みちのく童話会スタッフブログ

みちのく童話賞終了後、みちのく童話会として、活動をしています。『東北6つの物語』シリーズ6冊(国土社)発売中!! 

みちのく童話会

 東日本大震災から10年のくぎりの2021年、東北地方の皆様から第1回みちのく童話賞を開催し、第3回まで、たくさんの作品、作家との出会いがありました。  童話賞終了後は、みちのく童話会として、活動を続けています。

『東北偉人物語』~「鬼と呼ばれた写真家」土門拳(山形)井嶋敦子

2025-03-04 | スタッフ新刊・活動紹介

こんにちは。みちのく童話会スタッフ井嶋敦子です。

『東北6つの物語』6冊目『東北偉人物語』で、山形県の偉人・土門拳を書かせていただきました。

夫が山形生まれで、息子たちも長い休みになると山形の祖父母のところで過ごしました。
なので、『東北まつり物語』の花笠祭りと、『東北偉人物語』の土門拳を担当しています。
 
土門拳は、山形県酒田市生まれ。
貧しい子ども時代を過ごしたあと、6歳で東京へ行きます。
若い頃は画家を目指していましたが才能に限界を感じ、反社会運動にも加わり、
数回留置場に入れられ死を覚悟したこともあったそうです。
 
知りあいのつてで写真家のもとへ行きますが、
見映えをよくするため修正する写真を「こんなのは本物の写真じゃない!」と土門は憤ります。
自分らしい撮影にのめり込み、「日本工房」という制作集団に入り腕を上げていきますが、
土門の写真が日本工房の責任者の名前で発表され、怒った土門は日本工房をやめてしまいます。
東京明石町の長屋で妻や子ども・弟子たちと暮らしながら、土門は次々に写真を発表していきます。
 
肖像写真は「絶対非演出の絶対スナップ」と考え、まさにその人を写しだし、 
「文楽」「古寺」など日本の文化を撮影していきます。
原爆が落とされたあとの広島では怒りの写真集『ヒロシマ』を出版し、
廃鉱になった炭鉱の町では『筑豊のこどもたち』を世に出します。
 
二度の脳卒中で体が不自由になっても写真への熱はさめず、室生寺を何度も撮っていきました。
酒田市名誉市民第一号に選ばれ「全作品を酒田市に寄贈」した土門拳。
記念館は日本の写真専門美術館第一号となりました。
 
じつは、この本でご紹介した本だけじゃありません。
自分で文章も書き、写真と文章からなる本を土門は何冊も出しています。
土門が撮った昭和の子どもたちの写真を見た方も多いでしょう。
土門拳はどれだけ「濃い」日々を過ごしたのかと、驚きでした。
 
一昨年、酒田市の「土門拳記念館」に行ってきました。





その日は、東京で土門拳の作品展があり、古寺巡礼の写真はみな東京に行っていました。

 
昨年末から年始にかけて、土門拳記念館の方が、私が書かせていただいた文章にきっちりチェックを入れてくださいました。
おかげで、自信を持ってみなさまにお届けすることができます。
編集者さま、記念館の方に、感謝してもしきれません。
 
土門拳がその作品すべてを生まれ故郷の酒田市に寄贈したゆえ、土門拳の魂はいまもそこに生きている気がします。
土門拳記念館は、来月、「土門拳写真美術館」に呼称を変更します。
 
この偉人伝を読まれてから記念館・写真美術館を訪れると、また土門拳が違って見えるかと思います。
ぜひ酒田の地で、土門拳の魂にお会いくださいますよう。
 

『東北偉人物語』~「南極をめざして」白瀬矗(秋田)おおぎやなぎちか

2025-03-01 | スタッフ新刊・活動紹介

 こんにちは。みちのく童話会スタッフおおぎやなぎちかです。

    

『東北6つの物語』の6冊目『東北偉人物語』が発売になりました。

 東北の偉人といえば、だれを思い浮かべるでしょう。宮沢賢治? 大谷翔平? どっちも岩手だ・・。では、秋田は? 私が書いたのは、秋田県にかほ市出身の探検家白瀬矗(のぶ)です。

 白瀬矗は、日本人で初めて南極探検をした探検家です。南極観測船は「しらせ」でしょう? 直接人名を由来とすることはできない決まりなのだそうで、地名からとってますが、その地名が白瀬矗を由来としてつけられたものなのです。

 世界発の南極点を踏破したのは、ノルウェーのアムンセン。そして、アムンセンに遅れて南極点に到達したものの、無事に帰ることができなかったのがスコット隊です。白瀬隊は、この二つの隊と同時期に南極を目指していたのです。秋田県にかほ市には、立派な記念館もあり、取材で行ってきました。

 偉人伝といえば、子供時代があってこそ。

 白瀬のわんぱくぶり。その後の苦労。南極から帰ってからの苦労。ぜひぜひ、読んでいただきたいです。映画化していただきたい。

 シリーズ6冊そろって、壮観です。

                 

 東北の方も、東北以外の方も、ぜひお読みください。図書館は特に入れていただきたいと願っております!! 

        


東北スイーツ物語 山形

2025-02-28 | 日記

こんにちは。

スタッフの千秋つむぎです。

           

「東北スイーツ物語」の山形編を担当させていただきました。

山形にはおいしいスイーツがいくつもありますが、

私は「からからせんべい」を元に物語を書きました。

 

からからせんべいを初めて手にしたのは小学生くらいだったかと思いますが、

そのときのことは今でもよく覚えています。

「何が出るんだろう?」とわくわくしながら、

一生懸命せんべいをわっていました。

実は父の車には、私が子どもの頃につけた「こけしのストラップ」が

今だに交通安全のお守りのようにぶらさがっています。

 

からからせんべいは、一人で中身を見るのはもちろんですが、

数人で一緒に見ると、より楽しい時間を過ごすことができるなと思っています。

お互いに何が出たかを見せ合って。

なので、からからせんべいを通して、新たな友情が育まれる優しい物語が書きたいと思いました。

 

主人公の花凛は、友達の気持ちを考えすぎて自分の気持ちに正直に行動することが苦手。

そんな花凛が、からからせんべいをパリッとわるように、

少しずつ自分の殻をやぶっていきます。

 

本作には、山形に実際にある水族館も登場します! 

作中にも書いていますが、クラゲの展示は印象的でした。

 

ぜひ、からからせんべいと一緒に、物語を楽しんでいただけますと幸いです。


東北スイーツ物語 りんごの気持ち

2025-02-28 | 日記

スタッフのもえぎ桃です!

この記事を書いているのは1月8日ですが、年末から青森は大雪!

『東北スイーツ物語』で私が書いたお話「りんごの気持ち」と、状況がそっくりです。

「十二月にこんなに降ることはめずらしくて、外は横なぐりの雪で真っ白。雪が道路やブロック塀をおおって、白一色の世界だ」

子どものころの冬は、ずっとこんな感じでした。

朝から晩まで雪が降り続け、歩道は除雪した雪で道路より1メートルも上。

夜中に外を見ると、雪が青白く光って、すごくきれい。

冬の夜空は澄んでいて、星がたくさん見えました。

そういえば、日中はずっと吹雪いてるのに、なぜか夜になると雪がやんで「シーン」とするんです。

雪が音を吸い込んで、本当に静か。

星空の下、青白い雪がどこまも広がる幻想的な世界……でも朝になるとまた吹雪くんですよね〜。

昼に吹雪いて夜に凪ぐ。なにか理由があるんでしょうか?

 

さて、青森の冬といえばりんご。りんごのスイーツといえばアップルパイ!

青森県弘前市はアップルパイのお店がたくさんあって、ガイドマップも出ています。

https://www.hirosaki-kanko.or.jp/edit.html?id=cat03_food09

「りんごの気持ち」は、アップルパイが上手なてきぱきお母さんと、自立心が芽生え始めた凛子ちゃんの攻防(⁉)です。

りんごの皮むきをきっかけに不満が爆発する凛子ちゃん。

「口うるさいお母さんに負けるな〜!」と凛子ちゃんを応援しながら書きました。

凛子ちゃんの超簡単りんごスイーツ、ぜひ作ってみてくださいね。

 

いよいよ来月、シリーズの最終巻「東北偉人物語」が発売です!


東北スイーツ物語、福島県

2025-02-28 | 日記

みなさま、こんにちは。

みちのく童話会メンバーの吉田桃子です。

         

「東北スイーツ物語」はもう手に取っていただけたでしょうか? 読んでいるとおなかが空いてきそうなスイーツが沢山出てきます。

 

わたしは福島県の「桃パフェ」を題材に物語を書きました。

作中に福島県にある「まるせい果樹園」様の桃パフェの写真も載っていますが、まさに、このパフェを想像しながら執筆しました!

わたしも「まるせい果樹園」さんには桃を買いに行ったことがあります。

その日は福島県のポケモン「ラッキー」さんも遊びに来ていたこともあってすごい人! 行列! しかも、暑い!

 

でも、みなさん、とても幸せそうな顔なんです。

きっと桃がおいしいからですね。

さらに、桃はとても栄養がありますから暑い夏を乗りきるための力もくれます。

今は冬ですが、こんななかでも桃の木は、夏、実をつけるためにジッと寒さに耐えています。

わたしも、今年の桃をたのしみにしています。

本物の桃を食べる前にぜひ「東北スイーツ物語」でひとあし先に桃を楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

物語の主人公も「桃」がつく名前の女の子にしました。

自分もそうなので少し照れくさいですが(*´ω`*)

せっかく「桃」のお話ですからね……


東北スイーツ物語 宮城

2025-02-28 | 日記

スタッフのおしのともこです。

今まで東北物語シリーズでは、挿絵担当でしたが

この東北スイーツ物語では、

初めて物語を書かせていただきました。

 「東北スイーツ物語」の中で『宮城県』のスイーツ担当になり、

『宮城県』なら『ずんだもち』でしょ!

さらに『ずんだシェイク』も出てくるお話がいいなあ〜と考えました。

 

私は関東出身ですが、『ずんだもち』も『ずんだシェイク』も大好き!

枝豆の季節になると手作りするくらい大好物です。

「グリンプロテイン」は、

小学5年生の野球少年マサシが主人公のお話です。

試合でエラーして落ち込むマサシ。

2つ年上のねえちゃんが、練習を付き合ってくれることになったけど

実はねえちゃんには思惑があって……。

  

主人公のマサシは、

初めてのずんだもち作りに汗だくになりますが、

茹でた枝豆を薄皮まで剥いて、すり鉢でするのは大変な作業です。

フードプロセッサーがあれば楽かもしれませんが、

我が家でもすり鉢で作っています。

自分の手で作るずんだもちの美味しいことと言ったら!

 

マサシは野球に一生懸命打ち込む少年ですが、

実は私の父は、長年プロ野球チームのスポーツトレーナーでした。

ケガなどで故障した選手のリハビリやマッサージをする仕事です。

子どものときから、家には選手のサインや野球グッズ、

優勝した写真パネルがズラリと並んでいました。

私は残念ながら、大の運動オンチで野球は本当に苦手。

絵を描いたり、本を読んだりするのが好きな女の子でした。

 

今回、野球のお話を書かせていただいて

ほんの少しだけ親孝行ができた様な気がします。

天国の父も喜んでくれたかな。

 


東北スイーツ物語 秋田 

2025-02-28 | 日記

                               

こんにちは。みちのく童話会 会員のみどりネコです。

『東北スイーツ物語』では、秋田の物語「バラアイス」を書かせていただきました。

 

タイトルの「バラアイス」というのは、ババヘラと呼ばれるアイスのこと。

中高年の女性が、アイスをコーンにへらで盛り付けて販売するスタイルからそう呼ばれるようになったそうです。

 

夏、秋田の道路沿いに立てたパラソルの下で、大きな缶を前に置き、パイプ椅子に座り、頬っかむりのような帽子をかぶっている方がいたら、それはババヘラの売り子さんの可能性が高いと思います。

 

ババヘラはシャーベットのような口当たりでとてもさっぱりとしています。

そのためか炎天下では急いで食べないとすぐに溶けてしまいます。

 

そんな美しくも儚いアイスから生まれた物語が「バラアイス」という淡い初恋のお話です。

山育ちの私が、海沿いの町で育った亜美の初恋の話を書くのはなかなか大変なものでした。

 

そんなとき、みちのく童話会の心臓的存在のOさんが私にこんなものをプレゼントしてくれました。

物語の舞台となったM海岸の砂です。

M海岸の砂は、私にこう語りかけました。

 

―― 考えるな、感じろ ――

 

その日から私は、砂のにおいをかいだり、空箱に移した砂にハートマークを書いたり、夏を海を肌で感じ、なんとか作品を書き上げることができました。

 

優しい甘さのスイーツがいっぱい「東北スイーツ物語」をお楽しみいただけると幸いです。

そして、東北のスイーツを食べに来てくださいね!!

 

みどりネコ


『東北スイーツ物語』裏話(「へっちょはいだら へっちょこだんご)田沢五月

2025-02-28 | スタッフ新刊・活動紹介

 みなさんこんにちは! スタッフの田沢五月です。

        

『東北スーツ物語』では、「へっちょはいだら へっちょこだんご」(岩手)を書きました。

「へっちょこだんご」は甘い小豆の汁に、真ん中がくぼんだお団子が入ったおやつです。

             

 今回は岩手の県北、二戸市を舞台に書きましたが、青森県や私の故郷である岩手の沿岸北部でも、以前はよく食べられていました。

 子どもの頃、明治生まれの祖母といっしょによく作りました。手のひらで転がして丸め、中央を指でへこませた団子が、まな板の上に並びます。大きいものや小さいもの、いびつなものも……たくさんのおへそが並ぶと、楽しくて、くすくす笑ってしまいました。味よりもその光景が印象に残っています。

 今では作る家庭は少なくなりましたが、二戸地区では、産直で必ずのように「へっちょこだんご」を売っています。女性たちが故郷の味を守り続けているそうです。

二戸といえば、「へっちょこだんご」と共に頭に浮かぶのが浄法寺塗(じょうぼうじぬり)です。

漆器は日本が誇る伝統工芸品ですが、国内各地で使用される漆のほとんどが輸入に頼らざるをえない状況で、国産漆はわずか5%といいます。そしてその7割が二戸市で生産され、国宝の修復などにも利用されています。  小学生も加わって、漆の木を育てる活動も行われています。

古くから伝えられてきた漆塗りの技を途絶えさせたくないとの思いも込めてこのお話を書きました。

 えっ? 「へっちょはいだら」ってどんな意味かって?

 それは……お話を読んでいただければ幸いです。

 

     

 

 

 

 

 

 


福島民友でご紹介いただきました。

2025-02-19 | 日記

   

2月11日の福島民友さんに、『#東北6つの物語』の記事が掲載されました。福島県在住 #吉田桃子&出身 #堀米薫 がインタビューに応じています。 27日には『#東北偉人物語』が発売になり、シリーズ6冊が揃います。よろしくお願いいたします。


月刊こどものとも『はいくどうぶつえん』おおぎやなぎちか(福音館書店)

2025-02-10 | スタッフ新刊・活動紹介

        

 俳句絵本発売中です。

 月刊誌なので、書店に並ぶのは一か月。でもバックナンバーを置いてくださってる書店さんも多いし、幼稚園保育園で定期購読しているところも多いですね。

 発売から数日ですが、ゲラゲラ笑って聞いていたとか、嬉しい感想が届いています。

       

 こんなふうに園長さんが俳句を詠むと、どんどんそれが現実になり、動物園は大変なことになっていきます。サトウマサノリさんイラストは、リアルなのにとぼけていて愉快。

 ぜひ、お楽しみください。