goo blog サービス終了のお知らせ 

ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【雑記】「産経抄」がクモの糸の人工合成の話/難波先生より

2013-05-28 12:25:46 | 難波紘二先生
 2)同じ「産経」コラム「産経抄」がクモの糸の人工合成の話を書いている。
 先日、メディアが「クモの糸の遺伝子を大腸菌に組み込んで、糸のタンパク質の量産に成功し、クモ糸の衣服を作った」と報じたのを大変興味深く読んだ。


 昔、インスリンはブタや鯨などから抽出したものを用いていた。人工合成できなかったからだ。ヒト型でないので、注射しているうちに抗体ができて、免疫反応がおこった。
 今は、ヒト型インスリン遺伝子を大腸菌に組み込んでつくる。


 クモの糸の研究家、大崎茂芳『クモの糸のミステリー』(中公新書, 2000)を読んでいたので、「彼の名前が記事にでないのはおかしいな」と思っていたら、「産経抄」が取りあげていた。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130527/plc13052703130003-n1.htm

 芥川の「蜘蛛の糸」からはじめて、大崎茂芳の研究の話、クモ糸タンパクの人工合成の話とその応用可能性の話につなげるところまではよいのだが、一転、寺田寅彦の「クモ糸ネットによる敵機からの防空」という話になり、北朝鮮対策につなげる。ちょっと強引な論法だ。


 で、寅彦の原文の起源が問題になる。彼には「天災と国防」という随筆があるから、そこかと思ったが違った。
 「からすうりの花と蛾」(「中央公論」昭和7年10月掲載。『寺田寅彦随筆集3』, 岩波文庫, P.245)というタイトルの随筆に含まれていることがわかった。
 ただその前の6パラグラフ、2ページは、米映画「太平洋爆撃隊」を観て、急降下爆撃機の怖さを知り、重爆撃機の編隊が東京上空を襲った場合、1機が最低1000個の焼夷弾(合計)を投下するから、10機飛んでくれば無効率(川や広場に落ちる率)を50%としても、都内5000箇所に火災が発生する。これを初期消火できないと、大変な被害が出ると指摘している。


 昭和20年3月10日の東京大空襲は、300機くらいのB29がもっと大量の焼夷弾を投下し、周囲を火の壁で囲まれたため、下町の都民は逃げ出すこともできず、蒸し焼きになった。これはさすがの寅彦も予想できていない。


 昔、飛行機の上空浸入を防ぐ防空ネットとか、潜水艦の侵入を防ぐ防潜ネットか、実際に使用されたが、いつの間にか廃れた。
 すでに防弾チョッキには合成高分子が用いられているから、まず利用は警察官や兵士の身を護るジャケットから始まるだろう。
これはあまりコストを考えないで商品化することができる。テロ対策に有効だろう。


 それにしても、核ミサイルをクモの糸で防ぐという発想には驚いた。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【雑記】【福翁】難波先生より | トップ | 【雑記】「原爆は天罰」と書... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事