国会論戦の華と言われる予算委員会が始まった。
新聞、テレビやネットなどで得る情報とは違って、国会の論戦は野党側の切り込み方によって「フアクト」が明らかになってくる。
隠ぺいや改ざんを専らにする安倍内閣にとってやりたくないものの一つであろう。
今日の予算委員会は約半年ぶりだ。
立憲や国民が統一会派を組んだことによって重複質問が減り、論戦の質が高まることを期待したい。
野党のトップバッターは国民民主の玉木代表だった。財務省出身だけあって切り口は論理的だ。
日米貿易協定に食らいついていた。
質問によって明白になったのは、安倍首相が言う「ウイン、ウイン」の関係で結ばれたなどとはとても言えない代物だということ。
2国間の貿易協定にはWTOにおいて決まりがある。
①実質上すべての貿易関税の撤廃率はおおむね90%以上になること
②妥当な期間内(10年)に廃止すること
ところが日本が輸出する自動車に25%の関税を交渉中はかけない、という内容は安倍晋三とトランプの口約束で決まっているだけ。
また日本から輸出する自動車や自動車部品の関税は、さらなる交渉は約束されているが、関税撤廃は約束されていない。
おそらくWTO違反の代物になるだろう。
如何に相手がトランプと言えども、日本が戦後国是としてきた「自由貿易の旗」を自らの手で引きずり落したようなものだ。
3番手の質問に立ったのが今回統一会派に加わった馬淵澄夫だ。
2年間の冷や飯暮らしで一回り人間が大きくなったような気がする。2017年衆院選の落選組のフォローに意を尽くしているようだ。
関電裏金問題に食らいついていた。ビジネスマン出身だけにこういう問題は裏表知り尽くしている。
菅原通産大臣は、自身の個人的なスキャンダルが標的になっているうえに、所管の関電問題で集中砲火だ。
関電裏金問題は関電だけにとどまらず政界(すでに稲田前防衛大臣や世耕前経産大臣にカネが流れている)にも波及するだろう。
かって自民党で将来の首相候補と言われた中村喜四郎が、無所属ではあるが野党統一会派に所属し、「水戸老侯」的な動きをしている。
(衆院茨城7区)
次のような発言をしている、
「私の目標は、国民が政治への関心を取り戻すことです。野党がしっかりとした主義主張、戦略をもって与党に迫っていく。一番良いのは、野党が政権をとることです。ただ政権交代しなくても、野党が50議席増やしたら政治に緊張感が生まれる。自民党に”このままでは生き残れない”と自浄作用が生まれる。保守に路線を切るばかりでなく、リベラルに切ろうという動きが生まれる。野党が自民党と本当のせめぎあいをすることが、日本の再建につながる。それこそが民主主義です」
まったくその通りだと思う。
この数年来の政治における緊張感のなさが日本全国に蔓延している。
小手先の対応策に終始して長期的視野で打つべき政策がおろそかになっている。
まさに日本は長期的衰退の過程に入りつつある。
日本再建に残された時間はあまりないことを知るべきだろう。