石破首相は施政方針演説で、これからの日本は「楽しい日本」を目指すべきだと述べた。
「強い日本」と「豊かな日本」を実現したから「楽しい日本」を目指すというふうに解釈できる。
これが、石破茂の時代認識だとしたら、彼の頭の中の時計は30年ほど前から進んでいないようだ。
日本は明らかに「豊かな国」(一部の人間はそうかもしれないが)から滑り落ち、「貧しい国」の入り口にたたずんでいるのだ。
「令和の日本列島改造論」というシナリオも気に食わない。
そもそも日本列島改造論は1970年代に田中角栄が唱えたもので、確かにこの時は盛り上がった。
「今日より明日はよくなる」と信じた時代でもある。
ところが現在は東京一極が進み、さらには格差も拡大している。
そんな時代に必要なのは、倉庫から古い証文を引っ張り出すことではなく、「新しい産業を創造」することなのだ。
日本は世界に先駆けて多くの課題を抱えている。
少子高齢化、エネルギー問題、都市の過密と地域の過疎などだ。
これらの課題に解答を出していく役割が日本の進むべき道なのだ。
一国の首相は、国民が元気になるような夢のある話をしてほしいものだ。
Boys,be ambitious!
クラーク博士が札幌農学校に別れを告げる時に、このように叫んで林の中に消えていった。
「少年よ大志を抱け」と訳されているが、このあとに「ライク・ジス・オールド・マン」という言葉がついていた。
「少年たちよ、私のように覇気をもて」と訳した方がいいような気がする。