哲学者の梅原猛は次のように語る。
東アジアは一触即発の状態にあるかもしれないが(2013年5月)、そのような危機も平和憲法の下で解決を図るべきではないか。
平和の理想を高く掲げ、内に死を賭して戦う強い軍隊を持つ国には容易に外国が攻めて来るとは思わない。
私もまったく同感である。
現憲法はアメリカから押し付けられた憲法だから自主的憲法を作らなければならない、という声が大きくなっている。
アメリカはこの憲法によって二度と日本が戦争をする国にしない、という狙いで作ったのは事実だ。
ところが朝鮮戦争(1950年)が勃発すると日本を再軍備させて朝鮮戦争の最前線で戦わせようという動きがアメリカに起きた。
しかし時の総理大臣吉田茂は、この憲法を逆手にとってアメリカの要求を拒絶した。
これ以降日本は「軽武装・経済重視」で稀有な発展を遂げるのである。
最近も中国による台湾侵攻の動きから軍事費の倍増や敵基地攻撃論などの極めて危険な動きが起きている。
アメリカの狙いははっきりしている。
台湾防衛の前線で日本を戦わせようとしている。
この動きに自民党右派(安倍派)が絡んでいた。
岸田首相が安倍派取り込みを狙ってハト派からタカ派になると俄然東アジアはきな臭くなる。
専守防衛に資するものや装備の近代化のための防衛費増額は大事だが、金額ありきの論議はナンセンスだ。
さらには、核共有論や非核3原則の見直しなどは論外。
戦争の惨禍を知らない政治家が大部分になった。
しかも民主主義の大前提の「法治主義」に対する理解が著しく欠けている。
だから法律にもない「国葬」を閣議だけでやろうとしたり、憲法20条の政教分離の原則を理解していない。
現在の憲法を守れずになにが「憲法改正」か、顔を洗って出直すべきだろう。