日本の勤労者の実質賃金は十数年マイナスが続いている。
理由はいろいろあるだろうが、労働組合とそれをまとめる連合の力が弱まったことが大きい。
ところが、そごう・西武の労働組合が、雇用維持を掲げてデパート業界としては60年ぶりにストを行った。
勇気ある決断だったと評価したい。
浮き彫りになったのは、親会社セブン&アイホールディングス(組合がない)のだらしなさ。
そしてこのストのおかげで雇用の維持は守られることだ。
米財務省は、労組の組合員の賃金は、非組合員より10~15%高いとする調査結果をまとめた。
イエレン財務長官は「労組には、この数十年間の著しい不平等の拡大を反転させ、経済全体の成長を促す可能性がある」と語った。
そして米国では労組結成が相次いでいて、21年10月~22年9月前年同期を53%上回っているという。
迷走を続ける日本の連合の芳野会長は、この事実をどのように考えているのだろうか?
自民党にすり寄っておこぼれにあずかるという姿勢は改めるべきだ。
勤労者の権利を堂々と主張して所得水準の向上を図るべきだ。
更には非正規労働者を組合に加盟させるという運動も行うべきだろう。
この数十年間、勤労者の賃金が上がらない国にしたのは、もちろん政府や経営者の側にあるのだが、労働組合が「御用組合」に甘んじ、経営側の手先のように動いてきた結果でもある。
「民主的労働運動」の堕落と言って良い。
今こそ本来の労働運動の姿を追い求めるべきだ。