【言葉の問題】「以上と以下」、「未満」は間違いやすい概念である。もともと「以上、以下」は江戸時代に「将軍に会える身分=御目見」を基準として生まれた言葉で、「以(これ)より上」、「以より下」という意味だった。この場合、「以上」には御目見が含まれるが、「以下」には「御目見」が含まれない。
ところが明治以後、年齢や数字の量について、この言葉が使われるようになって混乱が起こった。
「以上」は従来の用法でよいとして、「以下」を数学や法律では「基準値を含み、それより下の値」を意味するようになったからである。数学で「100以下の数値」といえば、「100とそれよりすくない数値」を意味する。法律で「20歳以下」といえば、「20歳とそれより下の年齢」を意味する。「以上」は基準値を含んでいるから、数学の100と年齢の20は、以上にも以下にも含まれることになる。
これでは不都合が生じるので、基準値を片方にしか含めないために、「以下」を「未満」という。「その数に達しないこと」を意味するので、「以下」のもつあいまい性が回避できる。これは「以」という字が一種の「自己言及」であり、このために両義性が生じるのである。
他方、英語では「これより上」はAbove、「これより下」はBelowであり、いずれも基準値を含まない。「Above the earth」云えば、空中か空を意味するし、「Below the earth」云えば「地中」を意味する。この点、英語の方があいまい性が少ない。OverとUnderも同様で、「5歳以上」という場合は「Age 5 and over」という。
「統計学が最強の学問である」という本がベストセラーになっているが、統計の基本は一定の方式に従って数値の処理を行うことにある。だから結果だけ見ても、真偽はわからない。
例えば、5歳階級別の患者年齢分布が、「5歳未満」4例、「5歳以上10歳未満」8例、「10歳以上15歳未満」15例で、うち5例が10歳だったとする。
この数値を「10歳以下」と表記する場合に「17例」とするのは、日本語の「以下」の定義からは間違いでない。しかし「10歳未満」の12例とは大きく異なる。
極端にいえば、「以上」、「以下」を用いるかぎり、区分の境上にある数値は恣意的に二重にカウントできる。
「修復腎移植移植」についての、日本移植学会による「市立宇和島病院25例」の解析結果には、こういうトリックが隠されている。
このため統計数値以前に、「どのようにして数値計算したか」という「計算方式」と「未満」,「以上」という用語の正しい使用が必要になるのである。
ところが明治以後、年齢や数字の量について、この言葉が使われるようになって混乱が起こった。
「以上」は従来の用法でよいとして、「以下」を数学や法律では「基準値を含み、それより下の値」を意味するようになったからである。数学で「100以下の数値」といえば、「100とそれよりすくない数値」を意味する。法律で「20歳以下」といえば、「20歳とそれより下の年齢」を意味する。「以上」は基準値を含んでいるから、数学の100と年齢の20は、以上にも以下にも含まれることになる。
これでは不都合が生じるので、基準値を片方にしか含めないために、「以下」を「未満」という。「その数に達しないこと」を意味するので、「以下」のもつあいまい性が回避できる。これは「以」という字が一種の「自己言及」であり、このために両義性が生じるのである。
他方、英語では「これより上」はAbove、「これより下」はBelowであり、いずれも基準値を含まない。「Above the earth」云えば、空中か空を意味するし、「Below the earth」云えば「地中」を意味する。この点、英語の方があいまい性が少ない。OverとUnderも同様で、「5歳以上」という場合は「Age 5 and over」という。
「統計学が最強の学問である」という本がベストセラーになっているが、統計の基本は一定の方式に従って数値の処理を行うことにある。だから結果だけ見ても、真偽はわからない。
例えば、5歳階級別の患者年齢分布が、「5歳未満」4例、「5歳以上10歳未満」8例、「10歳以上15歳未満」15例で、うち5例が10歳だったとする。
この数値を「10歳以下」と表記する場合に「17例」とするのは、日本語の「以下」の定義からは間違いでない。しかし「10歳未満」の12例とは大きく異なる。
極端にいえば、「以上」、「以下」を用いるかぎり、区分の境上にある数値は恣意的に二重にカウントできる。
「修復腎移植移植」についての、日本移植学会による「市立宇和島病院25例」の解析結果には、こういうトリックが隠されている。
このため統計数値以前に、「どのようにして数値計算したか」という「計算方式」と「未満」,「以上」という用語の正しい使用が必要になるのである。
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