みなさま、こんにちは。
みちのく童話会メンバーの吉田桃子です。
「東北スイーツ物語」はもう手に取っていただけたでしょうか? 読んでいるとおなかが空いてきそうなスイーツが沢山出てきます。
わたしは福島県の「桃パフェ」を題材に物語を書きました。
作中に福島県にある「まるせい果樹園」様の桃パフェの写真も載っていますが、まさに、このパフェを想像しながら執筆しました!
わたしも「まるせい果樹園」さんには桃を買いに行ったことがあります。
その日は福島県のポケモン「ラッキー」さんも遊びに来ていたこともあってすごい人! 行列! しかも、暑い!
でも、みなさん、とても幸せそうな顔なんです。
きっと桃がおいしいからですね。
さらに、桃はとても栄養がありますから暑い夏を乗りきるための力もくれます。
今は冬ですが、こんななかでも桃の木は、夏、実をつけるためにジッと寒さに耐えています。
わたしも、今年の桃をたのしみにしています。
本物の桃を食べる前にぜひ「東北スイーツ物語」でひとあし先に桃を楽しんでいただけたら嬉しいです。
物語の主人公も「桃」がつく名前の女の子にしました。
自分もそうなので少し照れくさいですが(*´ω`*)
せっかく「桃」のお話ですからね……
14日(火)午前9時からABS秋田放送ラジオ「朝採りワイド秋田便『MAYAの子育てランド』」にて、「東北ふしぎ物語』「Tのかまくら」(前編)の朗読が放送されます。 雪まつりの日の不思議な物語 プロのアナウンサーによる素敵な朗読をお楽しみください。
来週と前後編に分けての放送になります!
秋田県横手市のかまくらは、2月ですが、その前にぜひ!!
スタッフのもえぎ桃です!
この記事を書いているのは1月8日ですが、年末から青森は大雪!
『東北スイーツ物語』で私が書いたお話「りんごの気持ち」と、状況がそっくりです。
「十二月にこんなに降ることはめずらしくて、外は横なぐりの雪で真っ白。雪が道路やブロック塀をおおって、白一色の世界だ」
子どものころの冬は、ずっとこんな感じでした。
朝から晩まで雪が降り続け、歩道は除雪した雪で道路より1メートルも上。
夜中に外を見ると、雪が青白く光って、すごくきれい。
冬の夜空は澄んでいて、星がたくさん見えました。
そういえば、日中はずっと吹雪いてるのに、なぜか夜になると雪がやんで「シーン」とするんです。
雪が音を吸い込んで、本当に静か。
星空の下、青白い雪がどこまも広がる幻想的な世界……でも朝になるとまた吹雪くんですよね〜。
昼に吹雪いて夜に凪ぐ。なにか理由があるんでしょうか?
さて、青森の冬といえばりんご。りんごのスイーツといえばアップルパイ!
青森県弘前市はアップルパイのお店がたくさんあって、ガイドマップも出ています。
https://www.hirosaki-kanko.or.jp/edit.html?id=cat03_food09
「りんごの気持ち」は、アップルパイが上手なてきぱきお母さんと、自立心が芽生え始めた凛子ちゃんの攻防(⁉)です。
りんごの皮むきをきっかけに不満が爆発する凛子ちゃん。
「口うるさいお母さんに負けるな〜!」と凛子ちゃんを応援しながら書きました。
凛子ちゃんの超簡単りんごスイーツ、ぜひ作ってみてくださいね。
いよいよ来月、シリーズの最終巻「東北偉人物語」が発売です!
こんにちは!みちのく童話会 会員のおしのともこです。
今回は『東北こわい物語』の挿画について。
イラストラフと合わせて制作秘話をお話しますね!
今まで「こわい絵」を描いたことがなく、挑戦でした。
「縛り地蔵」佐々木ひとみ
主人公 拓斗の顔。最後まで迷いながら描きました。
いわゆる「いい子」である彼と、心の奥にいる本音の部分の彼。
ラフの拓斗と、実際に完成した拓斗の表情がずいぶん変わりました。
「マヨイガの贈りもの」ちばるりこ
このお話の主人公紫が、ラスト「まさか!」という展開になります。
その瞬間の表情を描きたいと思いました。
けれどその部分は読者に想像してもらった方が
より物語に広がりがでるかも…と、あえてこのラフはボツにしました。
そしてランニングシューズに焦点を当てたイラストに変更。
紫の揺れる内面を表すために髪型も修正。
風に揺れるロングヘアにしてあります。
「あの世とこの世」もえぎ桃
こわがりの怜が、思わず叫ぶシーン。
彼の素直さ、まっすぐな想いが伝わってくる、
物語の山場です。
ラストまで読み進め、もう一度読み返したくなる鍵になるシーン。
風車がまだ描き込めてなく、テキトーですね。
「ゆがんだ愛の、その先(安達ケ原の鬼婆)」吉田桃子
物語は一冊の本を中心に展開していきます。
その要になる鬼婆の本。
こわいですね〜。
般若のお面を参考にしました。
鬼婆は怖いけれど、そこには深い悲しみと愛情があって
どこか憎みきれない人間らしさを感じます。
「スノーモンスター」野泉マヤ
雪山で道を見失うこわさ。
自然へのおそれ。
そのなかでも諦めず、一歩を踏み出す健人のイラストラフ。
やがて方向感覚を失い、途方に暮れる健人のイラストラフ。
「もっと雪を多く、真っ白に。大自然の圧倒的な存在感を出して」
という編集さんのアドバイスを受けて、仕上げました。
「黒い石」みどりネコ
主人公 佑香が櫛で髪をとかす。
今よりもっときれいになりたい少女の心と
辰子姫の伝説が引きあう物語のクライマックスシーン。
姉妹の関係って、お互い近い存在だからこそ
羨ましくなったり、反発したり。
このシーンは、「お互いの表情を大きく、対比して見せましょう」
という編集さんのアドバイスで修正。
2人の表情の違いが印象的なイラストになりました。
『東北こわい物語』を手にしたら
ぜひイラストラフと見比べてみてください。
本当はもっと何枚もラフがありますが、
今回はその一部を紹介させていただきました!
おしのともこ
こんにちは。みちのく童話会 会員の佐々木ひとみです。
現在発売中の『東北こわい物語』で、「縛り地蔵」(宮城県)というお話を書かせていただきました。
モチーフの〝縛り地蔵〟は、仙台市の広瀬川近くに実際にあるお地蔵さまです。
縄でぐるぐる巻きにされたインパクトのあるお姿を初めて目にした時から、「いつか物語に登場させたい!」とずっと暖めてきたモチーフでした。
このお地蔵さまは地元の方々から「人間のあらゆる苦しみ悩みを取り除いてくれる」と信じられていて、縄で縛って願をかける習わしから〝縛り地蔵尊〟と呼ばれています。体に巻きつけられた縄は、年に一度のご縁日(7月23日)に解かれます。
どれほどインパクトがある姿なのか興味を持たれた方は、本書の31ページに〝縛り地蔵尊〟の写真が掲載されていますので、ぜひご確認ください。
物語では、「勝手に外すと、外した人に縄にこめられた悩みや苦しみが降りかかる」としましたが、その部分は私の創作です。
また、物語には仙台の〝妖(あやかし)スポット〟として、扇坂・行人坂という二つの坂も登場します。こちらも仙台城二の丸跡近くに実際にある場所で、妖しげな伝説も実際に伝わっているものです。
取材のために千貫沢沿いを歩きましたが、湿り気を帯びた重い空気が漂うエリアで、今より圧倒的に闇が濃かった時代、ここを二の丸への登城路として日常的に利用していた侍たちの胆力を思わずにはいられませんでした。
仙台を訪ねる機会がありましたら、物語の舞台を歩いてみていただければ幸甚に存じます。
スタッフのもえぎ桃です。
東北6つの物語シリーズ続々刊行‼️
このシリーズは、東北ゆかりの作家が書いているので、いわゆる「地元ネタ」が豊富。
私も青森ならではのお話を書けて、とっても楽しかったです。
それでは、「東北こわい物語」の裏話をひとつ。
恐山と、八甲田山のこわい話が出てきますが、どちらも何十年も前から伝わっている話。
恐山で唾を吐いたり、不敬な行いをすると、悪いことが起こる。
八甲田山では雪中行軍で死んだ方々の霊がさまよっている。
特に恐山は、霊場なので当たり前かもしれませんが、青森県民にとっては「観光名所」というより、「怖い場所」。
小学校の頃、先生が「友達が恐山で唾を吐いて、それから山を出るまで転んでばかりで大変だった」と言っていたのを思い出します。
恐山は噴火によってできた一帯ですが、お話に書いた通りの「地獄」と「極楽」があります。
私も初めて見たときは、衝撃でした。まるで異界のようでした。
いくら噴火による自然の造形だと科学的に説明されても、それだけとはとうてい思えません。
異界の様子は、どうぞ本編をお読みいただければと思います。
みちのく童話会スタッフの野泉マヤです。
『東北こわい物語』では山形県の怖い物語「スノーモンスター」を担当しました。
樹氷のことをスノーモンスター(雪の化け物)と呼びますが、本当に怖いのはモンスターより吹雪なんですよ~。その恐怖の体験を元に、この物語を書きました。
私が住んでいる宮城県北西部は、年に一度あるかないかですが、高速道路が閉鎖されるくらいの地吹雪に見舞われることがあります。数年前には高速道路で玉突き事故があり、全国ニュースにもなりました。
高速道路が閉鎖されると、下の国道は大渋滞となります。以前、高等学校に勤務していた頃、ちょうど帰宅時にその地吹雪渋滞に遭遇したことがありました。いつもなら時速70キロくらいですいすい走れる道が、その夜は、のろのろ走っては止まる、の繰り返しでなかなか進みませんでした。
前方の丘を越える坂道には、車のテールランプが赤い数珠玉のようにつながっているのが見えました。
「こんなに多くの車が立ち往生してるんだ。いつになったら自宅へ帰れるのかな?」
普段なら30分で帰れるのに、既に車に乗ってから1時間もたっていました。
吹雪の風は強弱を繰り返します。弱めの時はテールランプのつながりも見えますが、強くなると真横から吹きつける雪以外、何も見えなくなります。うなり声をあげる激しい風に、車も揺らされます。
その時、私は恐怖に襲われました。「吹雪の中に、たった独りで取り残されてしまったのでは?」
もちろん、渋滞しているのですから、すぐ前にも後ろにも車を運転している人たちがいます。道沿いには民家もあるので、独りではありません。なのに、そんな錯覚によって恐怖を感じたのです。
吹雪の山で遭難した人が、避難小屋まであと一歩のところだったのに、なぜたどり着けなかったのか? という話を聞いたことがありました。遭難した人の気持ち、わかるような気がします。
物理的な距離は近くても、精神的な距離が遠くなり、孤立感に襲われる。
これが、吹雪の怖さです。
『東北こわい物語』を読んで、そんな吹雪を想像してみてくださいね。
みなさま、こんにちは。みちのく童話会の吉田桃子です。
東北アンソロジー、前期に続き続編が無事出版されました。
今回は「こわい物語」の執筆プチ裏話です。
実は、わたしは「こわい話」は聞くのも書くのも苦手……! 担当になったときは、はて、困ったと思いました。
福島県にはこわい物語の題材になりそうな伝説は何個かありますが……みなさまによく知られている、二本松市の「安達ケ原の鬼婆」を取り上げました。
二本松市には「ふるさと村」といって、鬼婆をテーマにした施設もあります。小学生のころ行きましたが、鬼婆のからくり人形にギョッとした思い出が。今は鬼婆をコミカルにしたお土産や食堂のメニューもあるみたいですね。
この鬼婆物語……執筆のために改めて伝説を紐解いてみると、ご存知の方も多いと思うのですが、実はとてもせつない理由があって恐ろしい鬼婆になってしまったことがわかります。
なので、アンソロジーの物語も「最初はそんなつもりはなく、相手のことがたいせつだったからこそ……だったのに」ということをテーマに書こう! と思いました。鬼婆にどうからめたか、よかったら本を読んでみてくださいね♪(吉田桃子)
こんにちは。みちのく童話会スタッフ ちばるりこ です。
今回の東北物語シリーズは、なんと「こわい物語」。
実は、こわい系はあまり書いたことがありませんでした。(これが2作目)
でも、思い出しました。子どもの頃、こわいマンガが三度の飯より大好きだったのです。
歳がバレますが、特に楳図かずおさんのマンガです。「へび少女」は、こわいけれど続きを読まずにはいられませんでした。夜、眠れなくなったり、トイレに行けなくなったり……アルアルですね。
時代は変わりましたが、今の子どもたちもこわいお話が大好きですよね。
どうして、人はこわい話に心惹かれるんでしょう?
今回の執筆にあたりエピソードを紹介します。
<エピソード> 知らない家に入る? いや入らないでしょ!
「マヨイガの贈りもの」は『遠野物語』のマヨイガをテーマにしたお話です。
このテーマを選ぶにあたって、どうしても書きたいシーンがありました。それは、見知らぬ家に入るところです。マヨイガは幸福をもたらすので、それほどこわくないかもしれませんが、家の中で不思議なことにたくさん遭遇します。
そのとき、自分の中で疑問が生まれました。
今の子どもが、誰もいない家に入るでしょうか? 許可なく入れば、住居侵入罪(刑法130条)に問われます。また、小さな頃から不審者に気をつけるように言われてきたはずです。絶対に入らないと思いました。
そこで、善意あふれるおばあちゃんに登場してもらいました。このおばあちゃんに「今から畑に行くから、勝手にあがってお水を飲んでいいよ」と言われたことで、主人公が家へ入るきっかけを作ったのです。
おばあちゃんグッドジョブ!
みなさま 『東北こわい物語』6作 楽しんで読んでください。
トイレに行けなくなったらごめんなさい。_(._.)_
こんにちは。みちのく童話会スタッフのみどりネコです。
このたび『東北こわい物語』に、秋田県の田沢湖に伝わる「辰子姫伝説」をモチーフにした「黒い石」という物語を書かせていただきました。
秋田にお住まいの方でしたら「辰子姫伝説」を一度は耳にしたことがあると思います。
その昔、辰子という美しい娘が観音様に永遠の美を願い、龍にされてしまいます。そのとき山が崩れ谷が裂け大きな湖ができました。辰子は最愛の母と別れ、深い湖の底に沈んでいきました。
「黒い石」を書く前に田沢湖を訪れてみると、辰子姫伝説は本当なのではないかと思えるほど田沢湖は美しく神秘的でした。
辰子姫のことを物語に書かせていただくのですから、ご挨拶をしなければなりません。
わたしは辰子姫に手を合わせ「貴方様の物語を書かせていただくことになりました。こわい話なんだども、なんとがごめんしてけれな(こわい話なのですが、どうかお許しください)」と心の中で辰子に語りかけました。(後半はなぜか秋田弁)
きっと辰子姫は許してくださったのでしょう。それから二年後、「東北こわい物語」は無事に刊行されました。暖かくなったらまた田沢湖に行ってみたいと思います。
皆様もぜひ一度足を運んでみてください。
物語は後半にかけて怖さが加速していきます。美しい田沢湖の写真(p.191 撮影:みどりネコ)と合わせてお楽しみください!
(みどりネコ)