MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2196 何かと面倒くさい日常が戻ってきた

2022年07月01日 | 社会・経済

 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の始まりから、既に2年半以上の月日が流れました。日常生活における感染対策はすっかり生活の一部となり、私たちの生活習慣は以前と比べると大変大きく変化しています。

 感染拡大当初は戸惑いも多かった、日常的なマスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、ステイホームといった感染対策ですが、(そうは言っても)これだけ長く続くとすっかり慣れっこになってしまって、なかなか元には戻れないと感じている人も多いかもしれません。

 実際、都市部での新規感染者数が落ち着きを見せるようになってきた昨今、リモートワークに身体も慣れた身には、毎日の出勤を面倒くさく感じているサラリーマンは(きっと)多いことでしょう。

 朝夕の通勤電車も混みあうようになってきたし、身体が慣れていないせいか他人の言動(大声での会話やちょっとした動作、体臭)などが妙に気になったりする。咳払いやくしゃみなどをする人には近づきたくない。できれば3mは離れていたいと思うのは私だけではないでしょう。

 中には、慣れない出社や通学を余儀なくされることで、5月病のような症状に悩む若者なども多いと聞きます。出勤や通学の再開とともに、職場や教室でのコミュニケーションが再び求められるようになった。用事があるときだけ、仕事の内容などだけ、などで済ませ「楽だった」毎日が、ストレスフルな状態に戻ったということでしょうか。

 マスクだって、していればしているで結構楽なもの。ぶつぶつ独り言を言いながら歩いたって(街行く人には)どうせよく聞こえないだろうし、あまり好きではない自分の顔を隠すこともできる。会話の際だって、人に表情を読み取られなければそれなりに神経を使わずに済むというものです。

 なにより良かったのは、夜の付き合いが減ったこと。行きたくもないような(知らない人たちとの)立食パーティーに出かけたり、宴会に招かれたりすることもなく気楽に自宅で夕方から夜の時間を過ごせるというのはなんと素敵なことでしょう。

 「酒を酌み交わす」といった古来の伝統的なコミュニケーションも、無くなってしまえばそれまでのこと。本当に必要だったのか、誰のためにやっていたのかと、改めて感じているところです。

 新型コロナの感染状況に応じて日常を取り戻しつつある昨今、これまで(ウイルスのせいにして)しないで済ませてきた、面倒臭い日常のあれこれまでもが戻りつつある。折角なくても済むことが判ったのだから「そのまま放ってほしい」と願っても、この日本には余計なことをしたがるお節介な人はどうやら多いようです。

 そんなことを考えていた折、6月19日の「週刊女性PRIME」に掲載されていた『コロナを言い訳に断ってきたイヤなこと』と題する記事に、「全国の女性1000人に聞いたTOP5」が挙げられていたので、参考までに紹介しておきたいと思います。

 第5位は51人が挙げた「冠婚葬祭の再開」です。コロナの間は家族内の身内だけで行われていた葬儀やお通夜への参列。高齢化社会の下では、その数も案外馬鹿にはなりません。さらに、「延期されていた結婚式に立て続けに招待され、ご祝儀貧乏に」という人などもいて、影響はそれなりに大きいようです。

 第4位は、男の私などは思わず笑ってしまう「夫の実家に帰省すること」で、102人の女性が挙げています。これは確かに「女性自身」の読者には、鬱陶しくもリアルな問題なのでしょう。

 控えられていた親戚付き合いも徐々に再開。孫の顔を見せたいという夫の気持ちはわからないではないけれど、舅・姑との付き合いはそれなりに気を使うもの。夏休み、お正月とこの2年間はコロナでラッキーでしたが、2年以上も顔を見せなければ、そのぶん(歳をとった)義父母の期待も大きかろうというものです。

 また、「帰省」の面倒くささばかりでなく、「近所に暮らすお出かけ好きの姑を、車で送り迎えしなければならなくなった」という悩ましい声もあったとされています。

 続いて3位は、131人が挙げた「子どもの学校行事が再開」というものでした。これは私にとっては意外な順位でしたが、子どもがらみのお付き合いは、コロナ以前から3位に挙げられるほど日常のストレスになっていたということなのでしょう。

 回答には、「PTAの会合や運動会などのイベント準備が煩わしい」との悲鳴や、(あまりお近づきになりたくない)ママ友との付き合いが再開することへの煩わしさを訴える声が多数残されているということです。

 2位は、占めて191人、全体の約2割の女性が挙げた、「脱マスクでメイクが必要に」なったというものです。これは、(きっと)世の女性にとってはかなり大きなウェートを占めるものなのでしょう。

 そういえば、資生堂などの大手化粧品メーカーでは、昨今口紅の売り上げが大幅に伸びているとのこと。「マスクで隠れるから」と、簡易メイクで済ませていた人も多い中、アイメイクに徹底的に手間暇をかける女性も増えていたと聞きます。

 もはや、マスクをせずに他人に口を見せて歩くのは、「パンツ」を見せたままで道を歩くのと同じだとのたまう女子高生などもいると聞きます。そこまではいかなくとも、口元に自信のない人や肌荒れなどが気になる女性などにとって、マスクはある種の「救い」にもなっていたということでしょう。

 そして栄えある第1位は、(第2位を僅差で上回る)195人が挙げた「職場の同僚や友人との飲み会」の再開でというものでした。これは、(ある意味)私にとっても「ああ、やっぱりな…」という結果です。いろいろあるコロナの恩恵中でも、飲み会がなくなったことに(どこかで)ホッとしていた女性は多かったということでしょう。

 それは裏を返せば、女性にとっての「飲み会」は、以前からそれほどストレスフルなイベントだったということ。相手が誰であれ、「断る理由をいちいち探すのが面倒」と苦労している実態を、世の男性諸氏は十分に理解しておく必要があると改めて感じたところです。

 さて、いずれにしても、通勤電車だけでなく、観光地や道路も好いていて案外快適だったコロナ下の生活も、いよいよ終わりを告げようとしている気配です。

 ポストコロナで世の中が変わるのは、なにもマスク着用の有無ばかりではありません。この際、コロナ下での経験をもとに、生活習慣自体を(本当に必要かどうかといった視点から)改めて見直してみてはどうかと考えるのですが、果たしていかがでしょうか。

 



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