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みちのく童話会スタッフブログ

みちのく童話賞終了後、みちのく童話会として、活動をしています。『東北6つの物語』シリーズ6冊(国土社)発売中!! 

みちのく童話会

 東日本大震災から10年のくぎりの2021年、東北地方の皆様から第1回みちのく童話賞を開催し、第3回まで、たくさんの作品、作家との出会いがありました。  童話賞終了後は、みちのく童話会として、活動を続けています。

「洋服のサムライ 新渡戸稲造」 岩崎まさえ 

2025-03-21 | スタッフ新刊・活動紹介

『東北偉人物語』で新渡戸稲造のものがたりを書きました。

 

 

 さて、旧五千円札の肖像にもなった人物ですが、何をした人か

こたえられますか?

じつは、たくさんのことをやっているので、一言では語れないと言われています。

稲造のことを、政治家 後藤新平 はこう表現しています。

 「稲造なんか 西洋のご婦人を奥さんにして ハイカラぶっているけどねぇ、

  なぁに、中身は洋服を着たサムライだよ」

 そこで、タイトルを『洋服のサムライ』としました。

 

 調べていた資料の一冊、

新渡戸の『幼き日の思い出』のあとがきを、メリー夫人が

書いていました。

 夫人は稲造が育った環境を紹介するために、江戸時代の新渡戸家のことを

詳しく書いていました。アメリカ生まれの方が、こんなに日本の江戸時代

書けるのかと、ビックリ。

  ただ者ではありません!

 

 そこで、メリー夫人の目を通して、稲造のことを語ることにしました。

がんばりやの稲造も、夫人には弱音をはいたり、グチをこぼしたりしていたと

思います。

 

 で、稲造は何をした人かって?

えぇと、大学や高校の先生で、『武士道』『農業本論』みたいな本をいっぱい

書いて、台湾の土壌に適した作物を見つけて、世界平和のための国際連盟の

事務次官もやって……

 あぁ、やっぱ一言では語れない。無理!!

 

ぜひ『東北偉人物語』、手に取ってくださいませ。 (岩崎まさえ)

 

                      

 

 

 

 

 

 


『東北偉人物語』~「鬼と呼ばれた写真家」土門拳(山形)井嶋敦子

2025-03-04 | スタッフ新刊・活動紹介

こんにちは。みちのく童話会スタッフ井嶋敦子です。

『東北6つの物語』6冊目『東北偉人物語』で、山形県の偉人・土門拳を書かせていただきました。

夫が山形生まれで、息子たちも長い休みになると山形の祖父母のところで過ごしました。
なので、『東北まつり物語』の花笠祭りと、『東北偉人物語』の土門拳を担当しています。
 
土門拳は、山形県酒田市生まれ。
貧しい子ども時代を過ごしたあと、6歳で東京へ行きます。
若い頃は画家を目指していましたが才能に限界を感じ、反社会運動にも加わり、
数回留置場に入れられ死を覚悟したこともあったそうです。
 
知りあいのつてで写真家のもとへ行きますが、
見映えをよくするため修正する写真を「こんなのは本物の写真じゃない!」と土門は憤ります。
自分らしい撮影にのめり込み、「日本工房」という制作集団に入り腕を上げていきますが、
土門の写真が日本工房の責任者の名前で発表され、怒った土門は日本工房をやめてしまいます。
東京明石町の長屋で妻や子ども・弟子たちと暮らしながら、土門は次々に写真を発表していきます。
 
肖像写真は「絶対非演出の絶対スナップ」と考え、まさにその人を写しだし、 
「文楽」「古寺」など日本の文化を撮影していきます。
原爆が落とされたあとの広島では怒りの写真集『ヒロシマ』を出版し、
廃鉱になった炭鉱の町では『筑豊のこどもたち』を世に出します。
 
二度の脳卒中で体が不自由になっても写真への熱はさめず、室生寺を何度も撮っていきました。
酒田市名誉市民第一号に選ばれ「全作品を酒田市に寄贈」した土門拳。
記念館は日本の写真専門美術館第一号となりました。
 
じつは、この本でご紹介した本だけじゃありません。
自分で文章も書き、写真と文章からなる本を土門は何冊も出しています。
土門が撮った昭和の子どもたちの写真を見た方も多いでしょう。
土門拳はどれだけ「濃い」日々を過ごしたのかと、驚きでした。
 
一昨年、酒田市の「土門拳記念館」に行ってきました。





その日は、東京で土門拳の作品展があり、古寺巡礼の写真はみな東京に行っていました。

 
昨年末から年始にかけて、土門拳記念館の方が、私が書かせていただいた文章にきっちりチェックを入れてくださいました。
おかげで、自信を持ってみなさまにお届けすることができます。
編集者さま、記念館の方に、感謝してもしきれません。
 
土門拳がその作品すべてを生まれ故郷の酒田市に寄贈したゆえ、土門拳の魂はいまもそこに生きている気がします。
土門拳記念館は、来月、「土門拳写真美術館」に呼称を変更します。
 
この偉人伝を読まれてから記念館・写真美術館を訪れると、また土門拳が違って見えるかと思います。
ぜひ酒田の地で、土門拳の魂にお会いくださいますよう。
 

『東北偉人物語』~「南極をめざして」白瀬矗(秋田)おおぎやなぎちか

2025-03-01 | スタッフ新刊・活動紹介

 こんにちは。みちのく童話会スタッフおおぎやなぎちかです。

    

『東北6つの物語』の6冊目『東北偉人物語』が発売になりました。

 東北の偉人といえば、だれを思い浮かべるでしょう。宮沢賢治? 大谷翔平? どっちも岩手だ・・。では、秋田は? 私が書いたのは、秋田県にかほ市出身の探検家白瀬矗(のぶ)です。

 白瀬矗は、日本人で初めて南極探検をした探検家です。南極観測船は「しらせ」でしょう? 直接人名を由来とすることはできない決まりなのだそうで、地名からとってますが、その地名が白瀬矗を由来としてつけられたものなのです。

 世界発の南極点を踏破したのは、ノルウェーのアムンセン。そして、アムンセンに遅れて南極点に到達したものの、無事に帰ることができなかったのがスコット隊です。白瀬隊は、この二つの隊と同時期に南極を目指していたのです。秋田県にかほ市には、立派な記念館もあり、取材で行ってきました。

 偉人伝といえば、子供時代があってこそ。

 白瀬のわんぱくぶり。その後の苦労。南極から帰ってからの苦労。ぜひぜひ、読んでいただきたいです。映画化していただきたい。

 シリーズ6冊そろって、壮観です。

                 

 東北の方も、東北以外の方も、ぜひお読みください。図書館は特に入れていただきたいと願っております!! 

        


『東北スイーツ物語』裏話(「へっちょはいだら へっちょこだんご)田沢五月

2025-02-28 | スタッフ新刊・活動紹介

 みなさんこんにちは! スタッフの田沢五月です。

        

『東北スーツ物語』では、「へっちょはいだら へっちょこだんご」(岩手)を書きました。

「へっちょこだんご」は甘い小豆の汁に、真ん中がくぼんだお団子が入ったおやつです。

             

 今回は岩手の県北、二戸市を舞台に書きましたが、青森県や私の故郷である岩手の沿岸北部でも、以前はよく食べられていました。

 子どもの頃、明治生まれの祖母といっしょによく作りました。手のひらで転がして丸め、中央を指でへこませた団子が、まな板の上に並びます。大きいものや小さいもの、いびつなものも……たくさんのおへそが並ぶと、楽しくて、くすくす笑ってしまいました。味よりもその光景が印象に残っています。

 今では作る家庭は少なくなりましたが、二戸地区では、産直で必ずのように「へっちょこだんご」を売っています。女性たちが故郷の味を守り続けているそうです。

二戸といえば、「へっちょこだんご」と共に頭に浮かぶのが浄法寺塗(じょうぼうじぬり)です。

漆器は日本が誇る伝統工芸品ですが、国内各地で使用される漆のほとんどが輸入に頼らざるをえない状況で、国産漆はわずか5%といいます。そしてその7割が二戸市で生産され、国宝の修復などにも利用されています。  小学生も加わって、漆の木を育てる活動も行われています。

古くから伝えられてきた漆塗りの技を途絶えさせたくないとの思いも込めてこのお話を書きました。

 えっ? 「へっちょはいだら」ってどんな意味かって?

 それは……お話を読んでいただければ幸いです。

 

     

 

 

 

 

 

 


月刊こどものとも『はいくどうぶつえん』おおぎやなぎちか(福音館書店)

2025-02-10 | スタッフ新刊・活動紹介

        

 俳句絵本発売中です。

 月刊誌なので、書店に並ぶのは一か月。でもバックナンバーを置いてくださってる書店さんも多いし、幼稚園保育園で定期購読しているところも多いですね。

 発売から数日ですが、ゲラゲラ笑って聞いていたとか、嬉しい感想が届いています。

       

 こんなふうに園長さんが俳句を詠むと、どんどんそれが現実になり、動物園は大変なことになっていきます。サトウマサノリさんイラストは、リアルなのにとぼけていて愉快。

 ぜひ、お楽しみください。

      


『そこに言葉も浮かんでいた』おおぎやなぎちか(新日本出版社)

2025-02-09 | スタッフ新刊・活動紹介

      

こんな部活あります シリーズとして、小学校高学年から中学生に向けて作られたシリーズの一冊に書かせていただきました。

 自分が俳人として学んだこと、児童文学を書くようになり、学んだこと、ビブリオバトルを経験して学んだことを、物語に詰め込みました。

 言葉の力、言葉の魅力、言葉の大切さを日々感じる今、ぜひ読んでいただきたいです。

 よろしくお願いいたします。

 イラストは、彩田花道さん。光を感じるイラスト、素敵です。


怖いのは、モンスターより吹雪~『東北こわい物語』「スノーモンスター」執筆秘話

2025-01-06 | スタッフ新刊・活動紹介

みちのく童話会スタッフの野泉マヤです。

『東北こわい物語』では山形県の怖い物語「スノーモンスター」を担当しました。

     

樹氷のことをスノーモンスター(雪の化け物)と呼びますが、本当に怖いのはモンスターより吹雪なんですよ~。その恐怖の体験を元に、この物語を書きました。

私が住んでいる宮城県北西部は、年に一度あるかないかですが、高速道路が閉鎖されるくらいの地吹雪に見舞われることがあります。数年前には高速道路で玉突き事故があり、全国ニュースにもなりました。

高速道路が閉鎖されると、下の国道は大渋滞となります。以前、高等学校に勤務していた頃、ちょうど帰宅時にその地吹雪渋滞に遭遇したことがありました。いつもなら時速70キロくらいですいすい走れる道が、その夜は、のろのろ走っては止まる、の繰り返しでなかなか進みませんでした。

前方の丘を越える坂道には、車のテールランプが赤い数珠玉のようにつながっているのが見えました。

「こんなに多くの車が立ち往生してるんだ。いつになったら自宅へ帰れるのかな?」

普段なら30分で帰れるのに、既に車に乗ってから1時間もたっていました。

吹雪の風は強弱を繰り返します。弱めの時はテールランプのつながりも見えますが、強くなると真横から吹きつける雪以外、何も見えなくなります。うなり声をあげる激しい風に、車も揺らされます。

その時、私は恐怖に襲われました。「吹雪の中に、たった独りで取り残されてしまったのでは?」

もちろん、渋滞しているのですから、すぐ前にも後ろにも車を運転している人たちがいます。道沿いには民家もあるので、独りではありません。なのに、そんな錯覚によって恐怖を感じたのです。

吹雪の山で遭難した人が、避難小屋まであと一歩のところだったのに、なぜたどり着けなかったのか? という話を聞いたことがありました。遭難した人の気持ち、わかるような気がします。

物理的な距離は近くても、精神的な距離が遠くなり、孤立感に襲われる。

これが、吹雪の怖さです。

『東北こわい物語』を読んで、そんな吹雪を想像してみてくださいね。


「黒い石」(『東北こわい物語』)創作秘話

2025-01-06 | スタッフ新刊・活動紹介

こんにちは。みちのく童話会スタッフのみどりネコです。

このたび『東北こわい物語』に、秋田県の田沢湖に伝わる「辰子姫伝説」をモチーフにした「黒い石」という物語を書かせていただきました。

   

秋田にお住まいの方でしたら「辰子姫伝説」を一度は耳にしたことがあると思います。

その昔、辰子という美しい娘が観音様に永遠の美を願い、龍にされてしまいます。そのとき山が崩れ谷が裂け大きな湖ができました。辰子は最愛の母と別れ、深い湖の底に沈んでいきました。

「黒い石」を書く前に田沢湖を訪れてみると、辰子姫伝説は本当なのではないかと思えるほど田沢湖は美しく神秘的でした。

辰子姫のことを物語に書かせていただくのですから、ご挨拶をしなければなりません。

わたしは辰子姫に手を合わせ「貴方様の物語を書かせていただくことになりました。こわい話なんだども、なんとがごめんしてけれな(こわい話なのですが、どうかお許しください)」と心の中で辰子に語りかけました。(後半はなぜか秋田弁)

きっと辰子姫は許してくださったのでしょう。それから二年後、「東北こわい物語」は無事に刊行されました。暖かくなったらまた田沢湖に行ってみたいと思います。

皆様もぜひ一度足を運んでみてください。

物語は後半にかけて怖さが加速していきます。美しい田沢湖の写真(p.191 撮影:みどりネコ)と合わせてお楽しみください!                   

                                  (みどりネコ)


『家守神⑤忍びの里の青い影』おおぎやなぎちか作・トミイマサコ絵(フレーベル館)

2024-12-30 | スタッフ新刊・活動紹介

       

大人気シリーズ、とうとう5巻。最終巻が発売になりました。

古くから「つくも神」と呼ばれる妖怪の一種「家守神」と出会った少年拓の物語。個性的なキャラの家守神達とのやりとりも、最後になりました。

表紙に出ているお蝶さんは、急須に描かれた蝶の絵が抜け出して、少女に変化します。その手前にある黒いトンボ(ハグロトンボ)は、今回初めて出る新キャラ(新キャラ出るのに、終わります・・)

舞台は、東京下町から、長野県戸隠へ。

家守神達を描いた絵師、信山勘兵衛のふるさとへと移動し、彼らのルーツも絡んできます。

めでたしめでたしだけではない、ちょっと切なさのある終わりになりましたが、気に入っています。

年末年始、1巻から一気読みもお勧めです。

よろしくお願いいたします。


秋田放送テレビ「フロンティア」に登場~井嶋敦子

2024-12-18 | スタッフ新刊・活動紹介

 新刊『ゴール! おねしょにアシスト』が評判の秋田市在住小児科医、井嶋敦子が秋田放送テレビ「フロンティア」に登場。赤をクリックすると、アーカイブが視聴できます。

 勤務先の医院での治療の様子、執筆の様子、そして決意! ぜひ、ご覧ください。