四月には
気楽な装いで
窓を開け放した
バスに揺られて
街を離れ
薄紅色の鱗を
そよ風に踊らせながら
酔いしれて游ぐ
魚の群れを見に行く
辿り着けば
待ちわびた季節の
予言者たちが
早々と
群れをなして
酔いしれながら
游いでいる
まるで
絵画館での
歩幅と眼差しを
思い出したかのように
僕は独りでも
その歩幅と眼差しを
合わせれば
同化して
首を反らして
薄紅色の鱗を
心行くまで
見ていられる
だけど
ひとひら剥がれた
薄紅色の鱗が
僕の心に落ちたとも
秘密めいて
打ち明けられる
人はいない
待ち焦がれた
季節の到来を
感じながら
必死に
花を愛でても
それだけが
花冷えのようで
何故か
寒い
それだけが
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