飛び立つ
2023年02月03日 | 詩
自由な裸足を求めて
ぼくは飛び立つ
小さな窓から覗いていると
飛行機の羽がパタパタし
遠くの煙が見えたり隠れたりし
揺れとともにぼくらはスピードを増し
曇天を映してちりめんのように光る海と平行になる
煙が雲に届く様を眺めながら
薄めたようなブルーグレーの空に向かって身を投げ出した
街は小さくなって精密機械の
半導体が並んだ基盤のようになり
0.001マイクロの人いきれが
からまりをほどいて遠ざかる
靴を空っぽにして
裸足はぼくにぴったりのサイズだから
どこまで遠くに行けるだろう
とても遠くに行くために
ぼくはぼくにぴったりとしていよう
この空っぽに包まれた裸足から
スタートしたいから
自由になったら
なりふりかまわず好きにする
なりふりかまわず好きなだけ
役に立たない細部にこだわるんだ
数時間の雲を縫って進んだ機上の旅がおわりに近づき
たどり着いたその土地はまだ明るかった
もう明るかった
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