【新聞報道】1/22の朝刊が、どういうコラムを書くか興味があった。
「産経」はやはり「カスバの女」の出だしの文句「ここは地の果てアルジェリア」を枕にしていた。
遠い国なのに親近感があるのは、この曲のおかげだろう、という。
「地の果て」というのは日本から見ての話で、パリから見れば、さほど遠い土地ではない。
この歌が日本製である証拠だ。
それに引き換え「中国」は日野原重明さんの「新老人の会」の話が枕で、亡くなった高齢者詩人の話。ピンぼけぶりにあきれた。
一面コラム執筆者には、どの新聞社もエースを投入する。そこに知性と教養が必要とされるからだ。
これがエースじゃ、優勝できない広島カープも同然だ。
週末に来た高校社会科教師(社会科に注意)が、「いまや新聞は折り込み広告とTV番組欄のために、購読されている」といっていた。もちろんご本人も、個人ではとっていない。学校の新聞を読んでいるそうだ。
ある時、他校の教師だったかに、「先生は新聞もとっていなんですか」といわれ、
「あなたはまだ新聞なんかとっているんですか」
と切り返したそうだ。
いま、エリート校の高校生が、新聞を読んでいるかどうか、読む際にはどの面を読むか(その順位)について、アンケート調査を依頼している。結果が楽しみだ。
「iPADの達人」(ではないと本人はいうが)が実演してくれたところでは、電子版の新聞なら「ダウンロードし、切り抜き枠を使い、トリミングして、PDFファイルで保存する」ことで簡単に切り抜きができる。(但し四角に切り抜けない「中国」は無理。)
タッチペンを使えば、赤線を引いたり、書き込みもできる。今年はこれに挑戦したいと思うが、切り抜きを脇において、見ながらパソコンに入力するというのも便利だ。
しかし、「ネットがあれば、新聞もテレビも要らない」というのは、近未来に現実になるのは確かだろう。
アルジェリアの報道は「産経カイロ支局」と「共同カイロ支局」のものを読んだが、レベルは前者が上。後者は言い訳がましさが目立つ。
イナメナスには病院があるのだから、都市である。都市全体が立ち入り禁止になったわけではないだろう。
だったら、ジャーナリストはそこに行けば、情報がえられたはずだ。私は60年安保の際には、首相官邸の塀を乗り越えて邸内に飛び下りたくらいだから、もしジャーナリストなら現地入りする。危険はフリーのジャーナリストにおかさせる、というのは卑怯だ。
宮本武蔵「五輪書」を読めば、兵法の極意が書いてある。助かろうと思うと、気がうわずって、敵の弱点が見えなくなる。
「死地」に身をおいてはじめて、「敵の隙」つまり危機を切り抜ける方策が見つかるのである。この方法で、アフリカのエイズ流行地にも調査に行ったし、日本大使館の「立ち入り禁止令」をおかしてスラム街や売春の実態も調べたし、共同墓地に行き新しい死者の数も数えた。
リスク計算ができているから、一度も怖いと思ったことがない。この後で「JICA」に提出した報告書は評価されて、NHK東京が「特別番組」を作るからといって、自宅に取材に来た。池田恵理子さん(「エイズと生きる時代」,岩波新書)がいた頃の話だ。もっとも番組は見ていない。
「日揮」という会社がプラント建設のゼネコンだということは、「産経抄」には書いてあるが「中国」にはない。共同通信社の怠慢だろう。しかも「フィリピン人」は「日揮」の雇いだという。単純労働には現地アルジェリア人を雇うから、これは現場監督として雇われたものではないか。
同じく「産経」シンガポール支局の通信によれば「現地のフィリピン人は26人、うち6人の死亡を確認」とフィリピン外務省が発表したという。生存者中4名は負傷し病院に入院している。また26人は<ほとんど日揮で働いていた>とある。またマレーシア人は2名が死亡、2名が行方不明ともあるが未確認という。人命の尊さに国籍は関係ない。
フィリピン政府に匹敵する報道を望む。
日本の外務省はこの程度の公式発表もできていない。何をやっているんだ。
一部メディアは家族の取材をしている。名簿を政府から入手しているのだ。被害者の実名報道はなぜできないのか。
(1/22夜9時のNHKニュースでは「日揮が氏名公表を拒んでいる」と報道した。それを破るのがメディアの仕事だろうに。)
人質事件は解決するまでは報道しないのが原則だ。しかしもう終わった。なぜ秘密主義に走るのか。
こうしてマスコミはさらに信用を失って行くのだ。
調べれば、ネットで詳しい情報がわかるはずだが、読者はそのヒマがないから、メディアに期待する。
しかし、 この「日揮」とはどういう会社なのか、どういう実績があるのか、メディアはさっぱり報じない。
少なくとも、日本人だけでなくフィリピンやマレーシアの技術者を雇っていて、彼らからも死者が出たのは間違いないだろう。
三井や三菱系のゼネコンなら、氏名は公表する。人質の氏名を公表しないというのは、闇社会ともつながっているのではないか、とつい疑ってしまう。
調べたら、戦前からある「日本揮発油会社」の略称「日揮」を正式社名としたもので、「東証一部上場」とあった。
多くの分野に進出しており、正体は不明だ。NYTによると株価は急激に下がっているようだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/日揮
東証一部の「建設業」には95社が載っており、「日揮」もある。手許にある11/30/2012の新聞に載っている株価は、2,732円。(一部上場企業の業種別構成率を調べた際の新聞が、たまたま残っていた。)
しかし今朝の新聞を見ると2,641円で、大して落ちていない。(前日比:ー72円)
土建業がヤクザとつながっているのは、常識だろう。鈴木智彦『ヤクザと原発』(文藝春秋)という本も出ている。
政府が日揮の「非公表」に応じるのも、政治献金が渡っているからではないか、と疑いたくなる。
ちゃんとした「調査報道」を期待したい。「徹底した報道の検証」を共同配信記事は強調していた。
「産経抄」は「自衛隊派遣ができなかった」と嘆じているが、ミュンヘン・オリンピックの人質事件で、西ドイツ政府はイスラエル特殊部隊の派遣を断った。これがイスラエル選手の大量殺害に通じた。イスラエル特殊部隊なら、もっとうまくやっただろうが、それは結果論だ。
国権の発動である国軍(自衛隊)の介入を、アルジェリア政府が容認するはずがない。米国だって断られたではないか。
火事場泥棒的な我田引水はさけたいものだ。
「産経」はやはり「カスバの女」の出だしの文句「ここは地の果てアルジェリア」を枕にしていた。
遠い国なのに親近感があるのは、この曲のおかげだろう、という。
「地の果て」というのは日本から見ての話で、パリから見れば、さほど遠い土地ではない。
この歌が日本製である証拠だ。
それに引き換え「中国」は日野原重明さんの「新老人の会」の話が枕で、亡くなった高齢者詩人の話。ピンぼけぶりにあきれた。
一面コラム執筆者には、どの新聞社もエースを投入する。そこに知性と教養が必要とされるからだ。
これがエースじゃ、優勝できない広島カープも同然だ。
週末に来た高校社会科教師(社会科に注意)が、「いまや新聞は折り込み広告とTV番組欄のために、購読されている」といっていた。もちろんご本人も、個人ではとっていない。学校の新聞を読んでいるそうだ。
ある時、他校の教師だったかに、「先生は新聞もとっていなんですか」といわれ、
「あなたはまだ新聞なんかとっているんですか」
と切り返したそうだ。
いま、エリート校の高校生が、新聞を読んでいるかどうか、読む際にはどの面を読むか(その順位)について、アンケート調査を依頼している。結果が楽しみだ。
「iPADの達人」(ではないと本人はいうが)が実演してくれたところでは、電子版の新聞なら「ダウンロードし、切り抜き枠を使い、トリミングして、PDFファイルで保存する」ことで簡単に切り抜きができる。(但し四角に切り抜けない「中国」は無理。)
タッチペンを使えば、赤線を引いたり、書き込みもできる。今年はこれに挑戦したいと思うが、切り抜きを脇において、見ながらパソコンに入力するというのも便利だ。
しかし、「ネットがあれば、新聞もテレビも要らない」というのは、近未来に現実になるのは確かだろう。
アルジェリアの報道は「産経カイロ支局」と「共同カイロ支局」のものを読んだが、レベルは前者が上。後者は言い訳がましさが目立つ。
イナメナスには病院があるのだから、都市である。都市全体が立ち入り禁止になったわけではないだろう。
だったら、ジャーナリストはそこに行けば、情報がえられたはずだ。私は60年安保の際には、首相官邸の塀を乗り越えて邸内に飛び下りたくらいだから、もしジャーナリストなら現地入りする。危険はフリーのジャーナリストにおかさせる、というのは卑怯だ。
宮本武蔵「五輪書」を読めば、兵法の極意が書いてある。助かろうと思うと、気がうわずって、敵の弱点が見えなくなる。
「死地」に身をおいてはじめて、「敵の隙」つまり危機を切り抜ける方策が見つかるのである。この方法で、アフリカのエイズ流行地にも調査に行ったし、日本大使館の「立ち入り禁止令」をおかしてスラム街や売春の実態も調べたし、共同墓地に行き新しい死者の数も数えた。
リスク計算ができているから、一度も怖いと思ったことがない。この後で「JICA」に提出した報告書は評価されて、NHK東京が「特別番組」を作るからといって、自宅に取材に来た。池田恵理子さん(「エイズと生きる時代」,岩波新書)がいた頃の話だ。もっとも番組は見ていない。
「日揮」という会社がプラント建設のゼネコンだということは、「産経抄」には書いてあるが「中国」にはない。共同通信社の怠慢だろう。しかも「フィリピン人」は「日揮」の雇いだという。単純労働には現地アルジェリア人を雇うから、これは現場監督として雇われたものではないか。
同じく「産経」シンガポール支局の通信によれば「現地のフィリピン人は26人、うち6人の死亡を確認」とフィリピン外務省が発表したという。生存者中4名は負傷し病院に入院している。また26人は<ほとんど日揮で働いていた>とある。またマレーシア人は2名が死亡、2名が行方不明ともあるが未確認という。人命の尊さに国籍は関係ない。
フィリピン政府に匹敵する報道を望む。
日本の外務省はこの程度の公式発表もできていない。何をやっているんだ。
一部メディアは家族の取材をしている。名簿を政府から入手しているのだ。被害者の実名報道はなぜできないのか。
(1/22夜9時のNHKニュースでは「日揮が氏名公表を拒んでいる」と報道した。それを破るのがメディアの仕事だろうに。)
人質事件は解決するまでは報道しないのが原則だ。しかしもう終わった。なぜ秘密主義に走るのか。
こうしてマスコミはさらに信用を失って行くのだ。
調べれば、ネットで詳しい情報がわかるはずだが、読者はそのヒマがないから、メディアに期待する。
しかし、 この「日揮」とはどういう会社なのか、どういう実績があるのか、メディアはさっぱり報じない。
少なくとも、日本人だけでなくフィリピンやマレーシアの技術者を雇っていて、彼らからも死者が出たのは間違いないだろう。
三井や三菱系のゼネコンなら、氏名は公表する。人質の氏名を公表しないというのは、闇社会ともつながっているのではないか、とつい疑ってしまう。
調べたら、戦前からある「日本揮発油会社」の略称「日揮」を正式社名としたもので、「東証一部上場」とあった。
多くの分野に進出しており、正体は不明だ。NYTによると株価は急激に下がっているようだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/日揮
東証一部の「建設業」には95社が載っており、「日揮」もある。手許にある11/30/2012の新聞に載っている株価は、2,732円。(一部上場企業の業種別構成率を調べた際の新聞が、たまたま残っていた。)
しかし今朝の新聞を見ると2,641円で、大して落ちていない。(前日比:ー72円)
土建業がヤクザとつながっているのは、常識だろう。鈴木智彦『ヤクザと原発』(文藝春秋)という本も出ている。
政府が日揮の「非公表」に応じるのも、政治献金が渡っているからではないか、と疑いたくなる。
ちゃんとした「調査報道」を期待したい。「徹底した報道の検証」を共同配信記事は強調していた。
「産経抄」は「自衛隊派遣ができなかった」と嘆じているが、ミュンヘン・オリンピックの人質事件で、西ドイツ政府はイスラエル特殊部隊の派遣を断った。これがイスラエル選手の大量殺害に通じた。イスラエル特殊部隊なら、もっとうまくやっただろうが、それは結果論だ。
国権の発動である国軍(自衛隊)の介入を、アルジェリア政府が容認するはずがない。米国だって断られたではないか。
火事場泥棒的な我田引水はさけたいものだ。
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