MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

奈良、歴史という「生」の積み重ねへの感謝

2008-04-27 12:18:13 | Weblog
奈良、
歴史という「生」の積み重ねへの感謝

 奈良に足を運ぶ度に心が洗われるのは、自然や人間を超えた宇宙の意思に生かされている、という気持にさせてくれるものとの出会いがあるからです。

 伝統の重みといえば月並みですが、身体行や芸を通して切磋琢磨をされてきた、僧侶や演者の方々の無数のかけがえのない「生」の蓄積と接することで、まさに日本の精神の核心に触れる思いがします。

 私が奈良を取材している中で、常に魂を揺さぶられるのは、こう古代からの人々からの「思いの丈」に触れる瞬間です。過去との出会いでありながら、変わらない何か、未来にも続いてほしい何か_
 それは私がテーマにしている「聖なるもの」たちへの敬虔な気持ちにほかなりません。
 「見えないもの」でありながら、形に託された尊きものへの祈りであり、そして奉納の気持です。

 こうした尊い気持ちを教えてくれるのが、私にとっては仏像であり、奈良の宗教行事であり、そして御能などの伝統芸能なのです。
 
 これまで奈良というテーマを、NY在住時より足かけ5年がかりで、取材を進めてまいりましたが、これからは展覧会や書籍ほか、さまざまなかたちで発表していきたいと思いますので、世界の多くの方々に見ていただきたいと願っています。

 さて、今月初めに、先月に続いて奈良の桜井の夕陽を撮りに行きました。
 かの聖徳太子が見たであろう夕陽は、先月は日本最古の国立劇場跡の「土舞台」から撮りましたが、今月は土舞台を右手に眺める小高い丘から撮りました。

 太陽が二上山の袂に半分に割れて沈むさまが、感動的でした。
 山が「神格化」されたのは、太陽である「カミ」をお隠しになるからかもしれない、とそんなことを思ったほどです。

 太陽をまたたく間に懐深くに抱きかかえ、世界が明日また眠りから醒めるまで太陽を休ませる、そんな太陽の休息の場所が山なのでしょうか....


 この太陽とともに営み、沈んでいった無数の「生」への感謝をこめて

 伊藤美露
 text and photo by miro ito, all rights reserved.
 sunset over sakurai, 02.04.2008

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 2008年の5月号のテーマは「『分かち合う』写真表現へ」p.196~199

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