1、各党の命運を懸けた総選挙戦が日ごとにヒートアップしている。
今回の選挙は、保守(自民・公明両党)と改革保守(希望の党・日本維新の会)それに革新(立憲民主党・共産党・社民党)の三極が対立軸になって展開されている。
この流れに、三分解した民進党の主要なメンバー等が無所属で立候補して加わり、色分け的には4極の選挙構図になった。政策的には、自民・公明とそれ以外の政党の主張には、共通する政策と対立する主張が複雑に絡んでいる故に、一般の選挙民にとっては極めて分かりにくい選挙になっている。
2、今月の世論調査(NHK)によれば、 各党の支持率は、自民党が31.2%(332)、希望の党が4.8%(235)、公明党が3.8%(53)、共産党が 2.7%(243)、立憲民主党が4.4%(78)、日本維新の会が1.3%(52)、社民党が0.5%(21)、日本の こころは0%(2)、諸派(91)、無所属(73)、「特に支持している政党はない」が39.1%となっている。()内は、1180人の立候補者数の内訳数である。
3、今次総選挙に関する雑考は纏まりはないが、以下のとおりである。
・安倍政権の実績と政策がどう評価され、与党が過半数の233議席を確保出来るのか否か。これが大義無き解散と揶揄されてはいるが、総選挙最大の焦点であることは確かだろう。
・選挙は水物で、情勢は流動的だ。だから、早計な観方は慎むべきだけれども、当方はかなり楽観的に今次選挙の結果を観ている。
・その結論は、与党が何とか過半数を確保するだろう。仮に、選挙の結果、与党の過半数割れが生じても、自・公・希望・維新の四党が議会の多数を占める構図には変わりはない筈だし、四党間の個別の政策や主張に関する対立はあっても、大勢としては是々非々を基調とする改革保守(希望・維新)の協力を自・公が引き出して、結果的には波動はあっても自民中心の堅実な保守政治体制の維持は、今後も可能であろうと思う。
・台風の目のように観られていた小池新党の旋風も、その威力が逓減しつつあるようだ。このことは、予想外に低くて伸びない支持率や、数だけは過半数を超える235の候補者を揃えたものの、同党の政策も理念先行で具体性に欠ける面が目立つし、党首と党に対するイメージ自体にも、かってのような共感度やアピール力が上がっていない等と報道されていることからも窺がえる。雑な観方だが、この分では、希望の党は200議席はおろか、100台の議席の確保も厳しいのではないか。
・反面、立憲民主党は、急遽結党の割には既存政党(自民以外)よりも高い支持率を得ている。その党名も、抽象的なイメージの「希望」の党名よりも、具体的で選挙民受けする党名だ。このことは、自衛隊は合憲だが、憲法改正は違憲の安保法制を認めることに繋がるので改正には反対だとの主張にも表れている。
訴え方の面でも、抽象論の多い小池代表よりも筋が通っている枝野代表の方が、説得力のある主張をしている。だかr、当選率は「立憲民主」の方が「希望の党」より上になるのではないかとの感じさえしている。
・約4人に一人の「支持政党なし層」の票の行方がどうなるのか。今回もこのことが、大いに注目される。与党特に自民党が、この層の票を取り込むためには、北朝鮮関連の国難問題よりも、将来世代にわたる内なる国難対策について広く解り易く訴えるべきであろう。
・野田元総理・前原代表等22名の民進党籍を有する無所属候補が、復活当選後も無所属を貫くのか否かも無視出来ない関心事である。民進党は3分化した結果、同党が解党したのか否か、多額の政党交付金(約150億円の繰延金:8月末)の処理はどうなったのか、党分裂に伴う説明責任は、どこからも何ら明らかにされていないままだ。
・共産党は、かなりの小選挙区で自党の候補を下ろして、立憲民主党の候補者を支援する選挙協力体制を組むことになった。確かに両党は憲法改正には共に反対の立場だが、自衛隊違憲の立場の共産党と、自衛隊は基本的には合憲だとする立憲民主党の立場は異なる。
・自衛隊違憲の立場の同党は、世界に誇る日本の宝・憲法9条改正絶対反対の立場だ。ならば、同党からすれば、9条の癌的存在の「自衛隊の解体」を選挙の度に堂々と公約に挙げ主張すべきなのに、未だその種の公約を掲げたことはない。しかし、将来、同党中心の民主連合政権が出来れば、自衛隊を一旦解体して、創隊し直す。と同党の綱領に明記している。その暁には、同党は憲法の改正にとどまらず政治・経済等の仕組みも変えることになる。同党が「自衛隊の解体」を選挙公約の第一に挙げない最大の理由は、プラス効果よりマイナス効果が膨らむからだろう。
・いずれにしても、かっての民主党政権の二の舞にならない為にも、新興の政党中心の政府に、国の将来を託することになるような選挙結果は避けるべきだ。トランプ政権のような「ガタガタ政権」や、来週からの全国党大会で「最強の習近平」体制を狙っていると報じられている一党独裁政権など、極端な「一強政治」は元より我が国の政治風土にはなじまない。安倍一強と揶揄する論調にも一理はあるのだろうが、厳しい国内外情勢の下では諸外国にも通用する、健全な一強のリーダが我が国にはぜひ必要だ。
・今回の総選挙は、そうしたリーダを選ぶ重要な選挙でもある。このことを一選挙民として、又この国の健全な未来願う老生として特に強く望んでいる。