MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

いかに生きるべきかのメッセージ 2「未来と響き合う」~ 奈良1300年の伝統から未来へ

2011-01-10 12:53:47 | Weblog
 いかに生きるべきかのメッセージ 2 「未来と響き合う」~ 奈良1300年の伝統から未来へ 

 2011年のキーワードを私なりに考えてみました。
 それは「未来と響き合う」ということです。

 見えるものと見えないものとの間で、過去の心と響き合うことで、私たちが「どこから来たのか」、私たちの姿そのものも見えてきます。「系図」への回帰とでも呼んだらよいのでしょうか、日本での取材活動を通して、そんな貴重な体験を作品として、育てることができました。

 実際、奈良に遺されたアジアの太古の伝統から、世界の人々と響き合う作品を創るために、この7年間、取材を深めれば深めるほど、1300年という歳月を経て、受け継がれてきたものが持つエネルギーの強さに圧倒されるのを感じます。時空の壁を突き破って届けられた「タイムカプセル」のように、太古の時代の神々や人々の心をしっかりと凝縮させているからです。

 大仏さまは、見えない仏の心と人のこころが響き合う、「つながり」を光の道として、語りかけてくださいます。
 そしアジアの王朝芸能として、1500年以上の歴史を持ち、日本にだけ遺された貴重な舞楽。
舞楽では、仮面や舞、音楽を通して、見えないものとかたちあるものが響き合い、呼応し合う「和楽」(笠置侃一先生のお言葉)がその原点にあります。

 この二つをテーマに、人類が共有しうる平和へのメッセージとして、二本のショートムービー&クロスメディア作品(「大仏さまは生きている」「仮面のいのち 春日大社の舞楽 若宮おん祭の舞楽」)を制作・監督し、昨秋の個展「光の道:祈りと芸能のシルクロード」に引き続き、昨年末、奈良県・平城京1300年遷都祭主催の「祈りの回廊 発展フォーラム」で上映発表いたしました。作品は寺社に寄贈させていただいたことをはじめ、これから世界の多くの方々と共有していきたいと願っています。

 奈良を訪れると、1400年の古(いにしえ)の心から見つめられると同時に、そのメッセージを、さらに未来へと思いを伝える勇気をいただきます。無常な生の有限な時間のなかだからこそ、精神の光という、変わらないものを見つめることの大切さを知り、見えないもの、本物のもつ力を感じます。

 私にとって、そのことに出合えるのが、大仏さまであり、神の「まほろば」である奈良の祈りと芸能の伝統なのです。
 
 本年も、シルクロードの終着の地である奈良、日本の1400年の精神文化の伝統から、世界に向けて平和を発信したいと存じます。

2011年1月吉日

伊藤みろ

写真:東大寺鏡池
Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.
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[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン   刊行日: 2010年2月24日
定価: 2,000円(本体1,905円)判型: A5上製 ページ数: 144ページ
ISBN: 978-4-270-00564-4
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[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進。作品はすべて寺社をはじめ、世界の図書館や美術館、大学や財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。
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記事、写真の無断転載を禁じます。
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「いかに生きるべきか」のメッセージ ~ 平城京遷都祭「祈りの回廊 発展フォーラム」で映像作品を上映

2010-12-31 21:29:22 | Weblog
「いかに生きるべきか」のメッセージ ~「祈りの回廊 発展フォーラム」で映像作品を上映

 2010年は、私にとって、書籍発刊や映像作品発表、個展開催などで、平城京記念のプロジェクトに捧げた1年でした。

 全国的な盛り上がりを見せた奈良県・平城京遷都祭主催の最終イベント「祈りの回廊 発展フォーラム」(12/23) では、大仏さまと春日大社舞楽を紹介する二本の映像作品を上映させていただきました。ともにアートを通して平和を伝えるドキュメンタリー&クロスメディア作品として、私自身がプロデュース・撮影・執筆した初監督作品(EOS静止画・動画によるショートムービー、企画制作:メディアアートリーグ)です。

 二つの作品には、この7年間、奈良の伝統と向き合う中で、育ませていただいた神仏への感謝、歴史の重み、平和への願いのすべての「思いの丈」を込めました。監修のご支援をいただいた東大寺や春日大社の先生方、南都楽所の笠置侃一先生からのご指導には、本当に感謝の気持ちで一杯です。

 さて、平城京遷都1300年を記念する、11月からの一連の作品展ならびに作品上映(個展「光の道:祈りと芸能のシルクロード」は、かつて東ベルリンで体験したベルリンの壁崩壊から21年、NYで目撃した「9.11」同時多発テロ事件から数えますと、10年来のひとつの目標を遂げた「折り返し地点」のように思えました。

 これからどこまで辿り着く事ができるのか、私が少なくとも、奈良での取材活動を通して、仏教や神道の教えと神仏習合の伝統を知って、自信を持って伝えることができることがあるとすれば、人として目指すべき、「光の道」があるのでないか、ということです。

 私自身、自分の生きる意味を求めて、ドイツやアメリカで永住権を取得しましたが、いまは誰もがもつ「心、本来の輝き」とともに、「苦」をも私自身の「人格の一部」として認め、それを大きな感謝に変えることができることを、奈良で学びました。

 この経緯は、拙書「心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い」(フォトエッセイ、武田ランダムハウスジャパン)にも詳しく書かせていただきました。同書では、私自身の「魂の旅」の経緯を綴らせていただいただけでなく、奈良を代表する森本公誠東大寺長老、西山明彦唐招提寺執事長、辻村泰善元興寺住職、岡本彰夫春日大社権宮司の先生方から、「奈良の1400年の叡智」として、仏教や神道の教えを通して、「いかに生きるべきか」のメッセージを頂戴いたしました。奈良に関心を持つ方々だけでなく、多くの方々に「いかに生きるべきか」についてのひとつの指針として、ぜひ読んでいただきたいと思います。

 もとより「いかに生きるべきか」は、人として本来、何が大切かを見失いがちな現代社会では、答えのない問いかけかもしれません。私自身の体験から申し上げることをお許しいただければ、仏教や神道は、そうした問いかけへの答えとなりうるのではないでしょうか。仏教は「すべてが繋がっている」ことを諭してくれます。一人一人が煩悩の垢を削ぎ落として、心を磨くことで、誰もが仏陀(悟れる者)になりうる道を示してくれます。また神道は、自然に遍満する神々の息吹によって、すべてが活かされていることの感謝を教えてくれます。

 新年では、これら奈良発の日本の精神文化の作品を、日本語だけでなく、さらに広く海外へと英語で発信する予定です。奈良に遺された叡智を世界の多くの方々と共有し、宗教や文化の違いを超え、平和のための相互理解に役立てていきたいのです。そのために私自身、この7年間、NYから日本に一旦拠点を移し、奈良を中心に取材活動を展開してきました。

 世界に平和が訪れることがあるとしたら、それは仏陀の教えのように、人が光となる道である「光の道」を目指して行くことを措いて他はないのではないでしょうか。このことは「光の子となるために、光のあるうちに、光を信じなさい」と説き、自ら「いかに死にゆくか」を示すことで、「いかに生きるべきか」を示したイエスを範とする、キリスト教でも同じことなのではないでしょうか。
 
 Peace is in the way for light ..... 2010年大晦日に、平和への祈りを込めて

伊藤みろ

写真:東大寺二月堂からの夕陽
Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.

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[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン 刊行日: 2010年2月24日
定価: 2,000円(本体1,905円)判型: A5上製 ページ数: 144ページ
ISBN: 978-4-270-00564-4
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[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進。作品はすべて寺社をはじめ、世界の図書館や美術館、大学や財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。
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東大寺伎楽面 春日大社舞楽面 祈りと芸能のシルクロード 写真展開催 ごあいさつ (伊藤みろ by Miro Ito)

2010-11-16 01:31:55 | Weblog
祈りと芸能のシルクロード 東大寺伎楽面 春日大社舞楽面 伊藤みろ 写真作品展

ごあいさつ

古代の日本は、中国大陸や朝鮮半島などアジアの隣国との交流が盛んで、710年に都となった平城京は、アジアの文化の粋を集めた開かれた国際都市でした。

西の果ては地中海に続く、ユーラシア大陸を貫く「シルクロード」を経て、ペルシアなどの国際色豊かな宝物とともに、インドからの仏教の教えが中国を経て、数百年の時をかけて奈良まで伝来しました。

奈良は、北のステップロード、中央のオアシスロード、南海路の三つのシルクロードの終着地であり、数万キロと数千年の旅路からの有形無形の宝物を、今日まで遺しています。

それらは正倉院の御物として知られるだけでなく、「精神」という地平の上で、光の教えのシンボルとしての東大寺の大仏さま(盧舍那仏)や、ユーラシア大陸最古の仮面劇(行道を中心とした一種のパントマイム)といわれる伎楽、中国や朝鮮半島の王朝芸能として伝えられた舞楽など、「祈りと奉納」のかたちに託されてきました。

こうしたユーラシア文化の豊かな結晶の上に、日本古来の信仰や文化が融合し、日本文化の基礎が作られていきました。

本展では、「精神のシルクロード」と呼びうる「祈りと芸能のシルクロード」というコンセプトにて、アジアの共通の遺産として天平期から中世の仮面芸能の紹介を行います。「天平文化」に託された「精神性」を、アジアの太古の祈りと奉納の文化を結集させたものとして、作品を通じて未来にむけ、国境を越えて発信いたしします。

奈良が守り続けてきたシルクロードの遺産、アジアの連帯のシンボルである、幻の芸能である伎楽、アジアの王朝芸能の伝統を今日まで伝える舞楽。それら1500年以上の伝統の上に立つ「人類遺産」としての文化力、その智慧と時空を超えた美を知っていただくことで、その源である中国や韓国、インドシナ諸国をはじめ、広く世界の方々とつながり、歴史と未来とを豊かに結んでいくことができることでしょうか。願わくは、この展覧会が平和な未来への、平城京の伝統からのメッセージとなればと願っています。

この展覧会をご覧になる、ひとりでも多くの方々が、奈良の伝統を通して、過去や未来と出合い、地球規模の視点から、文化を「共有・伝承」する、心の架け橋となってくださることを願ってやみません。

伊藤みろ (メディアアートリーグ代表)


撮影協力:東大寺 春日大社 奈良国立博物館
後援:社団法人平城遷都1300年記念事業協会
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奈良まほろば館 展覧会 (2010年11月14日~19日)
祈りと芸能のシルクロード 
東大寺伎楽面 春日大社舞楽面
伊藤みろ写真作品展

11月17日 (14:00~15:30)
「東大寺の伎楽面 春日大社の舞楽面」 
記念講演
秋田真吾氏 (春日大社学芸員)

※聴講をご希望の方は、下記までお申し込みください。
http://www.mahoroba-kan.jp/
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-6-2 日本橋室町162ビル1F・2F
開館時間 10:30~19:00 TEL:03-3516-3931 FAX03-3516-3932
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[ フォトエッセイ(最新刊)]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン

 刊行日: 2010年2月24日
定価: 2,000円(本体1,905円)判型: A5上製 ページ数: 144ページ
ISBN: 978-4-270-00564-4

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[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進中。作品はすべて寺社をはじめ、世界の図書館や美術館、大学や財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。

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Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.


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祈りと芸能のシルクロード~東大寺伎楽面 春日大社舞楽面~伊藤みろ写真作品展 開催のご案内

2010-11-14 02:05:39 | Weblog
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奈良まほろば館 展覧会 (2010年11月14日~19日)
祈りと芸能のシルクロード 
東大寺伎楽面 春日大社舞楽面  
伊藤みろ写真作品展 
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「祈りと芸能のシルクロード : 東大寺伎楽面 春日大社舞楽面 ~ 伊藤みろ写真作品展」が始まります。Canon EXPOでの個展「光の道:祈りと芸能のシルクロード」を好評のうちに終え、奈良県の広報施設・奈良まほろば館(東京 日本橋)で展示が行われます。

 平城遷都1300年を記念して、シルクロード伝来のアジアの文化の結晶を「祈りと芸能の道」として紹介いたします。アジア最古の仮面劇といわれる、幻の芸能「伎楽」(ぎがく 日本だけに仮面が現存) 。 そして1500年前に日本に伝来し、今日まで継承されている舞楽に光を当てます。とりわけ舞楽は、日本にのみ遺され、中国や朝鮮半島ではすでに滅びてしまったアジアの太古の王朝芸能の伝統を、今日に伝えるものです。伎楽面(天平期)、舞楽面ともに、大変貴重な「人類遺産」といえるものです。

 伎楽では、752年(天平勝宝4年)の大仏開眼供養会のときに奉納されたといわれる、東大寺の伎楽面(重要文化財・天平時代)を写真作品として紹介します。東京国立博物館で開催中の「東大寺大仏―天平の至宝展」(12月12日まで)で展示中の二体を含む、八体の写真作品を展示いたします。伎楽面は、同東大寺大仏展で本物をご覧いただくことができます。

 舞楽では、春日大社の秘宝である重要文化財指定の舞楽面(平安時代~江戸時代ほか)を含む、九体を写真作品として紹介いたします。春日大社では現在「平安の正倉院展II 花開く舞楽の美」展(2011年1月16日まで)が開催されており、展示作品の舞楽面の実物を見ることができますので、興味のある方は、ぜひ奈良までお出かけください。

 また奈良まほろば館では、11月17日の14:00から春日大社学芸員の秋田真吾氏による記念講演が催されます。春日大社の舞楽面ならびに東大寺の伎楽面について、お話をお聞かせいただきますので、ご希望の方は、奈良まほろば館までお申し込みください。

  私の活動「メディアアートリーグ」は、アートを通して平和を伝える活動として、日本に遺され、守られている人類遺産を展覧会として発表し、寺社をはじめ、世界の著名な図書館や美術館、大学などに寄贈して行く活動です。
  国際間を生きてきた人間として、アートをメディアに、世界の平和に役立たせていただきくことが活動の目標です。

 東大寺伎楽面、春日大社舞楽面の造形としての完成度と時を超えた輝きは、それぞれ古代、中世の頂点といえるものです。ぜひご覧ください。

伊藤みろ


[展示作品]

東大寺伎楽面 八体 国指定重要文化財
酔胡王 酔胡従 迦楼羅 力士 太孤父 治道 婆羅門 崑崙

春日大社舞楽面 九体
地久 崑崙八仙 貴徳鯉口面 納曽利 散手 新鳥蘇(以上 国指定重要文化財) 蘭陵王(二点)
還城楽

撮影協力:東大寺 春日大社 奈良国立博物館
後援:社団法人平城遷都1300年記念事業協会

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奈良まほろば館 展覧会 (2010.年11月14日~19日)

祈りと芸能のシルクロード 
東大寺伎楽面 春日大社舞楽面  伊藤みろ写真作品展

11月17日 (14:00~15:30)
東大寺の伎楽面 春日大社の舞楽面 
記念講演 秋田真吾氏 (春日大社学芸員)

http://www.mahoroba-kan.jp/
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-6-2 日本橋室町162ビル1F・2F
開館時間 10:30~19:00 TEL:03-3516-3931 FAX:03-3516-3932
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[ フォトエッセイ ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い   
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン
刊行日: 2010年2月24日  定価: 2,000円(本体1,905円)
判型: A5上製 ページ数: 144ページ
  ISBN: 978-4-270-00564-4
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[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進中。作品はすべて寺社をはじめ、世界の図書館や美術館、大学や財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。

Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.
記事、写真の無断転載を禁じます。
Copyright (c) 2010 Miro Ito + Media Art League

東大寺のお水取りー火と水、懺悔によって清められる大切さ

2010-03-07 11:52:23 | Weblog
東大寺のお水取りー火と水、懺悔によって清められる大切さ

 今年1259回目となる東大寺のお水取り。このお水取りに魅せられ、新刊「心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い」では、私がこれまで撮ってきたお水取りの作品も載せています。『アサヒカメラ』のグラビア(2008年10月号)でも紹介されましたが、私が惹かれるのは「炎」に象徴される「いのちの願い」です。

 2月24日発行になった拙書は、写真集を兼ねたフォトエッセイですが、「日本文化深層への旅」という解説エッセイも添えました。
 以下、同書「心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い」から少しばかりご紹介させてください。
 
 「東大寺の『お水取り』では、古代の日本人が思い見た、さまざまな聖なるものとの出合いがあります。 仏と神、火と水、祈りと懺悔、過去と未来 ... ご本尊は十一のお顔をもつ大小二つの観音さま。
 仏教の行でありながら、神道のお祓いの作法も行う、神仏習合のかたち。火は人間の罪過を焼き尽くして浄化する力であり、水は生命や霊力の源です。
『火と水の行法』として『達陀(だったん)』(*1)と『水取り』(*2)の二つの峻厳な儀式が執り行われ、火と水の神秘的な力が崇められ、仏と神の前でこころを祈り浄めながら、春の到来という再生の時を祝福します。」(P.132)

 さて同書では書かなかったことですが、火は、イスラム教以前のペルシャの宗教であるゾロアスター教では神の化身です。火を神格化された聖なる力としてみなし、正義または天則(アシャ)を具現させるものとして、火は古来より崇められてきました。それは「いのちの願い」というよりも、もっと運命的なものです。
 火は最後の審判の際に、すべての物が火によって試され、清められなければならないという畏怖の力の象徴なのです。

 ゾロアスター教では、「火」によって「終わり」と「はじまり」が区切られ、火によって歴史の摂理そのものが考えられるようになったといわれます(『ゾロアスター教』岡田明憲著)。火は、世界と己の運命を投影させるだけでなく、まさに歴史という「時間」の誕生の生みの親ともいえるのです。

 同じアーリア人の拝火信仰の流れを汲むインド(ヴェーダ教典)では、火神アグニは、天空では太陽を象徴し、中空では稲妻、地では祭火など、世界に遍在する火の源となります。これが仏教では火天となり、お水取りの終盤の「陀達」の儀式を執り行います。

 いっぽう、すべては水によってまた清められるのです。
 ヴェーダの天を司る神ヴァルナは、ゾロアスター教の最高神アフラマズダとなったといわれますが、ヴァルナはまた水神です。
 仏教では水天となりました。この火と水の両方を崇める儀式が東大寺のお水取りです。
 
 さて、東大寺のお水取りは、正式には「十一面悔過(けか)」という名の法会として、かつては旧暦の二月に行われていたものです「修二会(しゅにえ)」といも呼ばれます。大仏さまの開眼供養と同じ年の752年に始まり、以来1250年以上、一度も途絶えることなく続けられていることから、「不退の行法」といわれています。 

 「この法会で最も大切な修行となるのが『懺悔(さんげ)』です。インド哲学者の中村元氏によると、万民のための『悔過』を集団で行う、世界的にも珍しい修行体系であるといわれます。 
 毎年 3月1日から14 日まで二週間に亘り、東大寺二月堂の内陣で11人の『練行衆(れんぎょうしゅう)』とよばれる俗世界を離れた参籠僧によって、尊い祈りが捧げられます。僧侶はいわば、私たちの『身代わり』となって万民の罪を浄め、天下の安泰と豊楽を祈ってくださるのです。」(P.133)

 自然への畏敬の念、祈りと悔過を通して、私たちが自然の恵みによって生かされていることに気づくとき「過去から現在、そして未来へ続く力の源」とひとつになることができるのではないでしょうか。

 火はいのちの願いであり、そして運命さえも投影させながら、「こころ」そのものを本来の清浄なあり方へと正す、偉大な力そのものなのです。その火や水と向き合うとき、ひとりひとりが火によって「まっさらなこころ」として再生され、水によって清められ、「懺悔」という謙虚さの大切さを教えてくれるのではないでしょうか。

 お水取りを訪れる機会がありましたら、私たちの大本にある「いのちの根源」と出合える体験をきっと味わっていただけることでしょう。

 その経緯は拙書に書いていますので、ご高覧いただければ幸いです。

 3月7日は小観音さまの日ですが、奈良では今日も敬虔なる「いのちの願い」が練行衆によって、紡がれていることでしょうか。

伊藤みろ メディアアートリーグ
2010/3/7
Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.
記事、写真の無断転載を禁じます。Copyright © Media Art League

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(*1) 「達陀(だったん)」=達陀帽をかぶった八天のうち、水天と向き合った火天が3メートル以上ある松明を抱えて、内陣を引き回す、東大寺お水取りの独特の行法として知られる。

(*2) 二月堂の下にある若狭井(わかさい)という井戸から、若狭遠敷明神を祈請して、本尊の観音さまにお供えする「お香水(こうずい)」を汲み上げる儀式。

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  書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
     古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
  著者: 伊藤みろ(写真・文)
  企画・編集: メディアアートリーグ
  出版社: ランダムハウス講談社
  刊行日: 2010年2月24日
  定価: 2,000円(本体1,905円)
  判型: A5上製 ページ数: 144ページ
  ISBN: 978-4-270-00564-4
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伊藤みろ「心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い」発刊ご案内

2010-02-27 12:12:34 | Weblog
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  ☆---------☆ Media Art League NEWS ☆---------☆

  書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
  著者: 伊藤みろ(写真・文)
  企画・編集: メディアアートリーグ
  出版社: ランダムハウス講談社
  刊行日: 2010年2月24日
  定価: 2,000円(本体1,905円)
  判型: A5上製 ページ数: 144ページ
  ISBN: 978-4-270-00564-4
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 今年は日本の都が平城京に遷されて1300年になりますが、1000年、1500年という単位の年月は、想像を絶するスケールです。それを「いのちと祈り」の景観として、現代の私たちにも「見える」かたちで連綿と伝えてきたのが、奈良の精神文化の「奇跡」のような神仏習合の伝統です。

 20年前に「ベルリンの壁」の崩壊を東ベルリンで体験し、そしてNYで9.11同時多発テロを経験した私が、「いのちの根源なるもの」を求め、探し続けてきた答えは奈良にありました。その私自身の「求道」の旅の経緯を、奈良の1400年の叡智に学ぶかたちで、「いかに生きるべきか」のメッセージとして、このほどフォトエッセイとして書き下しました。

 新しい本は『心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い』(ランダムハウス講談社)という題です。
 「9.11」以降、私なりにアートを通して平和を伝えようと進めてまいりました「メディアアートリーグ」の活動として、アーティスト自らが発案する「メディア=メッセージ」として、精神の啓蒙を訴えるものです。
  2004年に日本に戻って以来、奈良の精神文化についての6年の取材の成果を、まずは奈良シリーズ第一弾として「ことば力」+「伝統力」+「写真力」の融合を基軸に、同書にまとめました。

 「ことば力」では、まず総論として私自身の「いのちの根源なるものとの出合い」を、東大寺の「9.11」当時の管長だった橋本聖圓長老に宛てた手紙として書き綴りながら、仏陀や奈良の伝統に基づき「いかに生きるべきか」について橋本師よりお教えいただきます。
 またインタビューによるご講話は、東大寺前管長の森本公誠長老から始まります。森本長老はイスラム史の権威としても知られる奈良を代表する高僧のお一人です。続いて唐招提寺からは、執事の西山明彦師から、鑑真和上の知られざる功績についてのお話を、また日本最古の寺院である元興寺(飛鳥寺の後身)の辻村泰善住職からは、深いながらも大変分かりやすい仏教入門をお話いただきました。さらに春日大社・岡本彰夫権宮司から「誇りをもつこと」「道をいくこと」の大切さともに、神道入門を兼ねた日本文化論を披瀝いただいています。

 また「古寺・古社・古儀」に学ぶ「伝統力」の地平では、東大寺、唐招提寺、元興寺、春日大社に代表される奈良の世界遺産の伝統行事を写真にてご紹介いたします。東大寺の修正会~修二会(お水取り)~燃灯供養・万灯供養、唐招提寺の修正会~うちわまき、元興寺の地蔵会万灯供養、そして春日大社の万燈籠を通して、日本の最初の都であった奈良の伝統行事の「極み」といえるような、精神の深みに触れていただけることと存じます。それは同時に解説として書き下しました「日本文化の深層への旅」を誘うものです。
 
 日本の「心のすみか奈良」である奈良に継承されてきた1400年の叡智に学び、いまこそ「心、本来のあり様」を見つめ直すときなのではないでしょうか。
 奈良の伝統から現代の私たちに贈る、鮮烈な未来へのメッセージとして、ひとりでも多くの方々に読んでいただきたいと願っています。

 奈良で「いのちの根源なるもの」と出合った私の経験を本書を通して、皆様にもご共有いただければ幸いに存じます。
 平城京遷都1300年の記念の年に、日本文化の曙である奈良を「精神」としてぜひご体験いただきたいと願いつつ、ご案内に代えさせていただきます。

 なお本願成就を期しまして、昨年よりこれまで漢字の雅号「美露」から「みろ」とひらがなに改めました。
 引き続きどうぞご支援のほど宜しくお願いいたします。

伊藤みろ メディアアートリーグ
2010/2/26

「みろ」になって半年___新たな挑戦への旅

2009-06-02 10:27:40 | Weblog
「みろ」になって半年___新たな挑戦の始まり

いつの間にか、6月になり、今年も早くも後半に差しかかりました。

この半年間、再びブログをアップデートできずにいましたが、これまで5年がかりで日本の精神文化の伝統を世界に発表しようと創ってきた作品をどう形にするか、国際的な将来展開の鍵となるだけに、この数ヶ月間、正念場といえる大きなチャレンジが続いています。

昨秋からの世界的な不況の底が未だみえない中、本当に、さまざまなレベルでの「変革」が待ったなしで切望されています。私自身は、こんな時代だからこそ、改めて世界の平和への願いをこめて、もてる能力を捧げ、最大限の努力をしたいと誓っています。

その一つの方向性として、すべてのいのちが自然の一部であるという包括的な生命観に、いま一度立ち戻らざるを得ないのではないでしょうか。そうした「いのちの願い」を写真や映像を使って見えるかたちにするのが、私の「9.11」以来のアーティストとしてのライフワークになります。

そうした気持ちを抱きながら、私自身、旧来型の価値観という殻を脱ぎ捨て、「みろ」になって半年が過ぎ、改めて世界のために、平和のために何ができるか、さらなるチャレンジを開始しました。

具体的には、今回の資本万能主義の崩壊に伴う反省から、今後必ず来るべきと信じられる「心の世界」への回帰に向けまして、じっくり将来展開を見据えながら、これまで「メディアアートリーグ」として活動してきた文化活動を、より公的なレベルに引き上げることを目指しながら、10年計画にて、NYに「アートによる平和活動」を促すNPO~NGOを立ち上げようと考え始めました。

もちろんそのための準備は、私自身の限界を何度も越えなければならい、膨大かつ遠大な作業になりますが、ひとつひとつハードルを乗り越えていきたい気概です。

ドイツ~アメリカ~日本を経てこれまで活動してきた私にとって、また新たな挑戦の旅が始まりました。

              *    *    *    *    *

さてその後、空の写真も、ずっと継続して撮り続けています。これからは再び頻繁にアップデートできるように、心の余裕を持ちたいと思っています。

今日お見せする空は、東京・上馬の空を覆った「天使の翼」です。
曇りがちだった5月の連休の晴れ間の一瞬に、空がその美しさを見事に垣間見せてくれました。

こうした空と向き合うひと時は、私にとっては「永遠の今」を体験するときで、大きな宇宙のこころに抱かれる瞬間です。
写真の楽しみも、自然の輝きが放つ大いなる愛の「まなざし」に見つめられ、その懐に抱かれる感動に尽きるのではないでしょうか。

半年ぶりのご挨拶になりましたが、これからもどうぞ宜しくお願いいたします。

そしていつもご支援くださっている方々に、今一度心からの感謝をこめて.....

2006年6月吉日
伊藤みろ
text and photo by miro ito, all rights reserved. skiy over kamiuma, 2009.5.4
 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤みろ  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞出版社)
 2009年の6月号のテーマは「反射と映り込みの効果」p.156~159

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  by 伊藤みろ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
  著:伊藤美露(著者名は旧名「美露」のままです) 
  定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
  ISBN 978-4-8443-5921-0


写真の未来を思う:「表現するこころの時代」の到来を願って

2008-12-23 14:03:34 | Weblog

 写真の未来を思う
「表現するこころの時代」の到来を願って
 
 世界ががまさに激動するなか、まさに「こころの時代」「いのちの時代」の到来です。 危機といえるこんな時だからこそ、いまこそ私たちそれぞれの文化の中にある伝統に新しい光をあて、心の領域において、よりクリエイティブな時代になってほしい、と作品に来るべき次の時代への願いを託す気持です。

 アメリカ大統領選のオバマ氏の劇的勝利の時には、私は19年前にベルリンで体験した東西の壁崩壊を思い出していました。このたびの大統領選が人種の壁の崩壊への新たな一歩になり、これまでの人種・文化・宗教・信条などの分離の時代から「統合」の時代へと進むことを願う次第です。

 さて、12月20日発売の「アサヒカメラ」誌(2009年1月号)での連載「極意で学ぶ写真ごころ」より、これまでの作家名「美露」が「みろ」に変わりました。『魅せる写真術』などの著者名はまだ「美露」のままですが、私自身は、新たな統合の気運に乗って、風のようにしなやかな広がりをもつ存在を目指していきたいと願っています。

 なお最新号の新年号では、この連載の特別編として4頁に亘り、NYから写真の過去、現在、未来を考えてみました。いまやデジタル一眼レフにハイビジョン動画が集成される時代となり、動画と静止画の境がどんどんなくなり、まさに写真においても「統合」の時代に差しかかっています。

 メディア間の自在な「構築」と「実験」が可能なデジタル時代にあって、写真表現はどこにいくのか、私自身、NYの写真事情とドイツ現代写真を眺めながら,これまで考えて来たことを「批評」として、書き上げました。

 とくに私が訴えたかったことは、「表現するこころの時代」の到来を願い、前世紀の初頭に旧来型のアートの概念を打ち破ったモダンアート運動に範をもとめた「個の復権」です。

 表現するこころは、世界に「いのち」を見出すこころであり、対象の「こころ」と響き合い、さらに自分のいのちの深淵に横たわる「無意識」のなかへと解き放たれていきます。

 無意識こそ、シュールレアリストたちが夢見た人類の記憶への旅立ちであり、未来の写真を考えるヒントがあるのかもしれません。

 よろしければ、ご高覧ください。


伊藤みろ
2008.12.23

 追伸 今日は12月21日の冬至の空をお見せします。 
 text and photo by miro ito, all rights reserved. skiy over kamiuma, 2008.12.21
 
 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤みろ  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞出版社)
 2009年の1月号のテーマは「構図を発見する」p.198~201
  特別編「ニューヨークで写真の現在・過去・未来を考える」p.202~205

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  by 伊藤みろ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
  著:伊藤美露(著者名は「美露」のままです) 
  定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
  ISBN 978-4-8443-5921-0

脱皮 「美露」 から 「みろ」 へ、蜻蛉のように軽く透明な存在へ

2008-10-22 10:33:11 | Weblog
脱皮 「美露」 から 「みろ」 へ、蜻蛉のように軽く透明な存在へ

 この半年間、ブログをずっと更新できないでいました。日本に戻って5年が経過し、私なりにこの5年の成果をかたちにする時機になり、人生で一番忙しい半年間でしたが、忙しさの質が変わってきたというか、根を着々と生やした大地から芽が葺き出し、葉が広がり、幹が育ち始めている感触です。これから様々な新しい花を咲かせてくれることでしょうか。

 この間、ヨーロッパやアメリカにも足を運び、日本での5年間の成果を展覧会や写真集にするプロジェクトも動き始めています。 折から今年に入って世界があらゆるレベルで激震し始め、良くも悪くも新しい時代の始まりを予感させてくれる中、私自身、ひとつの時代の区切り(~「魚座」の時代から「水瓶座」の時代へ~)として、魂の輝きが本当に求められる時代の到来を願って、古い殻を脱ぎ捨てようと誓い新たにしました。

 こうした時代の変わり目に際し、日本で20年あまり使ってきたアーティスト名(漢字の「美露」)を、脱ぎ捨てることにしました。もともとドイツで写真家としてデビューした私は、「MIRO ITO 」の名を使っていましたが、88年のツァイトフォト(東京)での個展以来、日本名ではずっと「美露」を使ってきました。「美」を「露(あらわ)」にする生き方を選んだ覚悟を込めて_。

 当時はまだドイツで活動をしていましたので、ひらがなよりも漢字に惹かれていましたが、この5年間、日本文化の伝統の重みと、精神の深淵に魅せられた作品をつくっている関係で、ひらがなを初めて美しいと感じるようになりました。そして、新しい時代に向かって、日本発の「精神」の花を作品として大きく開かせる気持を込めながら、私自身はますますこころを蜻蛉のように軽くして、作品のこころに浸透していけるよう、ひらがなの「みろ」にすることにしました。

 この際、20年来の私自身のさまざまな「垢」を脱ぎ捨てることで、さらに溌剌と魂そのものとして輝き出したい、と誓っています。

 本当はずっとローマ字の「MIRO ITO」のままで十分だったのですが、20年も使い続けて来た漢字の「美露」にはいまでもとても愛着があります。古い名前との別れは、自分の分身との別れのようなものです。でもその分身といま敢えて別れることで、これまで知らなかった「半身」が新しい分身になってくれるかもしれません。失うことでしたか、得る事の出来ないものがあるのです。

 しばらくは『アサヒカメラ』での連載や著書などの名前として、「美露」の名も併用しますが、「みろ」と、これからひらがなに変えることで、さらにピュアに作品とともに輝きたいと願っています。

 これからは新しく生まれ変わった気持で、光を背にした蜻蛉のように透明な、未来へとふんわりと舞う羽のよう羽搏いていていきたいと願っています。

 これから 「伊藤みろ」をどうぞよろしくお願いいたします。

 2008年10月吉日
 伊藤みろ

 追伸 久しぶりに「天使のような雲」の空を撮りました。10月16日の空です。
  text and photo by miro ito, all rights reserved. skiy over kamiuma, 2008.10.16

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤美露  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞出版社)
 2008年の11月号のテーマは「写真の『構図』とは?」p.184~187

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN 978-4-8443-5921-0

奈良、歴史という「生」の積み重ねへの感謝

2008-04-27 12:18:13 | Weblog
奈良、
歴史という「生」の積み重ねへの感謝

 奈良に足を運ぶ度に心が洗われるのは、自然や人間を超えた宇宙の意思に生かされている、という気持にさせてくれるものとの出会いがあるからです。

 伝統の重みといえば月並みですが、身体行や芸を通して切磋琢磨をされてきた、僧侶や演者の方々の無数のかけがえのない「生」の蓄積と接することで、まさに日本の精神の核心に触れる思いがします。

 私が奈良を取材している中で、常に魂を揺さぶられるのは、こう古代からの人々からの「思いの丈」に触れる瞬間です。過去との出会いでありながら、変わらない何か、未来にも続いてほしい何か_
 それは私がテーマにしている「聖なるもの」たちへの敬虔な気持ちにほかなりません。
 「見えないもの」でありながら、形に託された尊きものへの祈りであり、そして奉納の気持です。

 こうした尊い気持ちを教えてくれるのが、私にとっては仏像であり、奈良の宗教行事であり、そして御能などの伝統芸能なのです。
 
 これまで奈良というテーマを、NY在住時より足かけ5年がかりで、取材を進めてまいりましたが、これからは展覧会や書籍ほか、さまざまなかたちで発表していきたいと思いますので、世界の多くの方々に見ていただきたいと願っています。

 さて、今月初めに、先月に続いて奈良の桜井の夕陽を撮りに行きました。
 かの聖徳太子が見たであろう夕陽は、先月は日本最古の国立劇場跡の「土舞台」から撮りましたが、今月は土舞台を右手に眺める小高い丘から撮りました。

 太陽が二上山の袂に半分に割れて沈むさまが、感動的でした。
 山が「神格化」されたのは、太陽である「カミ」をお隠しになるからかもしれない、とそんなことを思ったほどです。

 太陽をまたたく間に懐深くに抱きかかえ、世界が明日また眠りから醒めるまで太陽を休ませる、そんな太陽の休息の場所が山なのでしょうか....


 この太陽とともに営み、沈んでいった無数の「生」への感謝をこめて

 伊藤美露
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 sunset over sakurai, 02.04.2008

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤美露  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞出版社)
 2008年の5月号のテーマは「『分かち合う』写真表現へ」p.196~199

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
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 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション


奈良の季節:金春穂高氏の弁慶(安宅)と聖徳太子の見た夕陽

2008-03-28 00:31:49 | Weblog
奈良の季節
金春穂高氏の弁慶(安宅)と 聖徳太子の見た夕陽


12月、1月、2月、3月…と、奈良では太古の時代から続く宗教行事が目白押しであったため、この3~4ヶ月の間、足繁く奈良に通っていました。

12月の春日大社若宮おん祭り、1月の法隆寺の金堂修正会、2月の法隆寺西円堂修二会、3月の東大寺修二会(お水取り)、そしてこの日曜日からは薬師寺の修二会(花会式)が始まります。

先週23日には、私がコラボレーションをしている能楽師の金春穂高氏のお父様、故・金春晃實(てるちか)氏ならびにお祖父の金春流77世宗家=故・金春栄治郎の追善能(西御門金春会主催)がありました。

これまで伝統芸能と関わってきた5年あまりの歳月の中で、最高の御能の一つを観させていただきました。すばらしい名演技をされた金春穂高氏の「安宅」での、勧進聖としての弁慶役は、鬼気迫る、すばらしい迫真の演技でした。お面をつけない、ひた面でありながら「ヒト」であることを越えられた、大きな存在感とエネルギーの充実がそこに「在った」のです。

御能は、この世とあの世の境のような、さまざまな思いの集る場です。
御能の扱う「供養」のテーマ性については、もともと勧進聖(寺院の建立や修繕などのために寄付を集める方法として興行を催す僧侶)との関係が考察されています。お祖父さまとお父さまの供養のために、穂高氏の演じる弁慶は、それが方便としての勧進聖役であったとしても、まさにその境を越えるほどのダイナミックさと、神妙な集中力でした。

最初から最後までひた面(お面をつけない)で演じられたこともあって、400mmの望遠レンズ越しに拝見していた私には、穂高氏の魂が完全に透明に澄み切って天に放たれ、どこから大きな力がふり注いでいたのでしょうか、最高の霊気(オーラ)の漲りを感じました。
御能の「幽玄」とはこの霊気の充実のことなのだと、改めて深く感じ入った次第です。

またその前日の22日には、法隆寺の小会式(聖徳太子の命日の法要)を参拝してまいりました。

1月に法隆寺を訪れて以来、このところ聖徳太子への個人的な関心が高まっています。
宗教行事の撮影のついでに、かつて聖徳太子が子供たちに大陸からの渡来芸能である伎楽(ぎがく)を教えた、とされる「土舞台」跡を斑鳩の地に探し当てました。

奈良の桜井駅から徒歩10分ほどの場所であるはずだったのですが、地元の人もほとんど知らず、1時間ほど迷ってようやく探し当てたときは、夕陽が二上山を抱く神々の山麓に沈みかけていた時刻でした。

桜井の「土舞台」は、聖徳太子が、7世紀の初めに、日本で初めて「国立の演劇研究所」と「国立の劇場」とを設けられた場所として伝えられています。現在は、小学校の脇を上った小高い丘の上の雑木林に囲まれた、小さな一角でしたが、遥か1400年前の古代には、この同じ場所から聖徳太子が同じ夕陽を望むことができたことだろうかと思うと、感激がひとしおでした。

折から今週火曜日からは、上野の東京国立博物館の平成館にて薬師寺展が始まりました。
月光・日光菩薩が二体揃って、初めてお寺から「外出」して東京に来ており、早速観に行ってまいりました。

奈良には、30日からも薬師寺の花会式の撮影のために訪れます。
次回のブログは薬師寺から戻った後、東京に「訪問中」の日光・月光菩薩像について、ちょっと書いてみたいと思っています。

早春の上馬にて

伊藤美露
2008/3/28
text and photo by miro ito
sunset over ikaruga (view from TSUCHIBUTAI), 15.03.2008


 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤美露  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞社)
 2008年の4月号のテーマは「写真の『迎え』と『先々の先」」p.202~205

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN 978-4-8443-5921-0
 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション

「写真ごころ」の入り口:『極意で学ぶ 写真ごころ』についての解説(『アサヒカメラ』2008年3月号)

2008-03-01 20:26:51 | Weblog
「写真ごころ」の入り口 
小連載『極意で学ぶ 写真ごころ』についての解説(『アサヒカメラ』2008年3月号)


 現在『アサヒカメラ』で連載している「極意で学ぶ写真ごころ」は、日本文化の「極意論」と絡めて、「写真ごころ」とは何かを考えるエッセイを冒頭に、「基本」でありながら、「極意」である実技を伝授する講座です。

 写真ごころとは、写真における表現をめざす態度であり、現実の先に永遠なるものを視ようとする思いのことですが、今月号(3月号)では、「不射の射」を考えてみました。

「不射の射」といえば、「射らずして射る」という、まさに神業の世界です。
大正時代の弓道の大家・阿波研造師は、線香で照らしただけの暗闇の中で二本の弓矢を放ち、一本目は的の真ん中に命中。二本目は一本目の筈に当たり、一本目を引き裂いていた、という逸話があります。師は「それ(仏)が射た」と語りました(ドイツの哲学者のオイゲン・ヘリゲルの著作『弓と禅(日本の弓術)』より)が、「仏が射る」とはすなわち、仏と呼ぼうが神と呼ぼうが、宇宙本体の大本の力による業、という意味になるでしょうか。武道では、古来より中国の神仙術のごとき、こうした離れ技を伝えています。

 もとより、達人の世界は、常人の想像を絶する世界ですが、芸術の創造行為も、どこかこうした人智を越えた力の助けを得ています。いわゆる芸術のインスピレーションの源がどこかと考えると、それは自然の生命力だったり、さらに現実の時空の先に広がる次元(無意識)からの働きかけによるものです。
  詩人が万物から「声なき声」を聴くように、画家は見える世界を通して、その先にある「見えない世界」を視ようとします。
 私にとっては、絵も写真とは、自分の意識をそうしたより大きな世界に結びつける「こころの窓」の役割を果たしています。
 
「不射の射」とは、写真においては、「撮らずして撮ること」「視ずして視ること」と『アサヒカメラ』誌に書きましたが、それを追体験することが難しいようでしたら、一心に何かに打ち込んでいる自分を想像してみてください。

「無我夢中」という喩えのとおり、音楽を演奏するとき、絵を描くとき、詩を綴るとき、踊りを舞うとき、スポーツで記録に挑んでいるとき…でも、何でもいいのです。その時に、我を忘れることで、音楽そのもの、絵そのもの、詩そのもののエネルギーに自分を投げ入れ、どこか「永遠なるもの」に繋がっていく感覚が得られれば、それが「絵こごろ」であり「写真ごころ」「詩ごころ」の入り口となるのです。

『アサヒカメラ』の小連載では、極意論を語りながら、技に託された精神性を、また写真ごころについて考えながら、こうした芸術の中に宿された永遠性を語っていきたいと思います。

 毎回、哲学的な話を短い文章の中で語らなければならず、言葉足らずになってしまいますので、今回は少々「難しい」というご感想をいただきましたので、連載の解説をこの場で試みてみました。

 どうか連載の方もご愛読ください。


伊藤美露
2008年3月1日

(ブログの図版は『アサヒカメラ』3月号のp.176-177の見本です(最終稿ではありません)。(c) text and photo by Miro Ito for Asahi Camera/Asahi Shimbun Co., Ltd.)

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤美露  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞社)
 2008年の3月号のテーマは「写真の『不射の射』とは何か」」p.176~179

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN 978-4-8443-5921-0
 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション

「運命よ、いらっしゃい」(中村天風哲学、笑顔で勝つこころ)

2008-02-25 21:15:40 | Weblog
「運命よ、いらっしゃい」(中村天風哲学、笑顔で勝つこころ)

 先のブログでは、柳生新陰流の前宗家にならった「さあ、いらっしゃい」という運命への対処法を書きましたが、それを同流では「迎え」と呼んでいます。

  すなわち、まず技の前に「無形(むぎょう)」という位があって、それはまっさらな状態とでもいいましょうか、何にも捕われず、無限な広さをたたえた心のあり方をいいます。
 
  その状態でないと「勝つべくして勝てない」(柳生延春師範)と説かれるのも、心の面では何事にも捕われない状態だからこそ、「相手が自ら働いてしまう様に仕向ける」ための「先」を観ることが可能になるからです。それを流祖である柳生石舟斎は「迎え」と呼び、「先々の先」の心持ち(位)と合わせて「勝つ」ための基本としました。

 私には、もちろんそんな剣の達人のような先を観るほどの力もなく、自分の本来の姿に出会うために、ドイツ~アメリカ~日本~と三つの国で運命の綱渡りをしてきました。「迎え」どころか、自分の目指す「本物」が一体どこにあるかもわからず、いつも先の読めない、がむしゃらな心持ちだったように思います。

 勢いだけで大海に出てしまった「舵もコンパスもない帆船」とでもいいましょうか、ただひとつ「自分探し」だけが揺るがぬ目標でした。いつか嵐のような海を切り抜け、おだやかな光の下にたどり着けることを信じながら…。

 そんな私にとって、ほぼ10年経ったいまだから種明かしができるわけですが、「プラス思考」を日本に最初に説いた鉄人であり、ヨガ行者の中村天風哲学に接したことは、ひとつの転機となりました。そこで説かれていたのは、自分の心に打ち勝つための積極的な考え方です。私自身の運命との「一騎打ち」に、新しい光を与えてくれる言葉でした。

「人間の力でどうしようもない運命はそう沢山あるものではない」「人生は心ひとつのおきどころ。思い方考え方で人生の一切をよくもし悪くもする」 「こころに犬小屋みたいな設計を描いて広壮な邸宅などできるはずがない」「宇宙の造物主は、もともと人間を強く幸福に生きるように造った」….等々。

 かの松下幸之助も師と仰いだ天風のことばは、誰でも分かるような、単純きわまりない言葉でありながら、嵐の中でも動かぬ厳かな岩のように強靭な力を孕んでいます。「幸福になるために生まれて来た」という視点から人生を改めて見つめ直す、瑞々しい勇気としなやかなこころの力を教えてくれるものです。

 その勇気を「最高の宝物」として抱きしめ、2000年を機に単身NYへと移住しました。「怖いものがない、ということほど強いことはない」ということ、何も持たなくても勇気さえあれば、何でも実践できること。ないことは、すべてあることと同じ__それらは、いまの私を支える大きな自信になりました。

 さて「昨年のわれに 今年は勝つべし」がモットーの新年は、運命のお導きを積極的に「迎え」ながら、もう一歩進んで、運命にさらに働かきかけて、次に来たるものをどんどん良いものにしていく「先々の先」の位をもつことが目標です。

 改めて「運命よ、さあいらっしゃい」と嬉々とした期待に弾け、まっさらな気持ちを保ちながら、一歩一歩努力することを、つねに笑顔で実践していきたいと思います。

「きのうのこころに きょうは笑顔でかつべし」

 伊藤 美露
 http://www.miroito.com
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 sky over kamiuma,2.17.2008


 ※ 柳生新陰流の剣の理については、詳しくは『柳生新陰流道眼』(柳生延春著、島津書房刊1999年刊、ISBN 978-4882180623)をご参考ください。
 
 ※ 現在私が『アサヒカメラ』で連載中の「極意で学ぶ 写真ごころ」のなかでも、柳生新陰流に限らず、日本文化の極意論を写真の実技講座の中で展開しています。ぜひお読みください。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤美露  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞社)
 2008年の3月号のテーマは「写真の『不射の射』とは何か」」p.176~179
 
 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
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勝つためのこころー柳生新陰流 前宗家の教え

2008-02-09 23:26:26 | Weblog
勝つためのこころー柳生延春師範の教え

「きのうのわれに きょうはかつべし」を座右の銘にスタートさせた新年_。

 この言葉を教えてくだった柳生新陰流の前宗家・柳生延春師範には、かつて勝つための哲学の一端を教えていただきました。
 それは「勝つためのこころ」についてでした。

 勝つためには、まず自分の「勝ちたい」「打ち負かしてやろう」という気持ちから自由になること。
 そうして初めて、自分のこころという「最大の敵」から解き放たれ、相手の「活き」を「わがもの」として使う余裕が生まれるのです。

 延春師範はよく「全身の力を抜き切って、『さあ、いらっしゃい』という気持ち、『いつでも来い』という余裕綽々たる気持ちの中でこそ、敵の動きを正確に視ることができ、自らの力として使うことができる」とおっしゃっていました。それは剣が上手の相手でも、相手の力に乗じて巧く使うことで、勝つ事ができる、ということです。

 これを「運命」に置き換えてみると、人生のさまざまな局面でも、大切な秘訣であることに気がつきます。

 私はいつも「運命に負けたくない」という気持ちで、人生に降り掛かる「重荷」をバネに、人生に立ち向かってきました。
 大学卒業後、最初にドイツに移住する前_。そしてドイツから一旦、日本に戻ったとき、その後、再びアメリカに移住する際にも、すべて「運命に負けたくない」という気持ちで、自分のもてる全てを賭けてきました。
「運命との一対一の真剣勝負」といったあまりにも真面目すぎる覚悟で、振り返る余裕など一切なく、「次に来るもの」の未知の可能性に次々と挑んできました。

 しかしアメリカから4年前に帰国した時は、個人的な葛藤ではなく、より大きな目標に向かうことになりました。私自身このときになってはじめて、人生の重荷と表裏一対だった、「運命に負けたくない」という気持ちから自由になれました。

 柳生師範のことばを思い出すなら、ここではじめて運命を「わがもの」として味方につけることができるようになったのかもしれません。

 どんな逆境にあっても、「さあ、いらっしゃい」という余裕、困難さの中にも「活き」をみつけ、それに乗じて、状況そのものから知恵を絞りだす、そんなこころを持ち続けていきたいものです。


 伊藤美露
 http://www.miroito.com
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 sky over kamiuma, 01.22.2008


 ※現在私が『アサヒカメラ』で連載中の「極意で学ぶ 写真ごころ」のなかでも、柳生新陰流に限らず、日本文化の極意論を展開していきます。よろしければ、併せてお読みください。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤美露  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞社)
 2008年の2月号のテーマは「写真の『瞬間力』とは?」」p.170~173
 
 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN 978-4-8443-5921-0
 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション

「きょうのわれに あすもかつべし」(2008年の目標)

2008-01-12 17:45:14 | Weblog
「きょうのわれに あすもかつべし」(2008年の目標)

「きのうのわれに きょうはかつべし」(柳生延春師範のお言葉) の続きになりますが、
 私にとって、毎日は本当に自分の勇気との小さな戦いです。

 感謝を忘れないで、自分を信じながら、どこまでやれるか、続けられるか、実行できるのか__そんな自問で、いつも一日が始まります。
 そして一日が終わったとき、いつも何もできなかった気分にとらわれ、束の間、自己嫌悪に陥ってしまいますが、そういう時には、目標をもう一度思い出して、「きょうのわれに あすはかつべし」と思い直すのです。

 そう思えるのも、私自身が何度転んでもまた起き上がる、負けず嫌いの性分だからなのですが、何分「使命」を果たすべく、追いかけている目標が大きすぎて、いつも困難な挑戦に負けそうになる自分を、こうやって震い立たせています。

 でもずっとそんなスタイルで生きていけば__ どんなにスローでも__毎日自問と反省をしながらも「Hang on there !」で「前進」を少しずつでも続けていれば、必ず次の段階が見えてくるものです。

 そして今年はもう一歩進んで、

「きょうのわれに あすもかつべし」

 と思える日を一日でも増やしたいものです。

 伊藤美露
 http://www.miroito.com
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 sky over kamiuma, 03.01.2008

 ☆☆☆☆☆☆☆☆  好評連載中 by 伊藤美露  ☆☆☆☆☆☆☆☆
 「極意で学ぶ 写真ごころ」(『アサヒカメラ』朝日新聞社)
 2008年の1月号のテーマは「光の『足し算』と『引き算』」p.196~199
 
 ☆☆☆☆☆☆☆☆  日本図書館協会選定図書  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 『魅せる写真術 発想とテーマを生かす撮影スタイル』
 著:伊藤美露 定価 : 2,079円 B5判/160P/オールカラー    
 ISBN 978-4-8443-5921-0
 発行:株式会社エムディエヌコーポレーション