「待っていた女・渇き 」東 直己
再読。久しぶりに「探偵畝原」20年前の作品だ。
東氏と言えば、「探偵はバーにいる」。
「俺」もいいけど、
不良の「俺」より実直な畝原が私は好きだ。
誤認逮捕で新聞社を解雇されてから
探偵になって細々と生きる畝原と娘。
一つの依頼から様々な事件が起こる。
犯罪の内容は相当にひどい。
しかし、20年前も今も大きくは変わらないと思い知らされる。
読みながら畝原さん、
こんなに理屈っぽかったけ?と思う。
でも、やっぱり、父は強し、そして弱し。
だからとても好感がもてる。
彼は小学生の娘が一人になる時間を作らない。
義姉に、学童保育に、人を雇うなど。
いろんな人の力を借りながら娘を育て
育てるための探偵家業を真面目にする。
お話の中では、こういう場合の子どもは
非常に聞き分けがよくて、
料理もできたりして、
夜中に帰る親を一人で家で待ってたりする。
でも、彼は一人にしない、それがとてもリアルだと思う。
連絡ツールにFAXが登場。
連絡がつながり過ぎて怖い今と
連絡が繋がらなくて怖い20年前。
ダイヤルQ2やテレクラも今はもうないものなぁとか
携帯電話とPHSは繋がらないとか、
その時代を知っているといろいろと思い出すけれど、
そんなこととは全く関係なく
今読んでも面白い作品だ。
待っていた女・渇き (ハルキ文庫) | |
東 直己 | |
角川春樹事務所 |