです。サンタローザは花粉量が多く、近種の授粉樹になります。一方「貴陽」は大実種で美味しいのですが自家受粉しません。その開花がピッタリ合えば、授粉は確実になります。もし数個でも実がなれば、苦労して育て処分を思いとどまった甲斐があるというもの。遠くで暮らす次男には、たとえ一個でも送りたいと思います。

 肥料も農薬も「水」あってこそのガーデニングです。雨はウィルスを運び、植物にとりついた菌は、暖かくなると雨に濡れて増殖し拡散します。一方ですべての植物は雨などがもたらす水分で生きながらえます。ワタシは、自然の中で雨や水とも上手にバランスを図っていくのが一番難しいのだと学びました。

 そんな風にして、好き勝手に我流ガーデニングを楽しんでおります。バラも果樹も毎年確実に生長しております。失敗しながらも経験値を上げ、少しずつではありますが、ワタシも成長しているようであります。

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