詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

2015年04月20日 | 
ポリフォニーは
互いの音をよく聴き合って
かえってつつましやかだ
光のあたる舞台の上で
ピアニストは指と虚空に意識を集め
焦点から流れを立ち昇らせる
聴衆は息をひそめて
耳から伸びた棒のずっと先で
落としてきた小石を辿るように
顔を傾ける

集中のため人はいなくなり
会場は、風がなめらかにうねらせる草原

コホン
遠く誰かが乾いた咳をする
壁を擦る翳りのような男の人の頬
その遠慮がちな音はまるで
この世に産み落とされた悲哀

止められない流れの中で
わたしの望みも哀しみもあるけれど
美しい風景を前に
大きさの前に
邪魔すまいとして
そっと岩陰に隠れるような身振り
そのとき
彼はたてがみをなびかせる
一頭の野生馬のようで
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