詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

わたしを代表してお礼を言います

2015年08月08日 | 
ときどき無性に自分が嫌になる
いい歳をして無性に自分が嫌になる自分も
不定期に
でもイエローストーンの間歇泉くらい激しく
白い石がひっくり返り
ぱたぱたぱたぱた裏返り
真っ黒
放っておけば黒になる石
苦労して白にしろ
という意思
あれこれの理屈
蜘蛛の糸を操るみたいに支え続ける
もうすっかり面倒
ひと思いに間歇泉に飛び込みたくなるよう
涙ぐんで喉が痛くなって
少しゆっくりになる

このまま家に帰りたくない
寄り道とまり木の喫茶店で
コーヒーを飲みながら
空中に注意を集中して
元気になれそうなことを
ひとつひとつ並べてみる
まるで冴えない
バッグから葉書とペンを出し
連絡しようと思って気になっていた友だちに
手紙を書くことにする

暑中お見舞い申しあげます。
ここで手がとまり
ふと目にとまる
ペンを持ったまま
置物みたいにじっと動かず
テーブルに乗っている右手
手首のところがちいさくプクリプクリ
青く浮き出た血管が
静かに呼吸している
新種の生きものを発見したように
びっくりする

感情の暴力
漂い続ける暗緑色
文句ひとつ言わず
立ち止まることなく
ずっと働いてきたんだ、きみは
きみの強さのおかげ
わたしは生きてこられ
飽きもせずあぶくをプクリプクリ
噴いているんだね
誰も知らない川底の
湧き水みたいに

きっとまた
すぐに忘れてしまう
感覚がまだ透き通っているうちに
お礼を言っておくよ
ありがとう
いろんな感情をありがとう
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