MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#1981 ロン毛の王子様の破壊力

2021年10月01日 | 日記・エッセイ・コラム


 宮内庁は10月1日、結婚が延期されていた秋篠宮家の長女眞子さまが、婚約が内定していた小室圭さんと10月26日に結婚されると発表しました。婚姻届を同日提出し、お二人で記者会見も行うということです。

 眞子さまは婚姻届を提出した後、皇籍を離脱して民間人となり、小室さんが生活拠点を置く米国ニューヨークに移られる見通しとされています。また、併せて宮内庁からは、眞子さまが自身と小室さんの家族を巡る誹謗中傷を感じ「複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)」の状態にあることも明らかにされました。

 小室家の金銭トラブルなどをメディアが様々に報じる中、3年間という月日を婚約者と一度も会えないまま離れ離れで過ごしてきた眞子様。孤独に過ごされたその心中を思えば、これからのお二人でのニューヨークの生活が是非穏やかで、心の傷を癒すものとなってほしいと願うのは私だけではないでしょう。

 ともあれ、ようやく事態は収束に向けて動き始めました。米国での生活にもめどが付き、帰国の途に就くことになった小室さん。しかし、そうしたさ中、落ち着きかけたメディアにまたも火をつけたのは、留学前と大きく変わった小室さんの風貌でした。

 長く伸びた髪を、後ろの高い位置でポニーテールのように結び、前髪は左右に分けて額を出したスタイル。髪の長さは肩くらいまで伸びており、心なしかその表情もぐっと男っぽく変貌しています。

 私自身は、そのイメチェンを(かなり)好感を持って受け止めた一人ですが、世間の反応はそうしたものばかりではないようです。皇室の将来を慮る人々から不安の声が上がるのも分かりますし、宮内庁や皇室関係者も顔をしかめていることでしょう。

 私としては、ひとりの人間としてそこまでの自信や覚悟があるのであれば「あっぱれ」と言いたいところ。もとより、ヘアースタイルなどというものは人格とは関係がないし、多様性が尊重されるニューヨークではロン毛やピアス、タトゥーでさえ問題にされることはないでしょう。

 もっとも、お相手は注目のプリンセスですので、この姿でメディアの前に登場することには(いかに小室さんであっても)多少の勇気が要ったであろうことは想像に難くありません。果たして、成田空港で世間をアッと驚かせて見せた小室さんの意中はどこにあったのか。

 9月29日の情報サイトAERA dot.に、作家の北原みのり氏が「小室圭さんのロン毛を見てストンと胸に落ちた 私は眞子内親王の新しい人生を応援します」と題する一文を寄せていたので、参考までにここに紹介しておきたいと思います。

 日本中が好奇の目を向けている中でのロン毛での帰国は、小室さんの圧勝が決まった瞬間のように見えたと北原氏はこの論考に記しています。多くの人の想定を超える空気の読めなさと、垣間見える尋常ではない深く強い自己肯定感。こういう人でなければ、何の後ろ盾もない一般男性が皇室の女性にプロポーズするなど、到底無理なことだと理解し得たということです。

 おそらく眞子内親王には、それが分かっていたのだろう。もう二度と、こんな男性は現れない。恋愛感情がいつか終わることなど百も承知。賛成されていないのも百も承知。とんでもない間違いを犯している可能性があることも百も承知、耳に入れたくない「言いたい放題」があることなども、眞子さまは百も承知だと氏はしています。

 この機会を逃したら、一生ここから出る機会はないに等しいと眞子様は考えた。出られたとしても、もうそれは10年、20年後のことかもしれない。少なくとも眞子さまと恋愛し、無謀とも思えるプロポーズをするような2人目の「一般男性」が現れる可能性は、実際、限りなく低いということです。

 くしくも眞子様が言葉にされた「生きていくために必要な選択」というのは、(おそらくは)内親王としての眞子様にとって大げさでない真理だったはずだと、氏はこの論考に綴っています。

 日本のプリンセスには、結婚したとたんに「一般人」にならなければいけないという女性だけに科せられた罰のような制度がある。罰のような制度にもかかわらず、女性が皇室にとどまることは“空気”として許されていない。とはいえ一人で勝手に出ていくことは許されず、現実的には男性と結婚することだけが問題を解決する手立てになっているということです。

 そうした眞子内親王と、小室さんの結婚を応援している若い女友だちの話を聞くと、自分の人生を内親王の人生と重ねている女性が少なくないことに驚くと氏は指摘しています。

 「眞子さまには、幸せになってほしいです。私も眞子さまと同じで、結婚しか家を出る方法がありませんでした」そう話す彼女は、ごく普通のイマドキの女性。これは、100年前の話ではなく、今の東京のリアルな状況だということです。

 また、健康に不安を抱えるシングルマザーの母親に育てられたある女性の話。結婚する機会はあったがどの男性も母親が嫌い、ののしり、否定し、一晩の旅行すら許されず結局諦めてきた。今は強い後悔をしている。結婚すればよかった、本当はそれしか母親から離れる機会はなかったと彼女は語ったということです。

 眞子内親王は、旧宮家でもなく、お見合いでもなく、「お家柄」でもなく、誰に勧められたわけでもない一般男性と自らの強い意思で恋愛をした戦後初めてのプリンセスだと北原氏は説明しています。

 そういう女性に、今、日本の若い女性たちが共感を寄せている背景には、この日本を生きる女性たちが沈められている暗い沼の存在がある。内親王の決断は「家を出るため」の唯一の手段に見えるからではないかというのが氏の指摘するところです。

 果たして、結婚の意思を貫くために約1億5000万円の一時金を辞退したり、日本以外の国で暮らすことを選択したりしなければならないこの状況は何なのかと、氏は強く疑問を呈しています。

 小室さんのロン毛。女性の自由と権利を搾取するシステムそのもののおかしさを超越した破壊力。私は初めて、小室さんを好きだと思った。もうこういう破壊力を持つ人しか、日本のプリンセスを自由にできないのかもしれないとこの論考を結ぶ北原氏の指摘を、私も大変興味深く受け止めたところです。



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