幼稚園児に戦前の「教育勅語」を暗唱させることで知られる学校法人「森友学園」(大阪市、籠池泰典理事長)が4月に開校を予定している小学校設立の認可適当と答申した大阪府私立学校審議会で同学園の資金面やカリキュラムについて委員から不安や疑問が出されていたことがわかりました。
同小学校は、安倍晋三首相の妻の昭恵氏が名誉校長。小学校用地として大阪府豊中市の国有地が不透明な形で同学園に払い下げられていました。
大阪府私学課が日本共産党府議団に提出した私立学校審議会(私学審)の議事録によると2014年12月18日の会議で府は、新校を設立する場合に文部科学省が会計基準で定めている基本金(蓄え)が「ゼロ」と報告。委員から「計画性がない」と指摘されています。初年度から黒字とするなどの学園側の収支計画についても「大丈夫か」などの不安や生徒が集まる根拠への疑問などがだされています。
カリキュラムについても1、2年生の道徳や特別活動の時間が国基準より大幅に多く、委員からは「教育内容はなんなのか」「どちらかというと思想教育のような部分がある。少し違和感は覚える」といった懸念がだされています。
府側は私学審での認可適当の答申を前提に15年2月に国有地の処分の是非を審議する国有財産近畿地方審議会が開かれると報告したものの、14年12月の会議では結論を保留。15年1月27日に臨時の審議会を開催。指摘された問題について学園側が提出した書類についてなお「人件費が30%いかない。相当ひどいことをしないとできない」「まずい場合は認可しかるべしを取り下げる」などの意見が出されました。しかし、学校建設にかかる工事請負契約の締結状況や寄付金の受け入れ状況、詳細なカリキュラム、入学志願の出願状況など、開校にむけた進捗(しんちょく)状況を次回以降も審議会に報告する条件付きで認可適当と認め府に答申しています。
府教育庁によると府が3月末に認可の是非を判断する予定です。