メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

咲人との終わり

2019-04-08 10:10:49 | 咲人
電話が切れたのは、ただ私の携帯の電池が切れたからだった。



人生というのは、期せずして沢山のことが起こるもので。
その電話が、まさかの、私が咲人とした最後の電話になった。
あんなに毎日電話していたのに、だ。
実はこれには理由がある。




「あなた最近忙しそうね」



会う前の電話で、私はそう言った。
ほぼ毎日電話をかけてきていた咲人が、最近返信も遅かったのだ。
(今思うと、この人、よくあの二日間私のために時間作れたなと思う)
咲人はちょっと疲れたように言った。



「正直忙殺されてる。帰宅は深夜だし、副業もあるしな」

「大変ね」

「それに加えて、もしかしたら俺海外転勤するかもしれないんだ」




咲人の話では、もうすでに上司から打診されている。
行き先が問題で、咲人はその国に行ったことがない。
おまけにそこでは、彼の母国語はおろか、英語さえ通じない。
もちろん断ることも出来るけど……




「まぁ理想としては、赴任する前に一度見に行ってみたほうがいいと思うんだ。
俺がそこで生き延びられそうかどうか、さ」

「それが出来ればだいぶいいわね。
ちなみに行きたいの?」

「正直わからないよ。自分の国を出たことないし(旅行以外)」





わかるわ、と呟いた。
かくいう私も、この国に車で日本にしか居を構えたことはなかった。
英語だからまだマシだったけど、そら大変だった。



「もちろんあなた次第だけど、個人的には行ったほうがいいと思うわよ。
外国で、職を心配する必要なく住めるなんて、そんな経験なかなか出来ないわ。」

「……そうだな」

「それに期間限定なんでしょう?やってみるべきよ。
危ない国でもないんだし」

「…………。」




咲人は完全に納得していたけど、迷っていた。
そして、行くならこの頃からだと時期を教えてくれた。



咲人からの返信が滞るようになったのは、その時期からだった。
私は、寂しがりそうなものだけど…………
いくつか前の記事に書いた通り
彼のことを
「本気で付き合う相手ではない」と気付いてしまったからか
そしてすでに転勤のことを聞いていたからか
思ったより気にならなかった。




時々、げんき?忙しいんでしょう?大丈夫?とか
私の荷物見つかった?とか(笑)
月に一回くらい送った。



その度に咲人は、返信が遅くてごめんと言いながらも
長いメッセージを書いて、自分がどんな状況か教えてくれた。
嬉しかった。



私の予想通り、彼は転勤していた。
海外転勤のバタバタやストレスはよくわかる。
だから本当に、本当に、気にしていなかった。
どんなに彼から返信が遅くても。



それに、私たちは結局きちんと関係を始めることができなかった。
だから、彼を責めることも、私がその国へ行くことも、する気にならなかった。




あの夜、私がハイと答えていたら。
翌朝、喧嘩にならなければ。
私たちはもっと強く繋がって、今はもしかしたら一緒に住んでいたかもしれない。



でも、小娘でも生娘でもない私は
何が自分にとって我慢できないか
何が自分にとって必要か
いい加減わかっていた。




咲人とのことは今でも本当に良い思い出だ。(いや色々あったけどさ笑)
実は今でも、ほそぼそと連絡をとっている。
いつか化学変化が起こる気はしないけど。




繰り返すけど
人生っていうのは期せずして沢山のことが起こる。




咲人と大ゲンカして帰国した、その3日後に




私はスゲー奴に出会った。




それが次の男、アイアンである。





続きます!




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