詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

あなた わたし

2015年06月22日 | 

あなた

わたし

あなた

わたし

あなた
と言って
わたし
と言うとき

あなたとわたしのひろがりに
図書館があって
思い思いの窓辺に座って
互いの本を読んでいる
伏線を探し
引用したい箇所は山ほど
行間に息を吹き込み
どこかにそっと爪痕を残すことを忘れない


あなた

と言って

わたし

と言うとき

あなたはビー玉の夜をドライブしている
オーロラの襞の間から見える横顔では
怒っているのか運転に集中しているのかわからない
わたしは夢の登場人物の一人で
指先がかすれている


あなた       わたし

あなた
と言って
わたし
と言うとき

あなたとわたしの間には
長い廊下があって
柱と交互に並ぶ細長い窓が
壁と絨毯に白い筋をいくつも投げかけてほの明るい
静けさに心の足音が聞こえる


あなた
と言って

わたし
と言うとき

どれほど多くを交わしあっても
決して混ざらない
水のようにひんやりと
ひとりとひとりであることを感じて
よろこびにふるえる
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