みちのく童話会スタッフブログ

第3回を持ちまして、みちのく童話賞は終了ました。これからはみちのく童話会として、活動をしていきます。

みちのく童話会

 東日本大震災から10年のくぎりの2021年、東北地方の皆様から第1回みちのく童話賞を開催し、第3回まで、たくさんの作品、作家との出会いがありました。  童話賞終了後は、みちのく童話会として、活動を続けています。

「ふしぎの沼をたずねて」(『東北ふしぎ物語』)堀米薫

2024-09-14 | スタッフ新刊・活動紹介

 こんにちは。スタッフの堀米薫です。今回「東北ふしぎ物語」では、生まれ故郷の福島県の「不思議」について書きました。

       

あらすじ:福島市に住む主人公の小学6年生しのぶは、一年前にお母さんをなくしてから元気がありません。そんなある日、しのぶあてに手紙が届きます。差出人は、何となくなったはずのお母さん。ドキドキしながら封をきると、手紙には「五色沼で待っている」と書いてありました。本当にお母さんは待っているのか。そんな思いを胸に五色沼を巡って歩き出すのです。皆様は裏磐梯にある五色沼は行ったことがありますか?この本の中に出てきますが、五色沼はたくさんある沼ごとに青や緑、白や赤など、不思議な色を見せてくれます。この不思議を生み出すものは、裏磐梯の爆発によって湖沼に溶けだした様様な火山性物質なんですね。私もこのお話を書くために五色沼を歩きましたが、とても素晴らしい景観でした。ぜひ、多くの方に五色沼に足をお運びいただき、沼の色の不思議を堪能してほしいです。また、このシリーズを読んで「東北に生まれて良かった」と思っていただければ幸いです(堀米薫)。


『復活! まぼろしの小瀬菜だいこん』野泉マヤ作・丹地陽子絵(文研出版)

2024-09-04 | スタッフ新刊・活動紹介

  こんにちは。みちのく童話会スタッフ、野泉マヤです。

        

 これは、伝統野菜の継承をテーマとした物語です。

  6年前、地元の加美町に伝わる「小瀬菜大根」の存在を知りました。そして当時、地元でこの野菜をつくっている、たった一人の方と出会いました。その方は、小瀬菜大根を絶やしたくないという想いで、毎年作付けし、種とりをされていました。それがきっかけで、わたしは小瀬菜大根の継承活動に関わるようになり、伝統野菜の価値を知ることとなりました。

大量生産された見栄えの良い野菜が、季節を問わずに流通するのが当たり前になっている現在、その当たり前に逆行するような伝統野菜を継承していくことは、簡単ではありません。毎年、まずは知ってもらう、食べてもらうという活動をしている中、この野菜の魅力を子供たちにも伝えたいと考えました。

そうして、実際の活動の様子を交えながら書いた物語がこの作品です。

わたし自身、子供の頃は野菜が嫌いでした。きっと子供たちの多くは、野菜に興味がないだろうと思います。でも、伝統野菜を育んできた日本の食文化や、地域の財産でもある固有の野菜について、ぜひとも知って欲しいと願っています。

お忙しいところ恐縮ですが、このような作品をご高覧いただければ幸いです。画家の丹治陽子先生が描いてくださった、小瀬菜大根の花畑や素敵な挿画の数々もご堪能ください。


『東北ふしぎ物語』~「渡り鳥のサンクチュアリ」

2024-09-03 | スタッフ新刊・活動紹介

みちのく童話会スタッフの野泉マヤです。

『東北ふしぎ物語』で、宮城県の「渡り鳥のサンクチュアリ」を書きました。

           

 昔は、日本全国で見られた渡り鳥のガンが、なぜ今は、東北とごく一部の地域でしか見られなくなったのか? それが、この物語の不思議です。

 なぜ多くのガンたちは、越冬地として宮城県を選ぶのでしょう? もしも自分がガンだとしたら、と想像していただければと思います。

         

 この物語を書くために、わたしはすごい人に取材をしました。呉地正行先生という、世界的なガンの研究者です。ラムサール賞、山階芳麿賞、環境大臣賞など、価値ある賞をいくつも受賞されています。そんな呉地先生は「ぼくは、ガンの僕です」とおっしゃるくらい、謙虚でガンが大好きな方です。

もともとわたしは、ガンの知識はほとんどなかったのですが、先生の話を聞いているうちにどんどんガンが好きになってきました。今では、冬の時期に「キャワ、キャワ」とマガンの鳴き声がすると、ベランダに飛びだすほどです。そして素早く、V字飛行するガンの群れを探し、ほれぼれとながめるようになりました。

 実際、ガンという鳥の立ち姿や、一生懸命に飛ぶ姿には、なんともいえない可愛らしさがあり、見れば見るほど愛着を感じます。そんなガン達が、あと一カ月もすると宮城県にやってきます。わたしは、秋に初めてガンを見た日を「初かり記念日」としています。ガンは「かり」ともいいます。昔の急行「はつかり」は、ガンからきていたのですね。

 さて、今年の初かり記念日はいつになるのか、今から待ちどおしいです。