新党の旗揚げに伴い同党の動静が、総選挙戦における大きな政治的関心事項になって来た。このことに関し当方は次のように感じている。
1、総理・与党筋は、今回は結果的に解散時期を読み違えたのでではないか。その読み違いは、民進党の弱体時期に野党共闘の動きが進んでも、細野・若狭グループの初期の動きが今日のような大きな流れになるとは、想定外の流れだったことだろう。しかし、意外な形で進行中の現下の事態は、多勢に安堵し内心楽勝を期待していた与党内に対しては、カンフル剤的効果を齎した。だから与党も、解散宣言後は、脇を固め直し、危機感を持って新党批判を協調し、既に本格的な選挙選を展開している。
2、今回の動きが順調に推移し、「希望の党」の支持率が約25%程度になれば、総選挙で100台位の議席確保が可能ではないか。そうなれば、保守二大政党時代の新たな始まりになりそうなので、当方は歓迎だし、その意味からも新党の行方には、ある程度の期待感が持てると思う。
3、新党が国会で一定勢力を確保すれば、安全保障環境の整備、就中憲法改正も発議を容易にする院内外環境が整うので、来る選挙で新党は、改革保守の観点からこの点を国民的理解に結び付くよう大いに啓発願いたい。
4、既に新党は、結果的に大きな役割を果たした。それは、寄せ集め集団で、批判ばかりが先行し、確たる実績もなく、かっての社会党の二の舞になりかけ、選挙民からも見放され続けている民進党を結果的に事実上分裂・小党化したことだ。名を捨て実を取ることを党内リベラル派も了承したことは、民進党が党の自滅を自ら認めたことに等しい。残ったリベラル派はどんなメンバーで、今後どんな動きをするのかも新たな注目点だ。
5、今回の流れは、野党共闘路線の推進により、漁夫の利を得られる筈だった共産党にとっては、全く期待外れの展開となった。それ故に同党は、今迄以上の執念深さで、面子をかけて選挙戦を展開するだろう。この場合、これ迄、民進党リベラル系支持者だったかなりの選挙民は、民進党支持を諦め、選挙では共産党支持に傾くことも十分予期される。そうなれば、選挙毎に議席微増の同党は、更に党勢を拡大することになりそうだ。
6、民進党からの合流希望者に対する「踏み絵審査」では、野田元総理はじめ61名の民進党の諸先生方も大きな試練を受ける。該当の諸氏は小池代表に、新たな議員生命の引き糸を握られている。兎に角、同代表は、強かで計算高い政治戦略家であることは確かだ。
7、新党に関する当方の目下の最大の関心は、小池代表が2足の草鞋を履き続けるのか否か、代表として立候補するのか否か。立候補の場合、都知事問題はどうなるかである。衆院選に立候補するとなれば、同代表は、憲法67条(内閣総理大臣は、国会議員の議決でこれを選ぶ)に基づく総理の座を確かに狙っていることを公言するに等しいことになる。
8、確かに小池人気や同代表の年齢的な面を考えると、今回が総理を狙う最後のチャンスだろう。しかし先読みに長けている小池代表は、都知事の座を投げ捨てて国政に臨めば、その反動やつけが、どう表れるのか・・そんなことはもうとっくに読めている筈だ。
もし、都民の期待を裏切って国政再登板の挙に出る場合は、その釈明を如何に行っても現下の新党ブームのようなものは、急激に萎み去ることになると当方は思う。
選挙後の新党リーダーは小池姉御でなくてもいいのではないか、機を観るに敏な小池代表が策に溺れず、上昇志向ではなく、平衡感覚で良識ある選択をするよう切に願いたいものだ。