植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

どこかの話と同じ構造 未成年者(男の子)に対する性虐待

2023年08月23日 | 時事
何度も申しますが、ワタシは宗教には幼いころから距離をおいていて、いまだに無宗教・無信心であります。母方は代々続いた「神主」の家系で大分の郡部に寂れたお社が残っています。ワタシの祖父は神官で、実兄も神職にあります。

一方、父親は仏教徒で、事あるごとに「南無阿弥陀仏」と唱えていましたが、大分の実家には仏壇も神棚もなく、お正月に神事を行ったりすることはありませんでした。そんな家庭で育ったせいか、高校生の時に「宗教はアヘンである」という言葉を歴史の授業で聞いて以来、やはり宗教には関わりたくないと思ったものです。

社会人になってからも社会的な儀式として宗教的な行事には参加しましたが、明確に何かの宗教を信じる気にはなりませんでした。世界で起こってきた多くの戦争の背景には「宗教戦争」の意味合いもあり、自由主義圏と共産圏、キリスト教とイスラム教などが対立軸になっていたのは事実であります。そして日本人の心に焼き付いた悪しき事件「オウム真理教」の一連の騒動は、宗教が持つ犯罪性や陥りやすい危険を再認識させられたのです。

そして、数日前WOWOWで偶然観た映画が「スポットライト 世紀のスクープ
(原題Spotlight)」でした。ボストンの新聞社グローブの記者たちが、カトリック教会の多くの牧師(聖職者)による未成年者への性虐待・性行為をスクープして大々的に公表した一連の事件を映画化したものです。2002年に実際に新聞でスクープされたこの問題をきっかけに、キリスト教圏の国々で次々に同様の犯罪的行為が明るみに出たのです。

内容は、十名以上の神父が家族や経済的に問題のある未成年の男女の子供に、性的虐待をしていながら、ほとんどが弁護士によって表ざたになることなく、対象になった神父もほかの教区に転属になることでうやむやになった。
被害者の多くは口をつぐみ、その被害が語られることもほとんどない、報道機関や関係者にはキリスト教会側から様々な圧力がかかり、証拠も隠蔽されていたのを、グローブ社の記者たちが粘り強く取材して一つ一つ掘り起こして、証拠や事実を積み重ねていったのです。

そこには伝統的なキリスト社会という大きな壁があって、聖職者の行為にはアンタッチャブルであった。被害者は幼く心に傷を負ったまま誰にも相談が出来ずに成人していったのでした。ワタシがこの映画で強く記憶に残ったのは、聖職者は、基本的に結婚や恋愛が大きく制限されているので、隠れて子供たちに性欲のはけ口が向けられている、という構造的な原因でありました。キリスト教がどんな教義なのかは良く存じませんが「汝姦淫するなかれ」という戒律がキリスト教に深く根差しているのはワタシでも知っております。

この実話をもとにした映画を観ていると、あの「ジャニーズ問題」と酷似していることに気づきました。ジャニーズ事務所が、絶大な未成年タレントの人気を武器に、芸能界を支配し絶対的な発言力や放送界への影響力で喜多川氏の許されない行為を黙認し目を背けてきたのです。それまでも週刊誌からそれらしい問題提起されていたにも関わらず、放送局やそれに連なる報道機関は取り上げることもなく、数十年にわたって数多くの十代の少年が餌食にされたのが、今になってようやく被害者の口から語られ、民放でも取り上げずにはおれなくなりました。

映画と異なるのは、本人が死去した後で「死人に口なし」として、事務所の関係者はいまだに記者会見も開かず、事実関係の開示もいたしておりません。知らなかったで済まそうとしております。全貌が明らかにならないのは、被疑者死亡で証拠がないために警察も動きようがない、ということかもしれませんが、少なくとも存命の時でも無視していた法曹関係者や警察の責任も重いと思います。少なくとも20年前に喜多川氏の行いは裁判所が「青少年保護育成条例」に違背していると判決を下し、わずかな賠償金の支払いを命じていますが、そんな軽い民事的な罪ではなく、刑事罰として扱うべき事案であったのです。

今年3月に、BBCの長編ドキュメンタリーでジャニー喜多川の悪行が公開されたのです。そして、ここにきて業を煮やした国際機関「国連人権理事会」による調査が7月に行われました。ジャニーズ事務所のタレント数百人が、喜多川氏によって性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった、日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担した」と見解を述べています。

日本には自浄作用が無く、世界的にも後手に回っていると言われても反論できない対応の遅さ・酷さは、日本人として恥ずかしく思います。
純粋で大人に逆らえない子供の心理を悪用して、肉体と心をむしばみ、ビジネスやお金のために 多くの関係者がそれを黙殺してきたことを重く重く受け止めるべきでしょう。

亡き安倍元総理は、ジャニー喜多川の死に「業績を讃え、人徳を称賛する」弔意を送ったそうです。

未成年者に対する強制的な性行為に対する法律の規定が甘く、やりたい放題であったのです。男は性被害の対象にはなりえないという古い観念が支配し、13歳以上なら、無理やり強制した証明が無ければ、強制性交等罪や強制わいせつ罪は成立しないという、現実離れした規定が100年近く変わらなかったのです。 

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