詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

プレスト

2015年04月16日 | 
街が昏くなっているので
青が余計に光って見える
西の方で黒い雲がもくもくと育っている
押し寄せてくる

こんなときは無数に扉が開いている
本のページも開いたままになっている
女性の髪はふくらんでいる
嵐を孕んでいる

飛び立つつもりだったコップを
丸ごと体の中に取り込んで
あふれるものはすべてそこからと
わかってしまったが
なにか
この対比と空に
その下の不吉に沈む街に
わくわくしてしまう
懲りずに何度でも

窓から見えるサタンとミカエルの闘いのような景色に
まだ平和な空の街を運んでいるこちら側の窓が浮んでいて
ながれながれながれていって
足早に通り過ぎる家々の窓の
不安げな表情を見てしまう
背後のスペクタクルから切り離されて
あっち向いたりこっち向いたり
好き勝手な空間をコラージュしている
顔の連符を見てしまう
私も顔の間をすり抜けて
好き勝手な空間を生きている

高架はぐっとカーブして駅のホームに入る
おかえりと言いながら
銀色が次々に灯っていく
急き立てられて跳び上がり
飛び出すと
地上に降り立った者は正体を隠しながら
大気の中の暗号を解読する
指が拍子を取っている
何の匂いか思い出せない
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