みちのく童話会スタッフブログ

第3回を持ちまして、みちのく童話賞は終了ました。これからはみちのく童話会として、活動をしていきます。

みちのく童話会

 東日本大震災から10年のくぎりの2021年、東北地方の皆様から第1回みちのく童話賞を開催し、第3回まで、たくさんの作品、作家との出会いがありました。  童話賞終了後は、みちのく童話会として、活動を続けています。

「おとなボタン」(『東北おいしい物語』創作裏話)岩崎まさえ

2024-10-25 | スタッフ便り

  こんにちは。みちのく童話会スタッフの 岩崎まさえ です。

『東北おいしい物語』では、宮城県の笹かまぼこと牛タンをテーマに

「おとなボタン」を書きました。

 

        東北おいしい物語

 

   宮城県のおいしい物と聞かれたら、隣県の岩手に住む私でも

「笹かまぼこと牛タン」とこたえます。仙台の駅や街中で、

〝笹かまぼこ〟〝牛タン〟の文字をよく見かけます。

ところが、地元の人は家庭で、牛タンはあまり食べないと知りました。

おいしいというより、あこがれの味なんだそうです。

 

  さぁ、たいへん。大人でもなかなか食べない牛タンを、

物語の子どもたちに、どうやって食べさせよう……。

そこで思いついたのが、タイトルにもなった「おとなボタン」です。

  このボタンを押したら、子どもでも大人の味がわかるというもの。

大人たちが「おとなの味」と言って、なかなか食べさせてくれない、

牛タンと笹かまぼこも、これを押すと食べることができる

はずでしたが、創作の神様はそう簡単に、させてくれませんでした。

ああだ、こうだと、苦労して、やっと主人公の子どもに

食べさせられたときは、ホッとしました。

 さあ、子どもたちが初めて食べた牛タンと

わさびをつけた笹かまぼこの味は、

いったい どんなだったでしょうか。

ぜひ、本でたしかめてくださいね。

 

  ところで、『東北おいしい物語』を担当したスタッフが、

このブログで創作裏話を紹介するとき、必ず表紙をアップしております

じつは、途中から、微妙に表紙の絵が変わっています。

お気づきでしたか。

  変わったところを見つけていただいても、なにも出ませんが、

座敷わらしのような、こんないたずらがお気に召しましたなら、

ぜひぜひ、東北にも おいでくなんせ。

 

 

 


「手のひらサイズのしあわせ」(『東北おいしい物語』創作裏話)吉田桃子

2024-10-15 | スタッフ便り

       

みなさん、こんにちは。みちのく童話会スタッフ、吉田桃子です。

みちのく童話会でつくった東北アンソロジーをお読みいただいて、本当にありがとうございます。

わたしは、地元、福島県を舞台にした物語を書きました。

題材にした食べ物は「お米」です。

実は、当初は「ラーメン」で書くことが決まっていました。

福島県には喜多方ラーメンをはじめ、おいしいラーメン屋さんがたくさんありますので、

旅行中、食べたという方もいらっしゃるかと思います。

わたしも、ラーメンを題材にどんなお話を書こうか、あれこれ考えはじめていました。

でも、ふとひらめいたのです。

「ラーメンもおいしいけれど、福島といったら、これだ!」

それが「お米」でした。

お米は、わたしたち日本に住むひとにとっては、空気のように当たり前の食べ物です。

だからこそ、見落としてしまっていました。

しかし、食卓になくてはならないたいせつな食べ物です。(というのも、「空気」と同じようですね。)

 

わたしは、福島県のお米はとてもおいしいと思います。

そのまま食べてみると、ほんのりやさしい甘みがあり、おかずがなくても

何杯でもおかわりしたくなります。特に、今頃の時期に出る新米は最高です。

 

2011年の東日本大震災、福島県では原発事故が起き、それにともなって

農業は大変な苦境に立たされました。

風評被害はいまだ完全になくなったとはいえません。

しかし、あきらめずに農作物をつくり続けてくださった農家さん、業務にかかわるみなさんの

おかげで今は「福島のお米はおいしいね」という声がたくさん聞けるようになりました。

 

「手のひらサイズのしあわせ」は、震災後の2012年に福島県へ遊びに来た女の子が、そこで出会ったひと、自然、そしてお米のおいしさに感動し、自分の将来の夢を決めるお話です。

本が出来上がり、「題材をお米に変更してよかった!」と思いました。

(ラーメンのお話も、いつか、また……!)

 


「戦うキリタンポ鍋」(『東北おいしい物語』創作裏話)井嶋敦子

2024-10-07 | スタッフ便り
こんにちは。みちのく童話会スタッフ井嶋敦子です。
みちのく童話会のHPも担当しています(不備等ありましたらご連絡を)。
『東北おいしい物語』、私は秋田の秋の風物詩、「キリタンポ鍋」を題材にした物語を書かせていただきました。

 
まず、タイトルですが、「キリタンポ」よりひらがなの「きりたんぽ」の方がふつうです。
でも「戦うきりたんぽ鍋」だとひらがな続きでわかりにくく、より強いイメージ(笑)で、カタカナのキリタンポにしました。
 
小年サッカーチームの物語は、サッカー好きなので、自然に筆が動きました。
J2リーグのブラウブリッツ秋田を応援しています(他にも新潟・山形を応援中)。
物語に出てくるチーム名は、ブラウブリッツの代わりに、ナマハゲッツ秋田U12。
ブラウブリッツ秋田の前身のチームは、TDKサッカー部です。
物語ではDDKとなっていますが、わかる人にはわかるはず。
そしてブラウブリッツのエンブレムにはナマハゲがデザインされており、試合にはサポーター席にナマハゲが登場します。
 
うちのクリニックの近く、潟上市の「グリーンサムの杜」内に、ブラウブリッツ秋田の練習場があります。
この物語を書いている時にはまだ工事中でしたが、今はYKCスカイフィールド潟上という名のサッカー場になっています。
このサッカー場を舞台に想定して、物語を書きました。
 
勇太のじいちゃんの名前は中川竜彦。
これは元代表選手、久保竜彦をオマージュしています。
ドラゴン久保と言われたフォワードは、引退後は田舎暮らし。
不思議な魅力を持った選手でした。

 
さて、キリタンポ鍋の戦いになったキーワードは「糸こんにゃく」。
お店のキリタンポでも、入っている・入っていないと、いろいろです。
わが家は夫が断然「糸こんにゃく入れない派」。
中川家のきりたんぽ鍋のような薄味にしたら、夫に誉められました(笑)。
 
こんな感じで楽しく書かせていただいた「戦うキリタンポ鍋」。
みなさまにも楽しんでいただけたら幸いです。

「チームじょっぱり」(『東北おいしい物語』創作裏話)おおぎやなぎちか

2024-10-03 | スタッフ便り

こんにちは。みちのく童話会スタッフおおぎやなぎちかです。

『東北6つの物語』シリーズ、読んでくださった皆様、ありがとうございます。まだな方は、ぜひ読んでください。なにしろ、10月に入りました。秋です!

 食欲の秋です!

『東北おいしい物語』には、東北のおいしいものがぎっしりつまっています。

      

 みちのく童話会は、13人のメンバーで活動してますが、各県の在住(出身、ゆかり)にはばらつきがあります。例えば、宮城県には、在住作家が現在5人! でも青森県は、出身作家として、もえぎ桃さんがいるだけなんです。そこで、他の県の出身者が助っ人として青森の物語を書きました。この「東北おいしい物語」では、私おおぎやなぎが、担当したわけです。

 青森県、特に弘前市には、私が所属している俳句結社の支部のようなものがあり、何度か句会で訪れています。知り合いもいます。なので、書けそうだなあと思ったんです。

 そうだ、八食センターがいい。まずはそう思いました。八戸にある市場です。ここの魚介類が、おいしいんです。ここで食べたお寿司、おいしかったー。でも、待てよ。弘前もフレンチの町だし、ここに主人公が住んでいることにして・・・と妄想がふくらみ、実際に改めて取材がてら、弘前にホテルととり、朝電車で青森市を経由して陸奥湾を眺めながら青い森鉄道に乗り、八戸へ日帰りという、いわゆるロケハンをしました。

    

 八食センター

    

 せんべい汁と焼きホタテ(三陸の牡蠣も)。実際に行って食べたものです。これを本にも載せていただきました。

 両親がフレンチレストランを経営しているという設定なので、フレンチも食べましたよ! リンゴのポタージュスープ、おいしかったなあ(物語に最初出したけど、ちょっと浮いてたので、泣く泣くカット笑)。

「チームじょっぱり」の「じょっぱり」は津軽弁で、強情っ張りのこと。弘前の俳句仲間は「じょっぱり句会」という名前で俳句を楽しんでいます。頼もしい言葉だなあと思います。

 ストーリーは、クラスの男子とそのお姉さんといっしょに八食センターへ行き、大事なことを思い出す。そして大人の恋をちょっとかいま見るという内容です。

 ぜひ、読んでください。

 そして、青森へ行って、おいしいものを食べてください。

 これからは、リンゴの季節ですね。

 


「東北物語シリーズ」イラストこぼれ話

2024-08-28 | スタッフ便り

こんにちは みちのく童話会スタッフのおしのともこです。

「東北物語シリーズ」では、挿画を担当しました。

今日はイラストの制作秘話をお話ししますね!

 

「東北まつり物語」の場合

「祭り」は、地域の人と人をつなぐものであり、東北の魂でもあります。

その大切な祭りを描きたいと思いました。

挿画を描くときには、物語を何度も何度も読み込みます。

その物語の世界にどっぷりと入り込むイメージです。

必要があれば、その祭りの動画を見たり

歌や踊り、衣装や小物を調べたりします。

幸いにも今回は6つの祭りを観たことがあったため、

それぞれを思い出しながら絵を描いていきました。

 

一枚の絵を完成するまでにはラフスケッチを何枚も描きます。

特に、今回は表紙を描くふるやまたくさんとキャラクターを合わせるため、

服装や髪型を何回か描き直しました。

そんなふうに出来上がった「東北物語シリーズ」です。

東北の魅力が伝わりますように!

 

「青森ねぶた祭り」

母の生まれ故郷である青森は、私にとって「第二のふるさと」です。普段は大人しい青森県民の『魂の祭り』であるねぶた。そんな想いで描きました。

「福島わらじまつり」

初めて見たときは、わらじの大きさにびっくりしました!

全国一大きなわらじを心をひとつにしてかつぐ。祈りを込めて。

 

「仙台七夕まつり」

七夕飾りの華やかさ。

飾りをくぐると確かに、時を超えて不思議な世界に迷い込みそうな雰囲気です。

「山形花笠まつり」

うちの子どもが小学校のとき、発表会で踊った花笠踊り。大きな花笠をくるくる回してとても素敵でした。練習は羽奈みたいに大変だったかな?

 

 

「秋田竿燈まつり」

秋田で見た竿燈まつりの行列。身長の何倍もある提灯の竿は迫力満点!

子ども達も本当に上手でした。その影にはこんな練習とドラマがあったのかも。

「盛岡さんさ踊り」コロナ禍で地域の祭りは中止あるいは縮小して、例年のような活動ができないもどかしさがありました。そんな中でも香里のように、「あきらめずにできることをやろう!」と行動するパワー。大切だと思います。


みどりネコさんが、スタッフに参加!

2022-06-17 | スタッフ便り

 第1回みちのく童話賞で、大賞を受賞された、みどりネコさんが、このたび、童話賞スタッフとして参加されることになりました。

 HPスタッフ紹介をご覧ください。 *赤をクリックすると、飛びます。

  こちらも、ぜひお読みくださいませ! 

アマゾンにて、電子書籍、オンデマンドで発売中。ご購入の際は、電子かオンデマンドかをご注意ください)

 


講演会「岩手医大と宮澤賢治」のお知らせ

2021-10-12 | スタッフ便り

第74回岩手芸術祭「文芸祭」児童文学大会講演会

 「岩手医大と宮沢賢治」

講師)宮沢賢治記念館学芸員 牛崎(うしざき) 敏(とし)哉(や) 氏  

 

 と き  2021.10.24(日) 13:50 ~ 15:15

ところ  やはぱーく 大研修室 

(矢巾町活動交流センター 矢巾町駅東一丁目12-1)

 

聞いてみませんか「賢治と医大の知られざるエピソード」

定員50名 入場無料  

 

参加ご希望の方は下記の事務局まで, メールでお申し込みください。

メールのない方は、このブログ経由でもけっこうです。

定員にまだ少し余裕があるとのことです。

*みちのく童話賞スタッフ おおぎやなぎちか 岩崎まさえ ちばるりこ 田沢五月が参加します。もしよかったら、会場でお声をかけてください。

 

※13:30~同会場にて「県民文芸作品集」第52集応募作の選評を行います     

 

(主催)岩手県 岩手県文化振興事業団 岩手県芸術文化協会 岩手日報社 

IBC岩手放送 テレビ岩手 めんこいテレビ 岩手朝日テレビ エフエム岩手

(後援)盛岡市 NHK盛岡放送局 盛岡タイムス社 胆江日日新聞社

 岩手日日新聞社

(事務局)岩手芸術祭実行委員会児童文学部門 

     千葉留里子

     メール : ruri60-60@outlook.jp


牛さんのこと~堀米薫(和牛農家&児童文学作家)

2020-06-02 | スタッフ便り

こんにちは~!

みちのく童話賞スタッフ:堀米薫です。

宮城県で農家(和牛、水稲、林業)をしながら、児童文学を書いています。

今回は、専門の「牛」のお話をしますね!

 

よく、「酪農家」と紹介されるのですが、そんな時は、居心地が悪くて体がもぞもぞしてしまいます。

だって、酪農家とは乳牛の農家なのですから。

我が家は、和牛を飼う「肉牛農家」もしくは「和牛農家」なのです。(きっぱり)

同じ牛でも、乳牛は、足も長く体も大きいのに対し、和牛は、ずんぐりむっくりです。(ヨーロッパ人と日本人みたいでしょ?)

牛の性格矢体質、食べるえさや飼い方も、大きく違います。

 

乳牛の話は酪農家さんにお任せするとして…。

和牛は、赤身の間に脂の入った「さし」が有名ですよね!(和牛のことになると、つい身を乗り出しちゃいます!)

この脂には、芳香があるうえに、魚の脂に近い(常温でも溶け出しやすい)という特徴があるんですよ。

日本は、ヨーロッパと違って乾草が十分に収穫できる環境ではないので、冬の間和牛に与えられるのは、稲わらしかありませんでした。

がざがさの稲わらを食べて生き残ってきたんですね~!けなげだわ。(でも、わらには納豆菌があるし、胃の中で発酵させるのにはなかなかの優れもの!)

そして、長い歴史の中で、たまたま「さし」が入る遺伝子が残ってきたわけです。

和牛の「さし」は、遺伝子の賜物なのです。(日本の財産なんです!と力説!)

 

和牛は、3年近く育てて、最終的に肉用に出荷します。

出荷というと、頭の中にドナドナの世界が浮かぶ方も多いかも。

農家になりたてのころは、正直、別れの切なさを感じる時もありました。

でも、和牛農家になって数十年の今は、胸を張って送り出しています。

牛との生活は、正月もお盆休みもありません。

たとえ自分が高熱でふらふらでも、牛の世話を休むことはできないないです。(子育てと一緒ですね)

さらに、牛は体重1トン近くにもなり、人間がちょっと気を緩めれば、すぐさま命の危機に・・。(骨折や打撲も何度もありました~汗

牛との3年間は、牛も人も、まさに命がけ。

全力で牛を守り、育てあげてきたという実感があるんです。

だから、牛たちが私たちの命となって生き続けてくれるという誇りとともに、送り出すことができるんですよ。

 

・・・で、そんな和牛農家の私が、なぜ、児童文学を書いているのか。(全然違う仕事ですよね!)

それは、牛が、さまざまなことを、教えてくれるからです。

さまざまなことって何?!

 

・・・・それは、ぜひ、私の著書を読んでくださいね!(それかい!)

堀米薫

 絵本『ゆうなとスティービー』ポプラ社(堀米薫作・丸山ゆき絵)

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 かくゆう、私も、堀米さんのことを、酪農家と紹介してしまったことがあります。反省。『ゆうなとスティービー』とてもいい絵本です。ぜひ、ご覧ください。

 あのおいしい和牛、稲わらを食べてるんですね。知らないことが、多すぎる。そして、おいしいお肉、食べたい~。(お)

 

 

 


児童文学作家を目指して② 《楠章子先生との出会い~次は私の番》 丸山千耀

2020-05-21 | スタッフ便り

 

児童文学作家を目指して② 《楠章子先生との出会い~次は私の番》  丸山千耀

私は拙作『星屑のブロンシュ』を執筆するまで、

漠然と「作家になりたい」としか考えていませんでした。

しかし、大学2年生の児童文学を学ぶ講義で楠章子先生にお会いし、

「児童文学作家になる!」と決意しました。

 

楠先生の授業では、

何歳のどの子に向けて書くかによって、

テーマや登場人物の設定の仕方、物語の書き方などが大きく変わることなどを学びました。

例えば、幼年さん向けなら、

シンプル(簡単)な文章・内容を、ストレートな表現で描くことが大事になります。

 

また楠先生は、相手の心を動かす原稿の書き方を勉強する方法として、

「作品の構造分析」を教えてくださりました。

作品全体を見た時に1章は何のために存在するのか、

登場人物の気持ちはどのように変化しているのか……。

感覚で物語を書いていた私にとっては、大きな気づきを得た時間でした。

児童文学は先生の授業で初めて書いたのですが、

心の中で火花がぷちぷちと鳴っているような、

身体が生き生きとしたことをよく覚えています。

 

思い返せば、私は誰かの光となる物語が書きたいと考えていました。

窮屈な気持ちを抱いている人の心をほぐせるような、

そんな物語が書きたいと思っていました。

 

大人になると思うことがあるんです。

子どものころ、いろんな児童書を読んでいたから、

つらいことも苦しいことも、乗り越えることができたのだと。

実は小学生のころに、楠先生が執筆された『神さまの住む町』は読んだことがあり、

胸のあたりが、じーんと温かくなったことを覚えています。

作品の舞台になっている町に行ってみたいとも思いました。

また、大学見学の際にお会いした越水利江子先生の『忍剣花百姫伝』については、

同作品の人物を登場させた物語を書いて一人で楽しんでいたことがありました。

次は私の番ではないかと、勝手に思っております。

私も、柔らかい魂を持つ子どもたちに、

「一人の人間として大事にしたいこと」「苦しくてもきっと小さな光はあるということ」

が伝わる物語をそうっと届けることができたら、

やさしい世界を構築するためのお手伝いができるのではと信じています。

 

長くなりましたが、

物語を読む、書く行為には心を強くする力があると思っています。

ただ、物語を書くというのは楽しさだけでなく、不安も少し付き纏うような気がします。

私はまだ、児童文学作家になれていません。

でも、児童文学作家になりたい!と

社会人になった今でも強く思い、行動し続けることができたのは、

学校や大学の先生・同期、児童文学作家の方々、童話塾で出会った方々など、

大変素敵な縁に巡り合えたからだと思っています。

そして、「賞」というお守りをいただくことができたからです。

私は、みちのく童話賞も、

児童文学を書き続けるための「お守り」になると考えております。

みちのく童話賞が、子どもや大人、そして社会全体のやさしい希望につながると良いなと、

心から願っております。

 

私も、これまで出会った方々への恩返しの気持ちも込めて、

誰かが持っている暗くて硬い体験や感情を、

温かく柔らかいものに少しでも変えることができる作品を書くため、

静かに心を燃やし続けます。

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 丸山さん、熱い思いを、ありがとうございました!! 

  楠章子先生は、現在も東北芸術工科大学で講師をされています(通年ではないので、HPなどでお調べください)。

 この文章に刺激されて、作家を目指す方が出るかもしれません。

   *写真は、丸山さんのお友達からの提供です。「奥の細道」って、感じですね。ありがとうございます。(お)


児童文学作家を目指して① 《そして東北芸術工科大学へ》  丸山千耀

2020-05-19 | スタッフ便り

はじめまして。

みちのく童話賞スタッフの丸山千耀(まるやま ちあき)と申します。

2018年に山形県にある東北芸術工科大学の文芸学科を卒業し、

今年で社会人3年目になります。

 

私が作家になりたいと思ったのは小学生のころでした。

今年で25歳になるので、十数年前のお話です。

小さいころから内気で、休憩時間も一人で本を読んでいることが多く、

クラスメイトからは「真面目だね」とか「一人が好きなんだね」と言われていたような気がします。

でも、本当は友達とおしゃべりしたかったし、外で遊びたいと思っていました。

読書は孤独の寂しさを埋めてくれるもの、そう考えていました。

 

小学生のころから読書と同じく、よくしていたのが、

物語を書くことでした。

自分が考えたお話を真っ白の紙に書いて、家族に見せていました。

クラスの担任の先生に読んでもらったこともあります。

1年生のときの担任の先生は、私が書いた物語に、

「よくできました」のシールを貼り、クラスみんなの前で褒めてくれました。

 

小学校の卒業文集に、

私は堂々と「作家になりたい」と書きました。

中学生になっても、高校生になっても、私の夢は変わらず作家でした。

ただ、実際は作家になれるほどの完成度の高い物語は書けておらず、

どうしたらいいのだろうと悩んでいました。

 

東北芸術工科大学。

高校2年生のころ、進路を悩んでいたときに目に飛び込んできたのが、

山形県にある、芸術やデザインを学べる大学でした。

同大学には、本物の作家や編集者、評論家の先生方がいらっしゃいました。

物語はどのように構築すればいいのか。どのようにキャラクターを作ればいいのか……。

読者の心を動かす物語を書くために欠かせないテクニックを、

たくさん教えていただきました。

また、自分が書いた原稿を丁寧に見ていただき、

どうしたらより良くなるのかアドバイスもしてくださりました。

私は負けず嫌いなので、納得するまで何度も書き直し、

先生に提出していたような気がします。

先生も大変だっただろうと思いますが、

ご指導のおかげで、自分の作品が、

同大学の文芸学科が中心となり執筆・編集する文芸誌「文芸ラジオ」1号に載りました。

そして、なんと第2号には文芸ラジオ新人賞受賞作として『星屑のブロンシュ』が載ったのです。

驚きました。

あの時の感動は、今でも忘れていません。

文芸学科の先生方や文芸ラジオ編集部の皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。

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 作家を目指している若い方にとって、刺激となるレポートでした。②もありますので、お楽しみに!(お)