みちのく童話会スタッフブログ

第3回を持ちまして、みちのく童話賞は終了ました。これからはみちのく童話会として、活動をしていきます。

みちのく童話会

 東日本大震災から10年のくぎりの2021年、東北地方の皆様から第1回みちのく童話賞を開催し、第3回まで、たくさんの作品、作家との出会いがありました。  童話賞終了後は、みちのく童話会として、活動を続けています。

「東北6つの物語」執筆裏話

2024-10-27 | 日記

 先日で、「東北6つの物語」第1期3冊の執筆者裏話完走しました。

 途中別のお知らせが入ったりしてましたが、このたび、ずっと続けて読むことができるよう、並べかえましたので、改めてお楽しみいただけたらと思います。(イラストこぼれ話は、途中に挟んだままです)

 東北は一気に冬に向かっています。

 おいしいものを食べて、冬支度をなさってくだい。

      

 第2期「東北スイーツ物語」「東北こわい物語」は年内発売予定です。

 そして年明けには「東北偉人物語」。こちらも進んでおります。

 お楽しみに! 


「おとなボタン」(『東北おいしい物語』創作裏話)岩崎まさえ

2024-10-25 | スタッフ便り

  こんにちは。みちのく童話会スタッフの 岩崎まさえ です。

『東北おいしい物語』では、宮城県の笹かまぼこと牛タンをテーマに

「おとなボタン」を書きました。

 

        東北おいしい物語

 

   宮城県のおいしい物と聞かれたら、隣県の岩手に住む私でも

「笹かまぼこと牛タン」とこたえます。仙台の駅や街中で、

〝笹かまぼこ〟〝牛タン〟の文字をよく見かけます。

ところが、地元の人は家庭で、牛タンはあまり食べないと知りました。

おいしいというより、あこがれの味なんだそうです。

 

  さぁ、たいへん。大人でもなかなか食べない牛タンを、

物語の子どもたちに、どうやって食べさせよう……。

そこで思いついたのが、タイトルにもなった「おとなボタン」です。

  このボタンを押したら、子どもでも大人の味がわかるというもの。

大人たちが「おとなの味」と言って、なかなか食べさせてくれない、

牛タンと笹かまぼこも、これを押すと食べることができる

はずでしたが、創作の神様はそう簡単に、させてくれませんでした。

ああだ、こうだと、苦労して、やっと主人公の子どもに

食べさせられたときは、ホッとしました。

 さあ、子どもたちが初めて食べた牛タンと

わさびをつけた笹かまぼこの味は、

いったい どんなだったでしょうか。

ぜひ、本でたしかめてくださいね。

 

  ところで、『東北おいしい物語』を担当したスタッフが、

このブログで創作裏話を紹介するとき、必ず表紙をアップしております

じつは、途中から、微妙に表紙の絵が変わっています。

お気づきでしたか。

  変わったところを見つけていただいても、なにも出ませんが、

座敷わらしのような、こんないたずらがお気に召しましたなら、

ぜひぜひ、東北にも おいでくなんせ。

 

 

 


東北おいしい物語  「冷麺 じゃじゃ麺 わんこそば」

2024-10-21 | 日記

 

こんにちは。みちのく童話会スタッフ ちばるりこ です。

みなさま 食欲の秋ですね。ぜひ、東北の美味しいものを味わっていただきたいです。

私は、盛岡三大麺をテーマにした物語を書きました。

 

 

 

わんこそばも じゃじゃ麺も すごくおいしいのですが、

私にとって一番インパクトがあったのは冷麺でした。

初めて冷麺を食べたときのエピソードを紹介します。

案外、地元でも食べたことがないっていう人もあるもので、

かくいう私も冷麺を初めて食べたのは、大学生の頃でした。

その当時、高校生だったにもかかわらずグルメだった従弟が、お勧めのお店に連れて行ってくれました。

従弟は、当然のように「特辛二つ」と一番辛い段階の冷麺を注文。

そのときは、そういうものかと思ったのですが……。

冷麵を口に入れ、あまりの辛さにビックリ!!

急いで、卵を食べようとすると、従弟が「それはまだ早い」と。

スイカを食べようとすると、「それは最後だ」と。

「とにかく麺をすすれ。休まずに食べろ」と食べ方の指示をします。

「辛い辛い」「もう二度と食べるもんか」と心で繰り返し、涙を流しながらも、なんとか完食。

そのときの感覚は忘れられません。

まるで、マラソンを完走したアスリートのような充実感。

しばらくすると、あの味が忘れられなくて、また食べに行きました。

その繰り返しで、すっかり冷麺好きになりました。

物語中の伝と兄ちゃんのかけ合いは、私と従弟のほぼ実話なのです。

初めて食べる方は、別辛で注文した方がいいかも。

 

 


「はじめての芋煮会」野泉マヤ(『東北おいしい物語』執筆裏話)

2024-10-16 | 日記

 こんにちは。みちのく童話会スタッフの野泉マヤです。

『東北おいしい物語』では、山形の芋煮会をテーマに書きました。

       

山形の芋煮は、本当に美味しいんです!取材をすればするほど(芋煮を食べれば食べるほど)、ハマります。

私が住む宮城県でも芋煮会はするのですが、毎年必ずするものではなく、バーベキューのかたわらで汁ものを作るくらいのわき役です。

それが山形では、芋煮が主役なんです。芋煮を作るところから楽しむんです。なんでも、正月、お盆、芋煮会という年中行事レベルらしいです。取材をしていて、芋煮愛も感じました。

すっかり有名になった「日本一の芋煮フェスティバル」は、毎年9月に山形市内の河川敷で行われます。巨大な鍋で、大量の肉と野菜を入れて、パワーショベルでかき回して……。パフォーマンス的には、すごいけど味は期待できないなと思いつつ、取材のために参加してみました。

ところが、予想を大幅に超える美味しさでした!

そりゃそうなんです。材料は砂糖以外、全て山形産。美味しい山形牛、美味しいしょう油、美味しい日本酒、美味しいネギにこんにゃく。里芋なんて、この芋煮のために特別な畑で作るそうです。そしてそれらを、山形市内の一流の料理人たちが味付けするんです。とても贅沢な一杯なんですよ。

このイベントは、心から芋煮を愛する人たちでなければ、決してできないだろうなと思いました。

日本一ではなくても、秋は、山形県内のあちこちの市町村で芋煮イベントをしています。地域によって具材が微妙に違い、「おらほが一番美味しいんだ」という芋煮論争も起こるとか。

とにかく、百聞はひと味に如かずで、食べてみてください。

でも、食堂やレストランのは、イマイチですよ。やっぱり、芋煮は川原で食べないと。

澄みきった青空の下、白い雲と遠くの山々、そして飛び交う赤とんぼを眺めながら味わう。

それが、芋煮です!

    

(画像は、芋煮発祥の地と言われる中山町の、鍋かけの松。江戸時代は、こうして芋煮をしたと伝えられる)

     


「手のひらサイズのしあわせ」(『東北おいしい物語』創作裏話)吉田桃子

2024-10-15 | スタッフ便り

       

みなさん、こんにちは。みちのく童話会スタッフ、吉田桃子です。

みちのく童話会でつくった東北アンソロジーをお読みいただいて、本当にありがとうございます。

わたしは、地元、福島県を舞台にした物語を書きました。

題材にした食べ物は「お米」です。

実は、当初は「ラーメン」で書くことが決まっていました。

福島県には喜多方ラーメンをはじめ、おいしいラーメン屋さんがたくさんありますので、

旅行中、食べたという方もいらっしゃるかと思います。

わたしも、ラーメンを題材にどんなお話を書こうか、あれこれ考えはじめていました。

でも、ふとひらめいたのです。

「ラーメンもおいしいけれど、福島といったら、これだ!」

それが「お米」でした。

お米は、わたしたち日本に住むひとにとっては、空気のように当たり前の食べ物です。

だからこそ、見落としてしまっていました。

しかし、食卓になくてはならないたいせつな食べ物です。(というのも、「空気」と同じようですね。)

 

わたしは、福島県のお米はとてもおいしいと思います。

そのまま食べてみると、ほんのりやさしい甘みがあり、おかずがなくても

何杯でもおかわりしたくなります。特に、今頃の時期に出る新米は最高です。

 

2011年の東日本大震災、福島県では原発事故が起き、それにともなって

農業は大変な苦境に立たされました。

風評被害はいまだ完全になくなったとはいえません。

しかし、あきらめずに農作物をつくり続けてくださった農家さん、業務にかかわるみなさんの

おかげで今は「福島のお米はおいしいね」という声がたくさん聞けるようになりました。

 

「手のひらサイズのしあわせ」は、震災後の2012年に福島県へ遊びに来た女の子が、そこで出会ったひと、自然、そしてお米のおいしさに感動し、自分の将来の夢を決めるお話です。

本が出来上がり、「題材をお米に変更してよかった!」と思いました。

(ラーメンのお話も、いつか、また……!)

 


「戦うキリタンポ鍋」(『東北おいしい物語』創作裏話)井嶋敦子

2024-10-07 | スタッフ便り
こんにちは。みちのく童話会スタッフ井嶋敦子です。
みちのく童話会のHPも担当しています(不備等ありましたらご連絡を)。
『東北おいしい物語』、私は秋田の秋の風物詩、「キリタンポ鍋」を題材にした物語を書かせていただきました。

 
まず、タイトルですが、「キリタンポ」よりひらがなの「きりたんぽ」の方がふつうです。
でも「戦うきりたんぽ鍋」だとひらがな続きでわかりにくく、より強いイメージ(笑)で、カタカナのキリタンポにしました。
 
小年サッカーチームの物語は、サッカー好きなので、自然に筆が動きました。
J2リーグのブラウブリッツ秋田を応援しています(他にも新潟・山形を応援中)。
物語に出てくるチーム名は、ブラウブリッツの代わりに、ナマハゲッツ秋田U12。
ブラウブリッツ秋田の前身のチームは、TDKサッカー部です。
物語ではDDKとなっていますが、わかる人にはわかるはず。
そしてブラウブリッツのエンブレムにはナマハゲがデザインされており、試合にはサポーター席にナマハゲが登場します。
 
うちのクリニックの近く、潟上市の「グリーンサムの杜」内に、ブラウブリッツ秋田の練習場があります。
この物語を書いている時にはまだ工事中でしたが、今はYKCスカイフィールド潟上という名のサッカー場になっています。
このサッカー場を舞台に想定して、物語を書きました。
 
勇太のじいちゃんの名前は中川竜彦。
これは元代表選手、久保竜彦をオマージュしています。
ドラゴン久保と言われたフォワードは、引退後は田舎暮らし。
不思議な魅力を持った選手でした。

 
さて、キリタンポ鍋の戦いになったキーワードは「糸こんにゃく」。
お店のキリタンポでも、入っている・入っていないと、いろいろです。
わが家は夫が断然「糸こんにゃく入れない派」。
中川家のきりたんぽ鍋のような薄味にしたら、夫に誉められました(笑)。
 
こんな感じで楽しく書かせていただいた「戦うキリタンポ鍋」。
みなさまにも楽しんでいただけたら幸いです。

「チームじょっぱり」(『東北おいしい物語』創作裏話)おおぎやなぎちか

2024-10-03 | スタッフ便り

こんにちは。みちのく童話会スタッフおおぎやなぎちかです。

『東北6つの物語』シリーズ、読んでくださった皆様、ありがとうございます。まだな方は、ぜひ読んでください。なにしろ、10月に入りました。秋です!

 食欲の秋です!

『東北おいしい物語』には、東北のおいしいものがぎっしりつまっています。

      

 みちのく童話会は、13人のメンバーで活動してますが、各県の在住(出身、ゆかり)にはばらつきがあります。例えば、宮城県には、在住作家が現在5人! でも青森県は、出身作家として、もえぎ桃さんがいるだけなんです。そこで、他の県の出身者が助っ人として青森の物語を書きました。この「東北おいしい物語」では、私おおぎやなぎが、担当したわけです。

 青森県、特に弘前市には、私が所属している俳句結社の支部のようなものがあり、何度か句会で訪れています。知り合いもいます。なので、書けそうだなあと思ったんです。

 そうだ、八食センターがいい。まずはそう思いました。八戸にある市場です。ここの魚介類が、おいしいんです。ここで食べたお寿司、おいしかったー。でも、待てよ。弘前もフレンチの町だし、ここに主人公が住んでいることにして・・・と妄想がふくらみ、実際に改めて取材がてら、弘前にホテルととり、朝電車で青森市を経由して陸奥湾を眺めながら青い森鉄道に乗り、八戸へ日帰りという、いわゆるロケハンをしました。

    

 八食センター

    

 せんべい汁と焼きホタテ(三陸の牡蠣も)。実際に行って食べたものです。これを本にも載せていただきました。

 両親がフレンチレストランを経営しているという設定なので、フレンチも食べましたよ! リンゴのポタージュスープ、おいしかったなあ(物語に最初出したけど、ちょっと浮いてたので、泣く泣くカット笑)。

「チームじょっぱり」の「じょっぱり」は津軽弁で、強情っ張りのこと。弘前の俳句仲間は「じょっぱり句会」という名前で俳句を楽しんでいます。頼もしい言葉だなあと思います。

 ストーリーは、クラスの男子とそのお姉さんといっしょに八食センターへ行き、大事なことを思い出す。そして大人の恋をちょっとかいま見るという内容です。

 ぜひ、読んでください。

 そして、青森へ行って、おいしいものを食べてください。

 これからは、リンゴの季節ですね。