現代川柳 ’24 ⑧~⑩
自作句集(記録)
川柳マガジン8月号
川柳・文月賞 課題「金」
・時は金 時持て余し売りに出す
・中卒の金の卵を知る世代
・隠し金厳重注意羅針盤
・宝クジ黄金の山 流れ星
雑詠
・振り向けば過去の陽炎踊り出す
川柳道 課題「他人」
・物思い真空管の針不動
時事川柳
・銃弾の橋を渡れば青い空
・反日の闘士のご飯コシヒカリ
時代吟川柳 課題「労」
・江戸家老吉原通い一苦労
・街道の参勤交代行き違い
新鋭川柳 課題「夏」
・蚊帳の中 蛍飛ばして宇宙旅 佳作 植竹団扇選
・振り向けば君がいた夏共犯者
印象吟 (天守閣から街をみる)
・ひと時の天下泰平 流れ星
・石垣に乗り上げたまま観覧車
笑いのある川柳
・言い訳の老化の仕草茶を濁す
・ハンドベル鳴らして歩く焼芋屋
川柳・神無月賞 課題「変化」
・暴風雨嵐の中で消す怒り
・雑踏で別れた人とすれ違う
・美容院出てきた姿に抱く恋
・休日の髭面下げて覚める恋
全国誌上句会 課題「動機」
・きっかけは路上の糞を踏んだだけ
同 雑詠
・愛せない太陽と月お互いに
川柳道 課題「異変」
・不味いから美味いに変わる恋心
時事川柳
・千年後まだ残るのか地雷原
・憎しみは時代を越えて絶望へ
時代吟 課題「妹」
・蜘蛛の巣に嫁いだ妹 蝶になる
・売られ行く妹追いて遊郭へ
印象吟 (朽ちた石像)
・風葬に抜け殻だけが残される
・魂の抜けた地蔵に手を合わす
笑いのある川柳
・ぶつかってなぜ開かない手動です
・暇なときキャベツひと玉 皮剥がす
新鋭川柳 課題「鍵」
・牙抜けてインプラントで肉かじる
・怒りの日モーツアルトで気を保つ
洒落川柳
・ケイタイを忘れ財布も不携帯
・歴史から歴史へ繋ぐ流れ星
いしかわ「川柳の祭典」 全国誌上大会 石川県
課題「祭り」
・血が騒ぐ祭りだ祭り暴虎勇
・婆さんを見初めて逢った祭りの日
課題「スイーツ」
・超辛党スイーツ食べる見合い席
・ダイエットスイーツ五つ目どうしよう
課題「兼ねる」
・兼ねてみる心は二つ身は一つ
・母さんは兼業農家 多事多端
課題「先端」
・AIが先端科学の顧問です
・原爆をミサイル先端載せないで
グリーンピース創立10周年記念大会
全国誌上 島根県出雲市
課題「あやふや」
・八十路からあやふやな年 薹(とう)が立つ
・灯明で尻を焙(あぶ)ってやり過ごす
課題「時間」
・期待して待つ間が花の鳳仙花
・石の上待てど居座る閑古鳥
課題「トンボ」
・赤とんぼ夕陽を連れて彼岸花
・花鳥風月 初秋の里に赤い星
課題「恋」
・恋心抱いた人は今八十路
・老楽の恋の行方は蜃気楼
課題「条件」
・条件は戦争止めて握手する
・条件は幸せにする誓いです
課題「楽天家」
・楽天家自由自在に空を飛ぶ
・幸せは夫唱婦随の楽天家
イメージ吟(婆の火渡り)
・足の皮鍛えに鍛えた野良仕事 入選
二本松市民川柳大会 全国誌上 福島県二本松市
課題「家具」
・椅子一つ取り合うゲーム蜘蛛の糸
・高かった嫁入り箪笥玩具入れ
課題「酔う」
・酔う毎に唯我独尊 井の蛙
・酔い次第ママの笑顔で意気盛ん
課題「にぎやか」
・居酒屋の喧騒有りて飲む次第
・ジジ友の飲み仲間たち喋り過ぎ
課題「雑詠」
・女子会の知らぬは亭主その酒豪
・猫被り噂話で茶を濁す
・卑弥呼の里誌上川柳大会
全国誌上 福岡県朝倉市
「自由吟」
・擦り切れの山靴の愚痴聞いてやる
「まさか」
・好きな人出来たからとの置手紙
・夢地獄ジェットコースター箍外れ
「ふわり」
・歓迎会飲んで飲まされ雲の上
・見上げれば気球大空雲如く
「積む」
・孫の顔積み木壊れて布袋さん
・積立金金利僅かのおちょぼ口
「色」
・虹の空歌舞伎の世界七変化
・色鉛筆子供の世界未来拓く
としま川柳 全国誌上大会 東京都豊島区
課題「街」
・煩悩の彷徨うあたり街灯り
・故郷の香り微かな上野駅
課題「創る」
・半導体無くなった日の創るもの
・エジソンも万に一つの奇跡追う
課題「刺激」
・突かれて脳天響く天邪鬼
・激辛の喉越し過ぎて受験生
課題「伝統」
・祭りごと人手のいらぬバーチャルへ
・村祭り神輿を担ぐアルバイト
課題「仮面」
・舞踏会密かの楽しみ悪巧み
・オシドリの真似してみてもお見通し
課題「キネマ」
・三本立て100円キネマ昭和臭
・青春の思い出全てキネマから
課題「乗る」
・口車乗ったはいいが下りられぬ
・馬乗りの娘いま頃背に息子
全国「ふるさと川柳」全国誌上大会
秋田県仙北市
課題「時」
・長年の柱時計も不整脈 岡本 聡選 入選
吉崎柳歩選 入選
・忘れたいでもその事が懐かしい
吹田市民川柳大会 大阪府吹田市
課題 「責任」 桑原すず代 選
・吹き溜まりどうしてくれる資本主義 入選句
・この始末 鳥瞰図でみる恍け顔
「破る」 山下悟 選
・セミだもの静けさ破る賑やかさ 入選句
・何枚目金魚すくいのお嬢さん
「少ない」 森島アツ梗 選
・暗闇に裸電球防犯灯
・夏の海小屋の人影仮想都市 入選句
「がっちり」 大堀正明 選
・体格のいい人ばかりプロレスラー
・石垣の組まれた城の自慢顔 入選句
川柳アカデミー㊽ 7月10日
互選「雨の音」
・雨の音 爺になっても子守唄
・紫陽花の葉でリズムとる雨の音
・食事時 雨の音聴くカタツムリ
・作曲家悩んだリズム雨の音
宿題「痛い」
・本当に痛いの飛んでけ飛んでった
・痛いから生きてる証拠君の名は
・痛いのに咄嗟の動きつい忘れ
・痛い時悩み事など聞かせるな
自由吟
・まさかだが後20年しかないよ
・嘘つけば少し引きつる恍け顔
・円安と来日の孫 大はしゃぎ
・どこ行った傘の修理屋見かけない
席題「う」で始まる句
・うさ晴らし蹴ったカンカン逆戻り
・うわの空隣の輩競馬場
・首絞めて獲物吐き出す鵜飼人
・卯の花の匂う垣根に雨宿り
・うるさいな放っといてんか男前
・浮き沈み浮いたまんまでもう五年
川柳アカデミー㊾ 7月24日
互選「ハーモニカ」
・雨の日の淋しさ紛らすハーモニカ
・ハーモニカ郷愁誘う赤とんぼ
・ハーモニカ峠の我家今やビル
・老齢の青春回顧ハーモニカ
課題「氷」
・甲子園熱闘吹き飛ぶかき氷
・氷上の妖精いつしか溶けていた
・氷なく冷やし中華の汗溜まり
・北極の氷の下に眠る核
「自由吟」
・爺様に昔話で機嫌取る
・婆様の愚痴聞く時の誉め言葉
・階下にもコンビニ一軒来て欲しい
・非常口開いた下は地獄谷
席題「せ」で始まる句
・新弟子の検査基準に背が足りず
・背伸びして隣の子より後に立つ
・瀬古と言えばマラソン思う古い人
・拙著でも図書館で見る人がいる
川柳アカデミー㊿ 9月11日
互選「まちぼうけ」
・まちぼうけ改札口の右ひだり
・まちぼうけもう半世紀宝くじ
・まちぼうけ今日は逢えるか君の名は
・まちぼうけ待ちくたびれて木の根っこ
課題「印象吟」くねった家具
・家具までもモンローウオーク未知の道
・引き出しの八段目にある玉手箱
・家具までも腰痛なのかお大事に
・転びそう誰が使うの酔った家具
自由吟
・秋の宵五線紙はみ出す虫音色
・いつか散る桜も人も地に積もる
・鬱憤の矛先誘う曼珠沙華
・顔の皺 眺めて想う母の笑み
*写真は全て千里南公園の散歩道から