「美しい距離」山崎ナオコーラ
とても心に沁み込んだ。
病気の妻を看病する夫の目線で書かれるお話。
「その瞬間を目指して看病しているわけではない」
という一文。
案外、近くない人たちが特に悪気なく
忘れがちなことなのかもしれない。
昨年同僚が夫を亡くしたとき、
私は会ったこともない彼女の夫の気持ちと想い考え、
彼女の気持ちと想いを考え、
何と声をかけていいのかわからなかった。
おそらくそんなこと考えることさえ
余計なお世話だったのだろう。
美しい距離は、
当事者にしか存在しないもの。
「人のセックスを笑うな」が今ひとつあわなかったので、
もう読まないかもと思っていたけれど、
読んでよかった。
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