モジリア

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おじさんが読む「赤毛のアン」

カタクリの花 Ⅱ

2012年05月25日 | 詩も書きます

12・5・25

落葉樹が春を感じ始める・・・少し前、

春に先駆けてカタクリは発芽する。

1年目は松葉のようなひょろひょろとした丸い一本の葉がでる。

楕円形の葉の形が整うのは2年目以降、それも1枚葉、

1枚葉は7、8年続き2枚葉になると花を付ける。

カタクリの花は落葉樹がまだ眠っている時に芽をだし、

葉を広げ光合成をして、落葉樹が生い茂るまでにカタクリの花は活動を終わらせる。

 

あたりが少し暖かくなる彼岸のころ、カタクリは花を咲かせる。

 

北斜面にうつむき加減に咲く花は気温15度ぐらいになるまで開かない。

 

丁度、昆虫が動き出す温度と同じ、

蜂や蝶に蜜のありかを示す蜜標の模様がある。

 

花によってそれぞれ絵柄が違う。受粉を助ける昆虫の目先を楽しませるためかも知れない。

 

うつむき加減に咲くのは姿勢を維持するための養分を節約するためらしい。

 

一週間ぐらいで花は終り、5月になると実が膨らみ種子を散らす。

種子にはアリが好むエライオソームと言われる物質が付着している。

 

アリはカタクリの種子を見つけると好みのエライオソームをその場では食べない、巣に持ち帰る。

アリがその場で食べない、

巣に持ち帰る習性をカタクリは巧みに活用して、種子を広範囲に分布させる。

 

北側斜面の上部まで自生しているのはこの為である。

 

来春まで貯えた栄養分は極力節約する。

そのために夏の温度が上がらない北側斜面を選んでいる。

ほどほどに水分を補給、さらに余計な水分を貯えないで済む斜面の地勢をこれまた巧みに活用している。

 

発芽しても降り積もった落ち葉を持ち上げるほどの力はない。したがって

人が落ち葉掻きをするような里山であることが必要だ。

 

近年のエネルギー事情から里山の落ち葉掻きの必要性は全く失せている。だが、

防災面からも自然林の効用なども叫ばれてきた。

 

カタクリの花は可憐さをアッピールして人々を里山の保全に向かわせている。

 

共存しなければ生きて行けないカタクリの花、

必要とされるものを提供することで生き続けられている。

蜜やエライオソームのような物質だけでなく

 

“可憐さ”という慰めを提供することで環境を整えている。

共存の在り方が問われている今日、

カタクリの花が指し示していることに注目したい。