米国と中国のバトルが止まらない。お互いに関税をかけあっていったい誰が喜ぶのだろう?
トランプは、「中国からの輸入品に関税をかけた分はアメリカの儲けだ」というような発言をしているが、本気だとしたら小学生並みの理解力だ。
結局最後はアメリカの国民が負担することになる。
同様のことは中国にも言えるわけだ。
トランプにしてみたら、中国が一歩も引かないということは完全な読み間違いだ。
すぐ折れる安倍晋三などに比べたら習近平はしたたかだ。
習近平の本音は適当なところで折り合いをつけたいのだろうが、トランプはコロコロ気が変わるし、中国も「メンツ」を重んじる国だから簡単にはいかない。
この争いに決着をつけるカギは「アメリカ国民」が握っている。
この争いがアメリカの国民の消費生活に影響を与え始めたらアメリカの国民も黙っていないだろう。
トランプは再選を目指してありとあらゆる手を打ってくるだろうが、今のところ一番手っ取り早い方法が、日本を「ATM(現金自動引き出し機)」にすることだ。
「シンゾー、戦闘機を買ってもらおう、それから麦と大豆、トウモロコシもだ」というようなレベルであろう。
結局日本にも米中貿易戦争のつけがまわってくる。
トランプが唱える「強いアメリカ」は、建国時のような模範たる思想や理念もなく、あるのはアメリカだけが強ければよい、というような利己主義だ。
もしもう1期、トランプが大統領を続けたら、アメリカの衰退は歯止めがかからなくなる。
その上、友達もいなくなるだろう。
同盟国たるNATOの国々や日本、韓国などにも貿易戦争を仕掛けているのだから論外な話だ。
一方の中国も危ういが、輸出がだめなら内需を喚起するという「のりしろ」がある分、長期戦になれば中国優位に展開するだろう。
日本は対米従属外交一辺倒では、これからの「Gゼロ」の世界を乗り切っていけない。
明治の元勲大隈重信は次のように述べている。
「国を保つには、すべて自力でやらなくてはならない。他国を頼りにしてはいけない。他国を頼りにすれば、かえって自己の存在力を弱め、国は亡びるしかないであろう」
もっとも明治の「富国強兵策」が、やりすぎてしまって無謀な太平洋戦争に行きついてしまったという反省は必要だが、「自立自尊」の精神は絶対に失ってはならない。
ただ大隈はこの発言の段階で、「あの大国(支那)は、決して他国によって征服されることはない。もし、支那が滅ぶようなことがあるとすれば、それは自滅であって、外からの攻略によるものではない。」と述べ極めて自制的である。