前号では、例題3問題を掲載致しました。
そして、(は)(じ)(き)を使った指導では、錯覚で理解が出来たと思い込んでいる生徒もいると言う事を述べました。
色いろな考え方と能力のある生徒に、[絶対]というものは、無いかも知れませんが、ひとつ言えることは、その単元だけに通用する方策よりも、各単元が繋がりある指導法が、より良いと言える事です。
系統化させる事によって、教える側・教わる側共に、負担感が少なくなり、理解が深まり又容易になる事です。
生徒の[割合]の理解もこれによって定着し、算数嫌いを防ぐ手段が、[繋がり]によって手に入ります。
もうそろそろ、(は)(じ)(き)手放す時期に、来ているのではないでしょうか!
例題(1)(2)を対比させると、よく理解が出来ると思います。
例題(1)では、 1時間平均で20kmの速さで走れる自転車は、3時間走ると、何km進めるでしょうか?
*(は)(じ)(き)での解き方では・・・はやさの(は)20kmを見つけて、じかんの(じ)3時間を見つけて、きょりの(き)を求めます。そして立式して
20kmx3時間=60km 答え 60kmとなります。
*割合(基準値1)での解き方では・・・同一単位2セットを頭において、1時間あたり20km、1時間に対する割合3時間を見つけて、立式すると 20km/1時間x3時間= kmとなります。
割合の位置を見ますと、1時間が3時間に増えている事が分かります。この割合の位置自体、理解出来ていない生徒が、非常に多い事を申し添えておきたいと思います。
単位の関係において、割合部分の横と横の位置関係不変、そして元(基)の単位と答え部分の位置関係不変、この2セットの定理が成り立ち、分かりやすくなりますし、文章問題でも読解力より、数値関係をより重視する指導、即ち算数的思考が多く反映されます。
割合言葉の使用場面を多く採用することによって、抵抗感を減じて理解が進むならば、現状のような、中・高生徒あるいは、社会人をも含めて”わからない”と言う方は、すごく減るのではないでしょうか。
例題(2)では、 1kmを徒歩で平均3時間かかる所を、20km歩けば全部で、何時間かかるでしょうか?
*このような問題は、(は)(じ)(き)で覚えて割合思考が欠けている場合、解けなくなってしまいます。
(は) x (じ) = (き) まず、はやさの(は)を探すでしょう。しかしありません。
次に、じかんの(じ)を探すて゜しょう。すると、3時間と何時間の2種類が出てきて判断に迷いが生じ、さらに、きょりの(き)を見つけるのに、多分20kmを持ってくるでしょう。
このようになると、おそらく式は次のようになると思います。
? x 3時間 = 20km ・・・ 20÷3=???で苦労します。結局誤答です。
わりあいで考える生徒は、次のようになります。
3時間/1kmあたり x 20km= ?時間 割合の定理で簡単です。
このような問題で、(は)(じ)(き)の指導方法と割合を使った指導での整合性は、完全に行き詰まり、質問の出来ない生徒たちは、あやふやなまま上級学年に進んでしまい、社会人にアンケートした時の答えのように、{分からなかった・難しかった・今も自信がありません}と返ってきたものと推測されます。
わたくしは、このような現実を直視して、割合での指導をもっともっと重視して、テクニカル的なものは、思い切って排除するべきだと提案致します。
社会人になれば割合を使う場面が増えて、自然に身についてしまう事もあります。
私の、アンケート調査は、多岐に亘り現役小学5・6年生、卒業された無作為の中・高生・社会人(ガソリンスタンドの従業員・歯医者の歯科衛生士の先生・市役所で受付して頂いた方・証券会社の社員・ご近所の主婦・郵便局の局員・などなど)直接聞き取り方法が、90%でした。
実に多くの方が、割合についての定義が分からず、なんとなくと答える方が殆どであったという現実は、やはり憂慮すべきものと思います。では、今回は、これで!