金平糖
2020年08月20日 | 詩
ホテルの庭に面したレストランで
テーブルクロスと明るい紅茶に目を細めた
新緑の季節
窓からは金平糖のように
色がぽろぽろこぼれてきて
一瞬の間を置いて
それが風の音だと気がつく
いつしかそれは笑い声
木漏れ日がティーカップの中
あの人の瞳のような感じやすい液体に
やさしい影を作っていた
ティーカップの丸みの向こうに
蟻の小さな尻がのぞいていた
笑ってこぼれそうになるので
早く紅茶を飲んでしまいなさいよと
言うのだけれど
その琥珀色の液体に浸る
くろいともしろいとも見える影を
壊さないようにする
そういう遊びだったので
わたしたちはいっそう
笑った
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