12月30日 (土) 4/15℃
現代川柳 入選句 掲載句より '23 ①
現代川柳倶楽部
今年の川柳句会 川柳誌
川柳結社 投句入選作品
(その一部を掲載)
<現代川柳 入選作品集>
'23 ①
課題
「ガラス」
嘘つけばガラスの色が変わります
「家」
玄関に脱ぎ飛び交った子供靴
「妥協」
火の中に飛び込む事もたまにある
「雑詠」
聞き耳を立てた障子が喋り出す
*長月賞・地賞 課題「糸」
糸切った人から順に鳥になる
新鋭川柳「逃げる」
逃げるには間に合わないとカタツムリ
笑いのある川柳
日帰りの地獄ツアーもございます
*神無月賞 課題「女」
パリコレのモデル魔法の鏡です
ジェラシーを秘めて笑顔の誉め言葉
時事川柳
クレムリンソファーの上で指揮を執る
川柳道 課題「遅刻」
遅刻魔の覚醒一発キューピット
江戸時代吟 課題「耳」
内密を聞いた屏風が喋り出す
新鋭川柳 課題「遊ぶ」
遊びすぎ道を外して素浪人
超柳派 全国誌上句会「雑詠」
マイナンバー逃れられないキリギリス
課題「味噌」
味噌のでき発酵菌のいい仕事
*カレイドスコープ(自由吟)
言う通りすれば支配の蜜りんご
素になれと売られた心買い戻す
もう寝ます頼んでいない朝がくる
泥沼に蓮の花咲きのってみる
月仰ぎ銀河鉄道切符買う
*フレッシュアイ (自由吟)
ささやかな祝い酒盛り虎になり
距離をとり影を踏まずに生きている
老楽の生きがい日記白いまま
間の悪い苦手な人と鉢合わせ
独り酒いつのまにやら雲の上
誌上印象吟
ガガーリン地球は青くゆがんでた
宇宙船分解したが戻せない
誌上課題吟「試す」
試しにと生きてみるかな百の歳
*カレイドスコープ 自由吟
幸せは水蜜桃と地中海
黄昏を袋に入れて夜が明ける
本日の予定は何も陸のトド
深夜バス トトロがたまに乗ってくる
消えかける外灯言いたいことがある
月仰ぎ銀河鉄道切符買う
*フレッシュアイ
気にもせず一人で歩く地雷原
陽炎のままでいてくれ酔芙蓉
この世ではもう出会えない影法師
過去の星輝き尽きて未来くる
夜行バス南千里はすっ飛ばす
*カレイドスコープ 自由吟
抜け穴を掘っては埋めて生きてます
取り敢えず笑ってここは箱の中
煩悩を山で吐き出す笑い茸
ワクチンを打った後から蜃気楼
意地悪をされたらしょげる秋田犬
*フィッシュアイ 自由吟
カレンダー残り2枚で蝶になる
非常ベル退屈なので鳴ってみる
わくわくもトキメキのない日の砂漠
ブーメラン戻ってこないへそ曲がり
生き急ぐ時間は待ってくれません
*師走賞 課題「王」
四面楚歌王手かけられ核握る
新鋭川柳 課題「危険」
危険札少し先まで行ってみる
課題「舞う」
舞う枯葉百年のちに蘇る
課題「ファジー」
綿菓子のつかみどころのないファジー
*「人」賞
明日がある無いかもしれぬ抽象画
新鋭川柳 課題「安い」
安いもの探して歩き靴破れ
課題「困る」
思案中カフェの賑やか万華鏡
*如月賞 課題「点」
懐に手を入れ少し加点する
*全国誌上句会 課題「酔う」9客
ほろ酔いの提灯抱き吾亦紅
酔うたびに触手を伸ばす曼珠沙華
酔うほどに世間が見える万華鏡
同窓会酔うほどに過去抽象画
*卯月賞 課題「車」
返納し自転車乗ればまた凶器
新鋭川柳 課題「道具」
金槌で指を叩けば釘笑う
印象吟
キャベツソバ混ぜて乗せたら仮想都市
江戸時代吟 課題「室」
側室の機嫌を取りに桃を抱く
全国誌上句会 課題「飽きる」
その笑顔飽きはしないかえべっさん
イメージ吟(火渡り)
足の皮鍛えに鍛えた野良仕事
課題「ばらばら」
ばらばらとドラムを叩く雹霰
*川柳大会 秀句賞
イマジンを歌う心にある平和
「勇気」
生き甲斐に恥を忍んで舞うダンス
「祈る」
微笑んで平和を祈る曾孫たち
「きれい」
きれいだと言えばセクハラもの言えず
妖精の舞う花びらに蜘蛛の糸
全国誌上句会 課題「急ぐ」
バスの旅次の停車はまだですか
新鋭川柳 課題「腐る」
ろくでなし言われて腐る太鼓持ち
その他
後回ししたあと忘れ騙し絵に
回顧録次々記憶ブーメラン
ジジババの楽しい回顧迷彩服
何回も聴いて覚える縄梯子
寒空に朧月夜の異邦人
満月じゃ源氏今頃蚊帳の外
髭伸ばしマスクで隠す初披露
最強がリングの上で笑い茸
静寂に大声で笑うナルシスト
正月の笑う番組鳩時計
中東の戦火広がり消す戦禍
戦火広げ戦果を競うカーニバル
枯葉踏むこの下曼荼羅微生物
寒風に蓑虫スタイル黙秘権
戦果競う愚か者たち難破船
安保理は幽体離脱ガザでする
殿様は渋柿の顔四面楚歌
柿色は戦果を誇る旗印
八十路まで居心地よくて路地の裏
仲良しは世話婆さんの秘密主義
仲違いいらぬお世話と魔の時間
別れたと世話して恨まれ四面楚歌
世話好きは迷彩服に黙示録
賀状ゼロ メールで開く妖怪図
生き甲斐に一歩歩いて手を繋ぐ
運命線その先にあるキーワード
曲がりキュウリ半値に手を出すキリギリス
濡れ落ち葉 掌乗せてしみじみと
煩悩の火消期間は半世紀
ローソクを吹き消す人と世が明ける
花飾り爺の頭に付けられぬ
ドローンかな頭上旋回露天風呂
腐っても鯛と言われて拗ねている
遅刻魔が定刻守る参観日
クレヨン画天使の笑顔赤とんぼ
爪痕は自分遺産に登録す
溜息を担いで海へ捨てに行く
拉致問題解決済みと言うクラゲ
処理水はいつの間にやら海の波
心地よい大奥殿の膝枕
殿様の快気祝いに檻を出る
触れないで私の肌と熟れた桃
蜘蛛の巣に一休みしたのが運のつき
パスワード忘れ開かぬ玉手箱
明日に乗せ運んだはずの夢芝居
チカチカと何か言いたい蛍光灯
晩鐘の響きに合わせ齢数え
今年一年皆様にはお世話になりました。
ありがとうございました。
新しい年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
頑爺/肇&kirihara