メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

意地悪なモンスター

2018-09-07 20:18:56 | 咲人
「私、あなたに質問があるんだけど。。。」

「どうぞ」

「その……今日私たち、あまり良くない会話をしたじゃない?」

「……ああ」




咲人の声がちょっと、優しくなったのを感じた。




「正直、私はこれからも、あなたと話したいと思ってるけど……」

「うん?」

「心配しているの…その、あなたは、もう私に連絡してこないんじゃないかって…」



Waitと 咲人が割り込んだ。



「メイサは、俺にもう連絡するなって言ってるの?」

「いや、違う。そうじゃないんだけど」

「ごめん俺よくわかってない」

「そ、そうよね。ごめんごめん、えーと」



実は、このとき私の使った表現が少しややこしかった。
私は「あなたが連絡してこないことを恐れている」と表現したかったのだが、
彼には「あなたは私に連絡してこないはずだ」と伝わってしまったのだ。
彼がそう取り得る表現なのはわかるので、自分のせいだとすぐに気がついた。
私は、えーとえーとと違う表現を探したり説明し直したりしたが、どうもうまく伝わらないようで、
咲人はひたすら悩みながらOKを繰り返していた。(OKじゃないやん)



「えっと……わかってないよね?」

「うーん。正直に言うと、うん、わかってない」

「わかった」




ふぅ、と私はため息をついて、仕切り直した。





「咲人、あなたが好きよ」





咲人はワンテンポ遅れてOKと言った。
さっきまでのOKと違う声色だった。




「だから、私はこれからもあなたと話したい」

「うん」

「でも、あまり楽しくない会話をしてしまったから…」

「うん」

「あなたはこれからも私と話したい?私は……あなたを失いたくないのよ」




全部言い終わると、私は一仕事終えたような気持ちだった。
これは告白じゃない。
ただの人としての好きだと、多分彼もわかってると思う。
誤解を招きそうなこんな言い方したかったわけじゃない。
けれど、これくらいストレートに言った方が意味がわかるんじゃないかと思った。
愛おしすぎるような言葉を吐かれた後で、咲人は少しの沈黙の後、話し始めた。



「たしかに君の言う通り、俺たちは今日、楽しかったとは言い難い会話をしたと思う。
それはまぎれもない事実だ」

「そうね(ホント面倒くさい喋り方するなこいつ)」

「でも」




一呼吸置かれた。




「俺の中では何も変わってないよ。
これからも君と話したいし、これからもっと君のことを知りたいと思ってる」





咲人………。



こみ上げる思いとは裏腹に、私はフン!と鼻息をついた。




「正気?」

「何が?」

「ちょっ、だから!あなたは私とまだ話したいとか色々言ったでしょ?本当に?って聞いてんのよ」

「本当だよ」

「ふーん?あ、そ。」

「それに、君は俺のメールアドレスを知ってるだろ」




は?




「知ってますが…それが何か?」

「何か有事の際にはそっちに連絡してくれれば、確認して返事を書くよ」

「……で?」

「だから、君が俺を失うことはないよ」





(°▽°)





「あのぉ……そういう手段的な意味で言ったんじゃないんだけど」




すると咲人は、こともなげにペロッと答えた。




「知ってる。からかっただけだよ」




ちょっ、

ハァー?!



私はへたへたと力が抜け、ソファに仰向けに倒れた。
そしてすぐに笑い出した。




「なんで笑ってるんだ?」

「そら笑うわ!(笑)」

「そうか?」

「もぉ〜〜〜……。咲人、ホントに意地悪」



ため息まじりにそう糾弾すると、咲人は笑いもせずに答えた。



「Yes, I am.」

「すっごく意地悪」

「かもね」

「なんでそんなに意地悪なの?」

「さあね。でもこれが俺の自然な状態なんだよ。君に対しては特に」




またそれ?なんでよぉ、と私はむくれた。
咲人は優しい声で続けた。




「でも君は、意地悪な人が好きなんだろ」

「……」

「だろ」




何も言えず、ウー、と声ともなんとも取れない音を発していると、
咲人は畳み掛けるように訊ねてきた。




「どうして意地悪な人が好きなの?」




え、えぇぇぇぇぇ
そ、それは。。。。




ドMだからだよぉぉぉぉぉ




と言えるわけもないので、(いや多分もうわかってそう)
そんなこと聞かないでよ、と切なげに返事した。




「オッケー。君が答えたくないならいいよ」

「(えっイヤそこは多少強引に言わせてほしい←ドM全開)そ、そういうわけじゃ…」

「メイサ、質問がある」




ハイと私は従順に返事した。






「メイサは……






ヴァンパイアって、どう思う?」



(°▽°)(°▽°)



「………あなたヴァンパイアなの?」



ブーッ!と電話の向こうで咲人が吹き出すのが聞こえた。



「(笑)」

「私のこと噛みたいの?(笑)」

「いや…(笑)」



ふふ、と笑いながら私は大きく伸びをして、肩まである髪をかきあげた。



「今すぐ飛んで来て、私の首を噛んで」



咲人が言葉に詰まっているのを感じた。



「…今は行けないよ。ここからそこまで飛んで行くにはだいぶエネルギーを使うからね」

「(笑)」

「でも約束するよ。君が俺に言ったこと、覚えているから。
会った時にはその望みを叶えるよ」





彼は覚えているだろうか。

私が、耳と首を噛まれるのが好きだと言ったことを。

もちろん

セクシャルな意味で言ったのを。




「メイサ、もう1つ質問がある」




なぁにと私が問うと、咲人は尋ねた。



「今何時?」



ふと見ればもう夜中の3時だった。
相変わらず彼と話していると時間が経つのがあっという間だ。



「もう3時だわ!ってことは、そっちは4時?」

「その通り」

「どうりで眠いわけだわ。。。」

「そうだ。メッセージにも書いたけど、このままじゃ君の健康に良くないから今度は昼間に話そう」



昼間?



「まぁ、いいけど?」

「明日話せる?」

「無理。」

「明日の夜は?」

「あんた今昼に話そうって言ったんじゃないの?(笑)」

「言ったな(笑)」

「(笑)昼間に話すなら、水曜日まで無理よ。」

「水曜日?!」




マジか、と言わんばかりに咲人は声を上げた。
この時、日曜日だった。




「おいメイサ、君は相当忙しいんだな」

「は?!(笑)水曜なんてすぐじゃない」

「まぁ、まぁ、そうだ、けど」

「思ってないわね」

「いや、君がそう言うならもちろん水曜日に話すよ。当たり前だろ」

「もっと早く話したいの?」



咲人は真剣な声で答えた。



「明日電話していい?」



プーッ!!と私は吹き出した。



「ダァーメだって言ってるじゃん!(笑)あなた私と話したがりすぎ!(笑)」

「たしかに。」

「まぁ、明日は我慢してよ」

「まぁどうなるか見てみよう」



何それ?!と私はまた笑った。
私は咲人との会話を心から楽しんでいた。
この人は、先ほどあんな揉め事があったにも関わらず、そんなに私と話したいのか。
そしてその伝え方もリアクションも、とても可愛く感じた。
相変わらず、マイルドで落ち着いた語り方だけれど。
そして、キザな声。←それは生まれつきなのでは…




「見てみよう見てみよう」

「わかったわよ!笑」

「じゃぁまた明日」

「うん」




私は微笑んだ。




「おやすみ、咲人」

「おやすみ」




おやすみ

私のヴァンパイア。




続きます。


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