雨宿り
2017年06月11日 | 詩
建物の下をアーチのように
くぐり抜けられる通路
その両側にベンチがある
壁面に彫られた像のように
その暗がりに座っている
雨音の形が草花や
アスファルトや煉瓦に
ぶつかってわれる
雨樋や排水溝をうたう
樹々を飛び交う鳥の鋭い声が
ときおり栞のように挟まれる
何十種類もの水の音が
意識のわれめに沿って
内側へ沁み込み
ひとすじのインクを結ぼうとする
あれは
いつのことだろう
結ばれそうになって
ほどける
それはいつなどと
名付けられるようなものではなく
透明な時
水はしゃぼんのような
わたしの外側を
伝い流れていくらしい
耳を澄ますと
ひとの記憶を持ちながら
わたしもしずくの一滴となって流れている
なにかのうえを水の影になって流れている
結ばれない時の中で
聞いているわたしは幾重にも透明で
心でも体でもなかった
くぐり抜けられる通路
その両側にベンチがある
壁面に彫られた像のように
その暗がりに座っている
雨音の形が草花や
アスファルトや煉瓦に
ぶつかってわれる
雨樋や排水溝をうたう
樹々を飛び交う鳥の鋭い声が
ときおり栞のように挟まれる
何十種類もの水の音が
意識のわれめに沿って
内側へ沁み込み
ひとすじのインクを結ぼうとする
あれは
いつのことだろう
結ばれそうになって
ほどける
それはいつなどと
名付けられるようなものではなく
透明な時
水はしゃぼんのような
わたしの外側を
伝い流れていくらしい
耳を澄ますと
ひとの記憶を持ちながら
わたしもしずくの一滴となって流れている
なにかのうえを水の影になって流れている
結ばれない時の中で
聞いているわたしは幾重にも透明で
心でも体でもなかった
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