敏腕サラリーマンの雄哉のもとに
遺産相続の話が舞い込んでくる。
おばあちゃんのお姉さん、大叔母から。
古い洋館。
その洋館には4人の人が気ままに暮らしていた。
さっさと退去してもらおうと思っていたら、
もうひとり、その家の権利者がいた。
そのうちに、
敏腕だったはずの主人公は
あっさりと会社を辞めることになり、
企業に所属しない自分の無力さを思い知る。
主人公の心に変化が訪れ
知らない大叔母を知ることになる。
戦時中の話は苦手だけれど
現代と交互に話が進むので
なんとかセーフ。
弾圧されるなかで自分の意志と貫くことが
難しい時代、
芸術と文学は一番に吊るしあげられる。
そういうのが、辛くて辛くて。
玉青の潔く、力強く、
誰にも屈しない、
その生き方に惚れ惚れする。
女らしくて男前だ。
雄哉の心に波を起こしていく
最後のクライマックスが素晴らしかった。
「政治や戦争から程遠いところにあるのが芸術よ。
弱いから綺麗なの。意味がないからすてきなのよ」
これ、せいちゃんの名言。
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