ある土曜日の仕事帰り
家路とは反対の電車に乗り
通い慣れた店の入口にある、木製の階段を数段踏んで店内に入る。
空いているカウンターに陣取ると、見慣れた店員が声をかけてくる。
相変わらず日本語がたどたどしいなと思いつつ、この店で一番安いアルコールをオーダーする。
背負っていたリュックから財布、その中から前回購入した金券の残りを取り出す。
あと500円分か…
別のポケットから取り出した煙草に火を付けながら確認する。
財布から札を一枚抜き、アルコールを持ってきた店員に告げる。
「券1000円分」
手元に届いたジョッキを口に運ぶ。
チューハイ、150円。
この店は食券ならぬ金券制で、料金分相当の金券と引き替えに注文の品を受け取れる。
他の客の注文を持ってきた店員に戻り際にオーダーする。
「かき揚げとコロッケ」
おや、今夜はチューハイが少し薄く思えるのは、ここ数日の疲れた身体がアルコールを欲しているからだろうか。それともただ単に店がケチっているだけなのか。そんな小さな事に拘りながらも、ジョッキの中身は既に半分に減っていた。
店内据付けのテレビでは、タレントの旅行番組か放送している。音声が絞られているため、余り声は聴こえないが、画面に絶え間なく現れるテロップが見えれば十分な内容だった。
土曜の夜、まだ時間が少し早いのか客の数も少なめだ。
それでも所々で交わされる大きめの声でのやりとりを背中で聞きながら、一杯目のジョッキを空ける。
仕事・・・キツかった。
肉体的よりも精神的に。
なぜこんなに陰鬱に責められなければいけないんだろう。
二杯目のチューハイをオーダーしてため息をつく。
酒でも呑まなきゃ、やってられねーよ!そう心の中で叫んでみたが、店の雰囲気と相まって妙な昭和臭さが漂ったので、ひとりニタついてしまった。
かき揚げ 150円
コロッケ 100円
出来たてをホクホクしながら食べる。
二杯目のジョッキも残りあと僅か。
でも今夜はこれでやめておこう・・・残りの金券を財布の中にしまい込む。
すっかり定番になった一人呑み。
ひとり静かに、タバコの煙とため息を吐きつつ過ごす数十分。
ジョッキの残りを飲み干し、店を出る。
都会のネオンと喧噪と人混みがまた自分を包み込む中、それを避けつつ駅に向かう階段を下りていく。
そんな独りの帰り道は、地元に帰ると月の明るさがやけに目にしみる・・・。
家路とは反対の電車に乗り
通い慣れた店の入口にある、木製の階段を数段踏んで店内に入る。
空いているカウンターに陣取ると、見慣れた店員が声をかけてくる。
相変わらず日本語がたどたどしいなと思いつつ、この店で一番安いアルコールをオーダーする。
背負っていたリュックから財布、その中から前回購入した金券の残りを取り出す。
あと500円分か…
別のポケットから取り出した煙草に火を付けながら確認する。
財布から札を一枚抜き、アルコールを持ってきた店員に告げる。
「券1000円分」
手元に届いたジョッキを口に運ぶ。
チューハイ、150円。
この店は食券ならぬ金券制で、料金分相当の金券と引き替えに注文の品を受け取れる。
他の客の注文を持ってきた店員に戻り際にオーダーする。
「かき揚げとコロッケ」
おや、今夜はチューハイが少し薄く思えるのは、ここ数日の疲れた身体がアルコールを欲しているからだろうか。それともただ単に店がケチっているだけなのか。そんな小さな事に拘りながらも、ジョッキの中身は既に半分に減っていた。
店内据付けのテレビでは、タレントの旅行番組か放送している。音声が絞られているため、余り声は聴こえないが、画面に絶え間なく現れるテロップが見えれば十分な内容だった。
土曜の夜、まだ時間が少し早いのか客の数も少なめだ。
それでも所々で交わされる大きめの声でのやりとりを背中で聞きながら、一杯目のジョッキを空ける。
仕事・・・キツかった。
肉体的よりも精神的に。
なぜこんなに陰鬱に責められなければいけないんだろう。
二杯目のチューハイをオーダーしてため息をつく。
酒でも呑まなきゃ、やってられねーよ!そう心の中で叫んでみたが、店の雰囲気と相まって妙な昭和臭さが漂ったので、ひとりニタついてしまった。
かき揚げ 150円
コロッケ 100円
出来たてをホクホクしながら食べる。
二杯目のジョッキも残りあと僅か。
でも今夜はこれでやめておこう・・・残りの金券を財布の中にしまい込む。
すっかり定番になった一人呑み。
ひとり静かに、タバコの煙とため息を吐きつつ過ごす数十分。
ジョッキの残りを飲み干し、店を出る。
都会のネオンと喧噪と人混みがまた自分を包み込む中、それを避けつつ駅に向かう階段を下りていく。
そんな独りの帰り道は、地元に帰ると月の明るさがやけに目にしみる・・・。