「線は、僕を描く」砥上裕將
絵を描いたときに「何を言いたいのか」「何を描きたかったのか」と
すぐにわかってしまう、
描きたいことをそのまま描いてある絵ほどつまらないものはない。
と、評されると娘は言う。
短歌を詠んだとき、詠んだそのままの情景だけが浮かぶのは
ただの棒立ちの短歌で面白くないと
私は言われる。
余白というのはそういうことかな、と思っている。
小説もそうだ、すべてを書ききってしまうと
読み手に想像の余地を与えない。
私は、余白に感動し、驚き、恐れ、怒るのだ。
まぁ、そういことが書きたかったのではなかろうかと思った次第。
両親を失った若者が懸命に生きる、
瑞々しさを取り戻していく話は大好き。