【終りの始まり】原句はフランス語で<Le commencement de la fin>だが、口にした人物とタイミングを忘れた。
ナポレオンがモスクワで敗退したニュースを聞いて、メッテルニッヒか、フーシェか、ギゾーが発した言葉のように思う。
(「Oxford Quotation Dictionary」を見たら、<1812年、ナポレオンがボロジノの合戦で勝ったという通報に接して、宰相タレーランが発した言葉>とあった。彼は、ナポレオンがロシアのクツゾフ将軍の焦土戦略に引き込まれて、冬のモスクワに侵攻し自滅するのを予知していたようだ。
チャーチルはこの名言をよく知っていたので、「エル・アラメインの戦い」で英軍がロンメルの機甲師団を破った後、<これは終りの始まりではなく、始まりの終わりだ>と議会で演説した。)
「修復腎移植」も最近は「毎日」、「愛媛」が()付きながら並列表記してくれるようになった。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101201302206548.html
少しずつ状況は変わりつつある。
ここにきて修復腎移植を支持する重要な資料3点を入手した。
1)ドイツ・デュッセルドルフ市、ハインリッヒ・ハイネ大学病院泌尿器科教授M.ギーシング教授の総説論文:「悪性腫瘍のあるドナー:リスクかチャンスか?」というTransplant. Proc. 44:1782-1785, 2012(6/5/2012電子版)掲載のもの。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Markus+Giessing+Donors+with+malignancies
最近の34本の関連論文をレビューして、「移植用の腎臓は圧倒的に不足しているが、1)死体からの腎臓、2)マージナルドナーからの腎臓、3)ドナー年齢の上限撤廃以外に、4)小径腎がん及び近位(腎臓に近い方)の尿管癌の治療として摘出した腎臓を用いる方法がある、と指摘・提唱している。「瀬戸内グループ」が行った42例の修復腎移植には8例の尿管癌が含まれているが、ギーシングは、Am.J. Transplant.に掲載された万波論文を引用して、肯定的な議論を行っている。
昨年の国際移植学会会長だった、ハイデルベルグ大のG.オペルツ教授は修復腎移植に賛成しているので、これでドイツの移植関係の世論は決まりだろう。
2)EAU(ヨーロッパ泌尿器学会)の「腎移植ガイドライン2010年版」。
http://www.uroweb.org/guidelines/online-guidelines/
この「8.1:ドナー悪性腫瘍のレシピエントへの持ち込み」の箇所に、
<小径腎がんの再発可能性は低いので、レシピエントのインフォームドコンセントをえた後、がんを部分切除した後に、腎移植を行うことができる。>と書いてある(P.73)。
3)「英国移植学会・生体腎移植ドナーのガイドライン2011年版」:
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22456484
「4cm以上のがんのある腎臓は、体外での切除が完璧である場合にのみ移植に使用すべきである。直径1cm以下の悪性腫瘍の場合には、移植に使用できるが、超音波による経過観察が必要である。1cm以上4cm未満のものは、一律に定められず、ケース・バイ・ケースである。まだデータが不十分であることが、ドナーとレシピエントの組について認識されなければいけない。」
と述べている。
「癌の腎臓を移植するなど、禁忌中の禁忌だ」(大島伸一移植学会理事長)などとは、どこにも書いてありません。
日本移植学会の幹部たちは、2006年~2007年にかけて、その5~10年前に欧米のテキストや雑誌に発表された論文に依拠して、「修復腎移植」禁止を唱え、厚労省を動かして保険適用から外してしまった。が、日本からとオーストラリアのニコル教授のよる修復腎移植の論文発表により、欧米のガイドラインそのものが変わってしまったではないか。
学会幹部の論理が首尾一貫したものであるなら、欧米が容認した以上、日本移植学会も容認するのが筋であろう。
いまなお「修復腎移植禁止」を主張するなら、どのような論理構築をするのであろうか。
5月の裁判では証人の選定にはいることが決まった。小川先生のシアトルでの発表も行われる。
そろそろ<終りの始まり>のようである。
ナポレオンがモスクワで敗退したニュースを聞いて、メッテルニッヒか、フーシェか、ギゾーが発した言葉のように思う。
(「Oxford Quotation Dictionary」を見たら、<1812年、ナポレオンがボロジノの合戦で勝ったという通報に接して、宰相タレーランが発した言葉>とあった。彼は、ナポレオンがロシアのクツゾフ将軍の焦土戦略に引き込まれて、冬のモスクワに侵攻し自滅するのを予知していたようだ。
チャーチルはこの名言をよく知っていたので、「エル・アラメインの戦い」で英軍がロンメルの機甲師団を破った後、<これは終りの始まりではなく、始まりの終わりだ>と議会で演説した。)
「修復腎移植」も最近は「毎日」、「愛媛」が()付きながら並列表記してくれるようになった。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101201302206548.html
少しずつ状況は変わりつつある。
ここにきて修復腎移植を支持する重要な資料3点を入手した。
1)ドイツ・デュッセルドルフ市、ハインリッヒ・ハイネ大学病院泌尿器科教授M.ギーシング教授の総説論文:「悪性腫瘍のあるドナー:リスクかチャンスか?」というTransplant. Proc. 44:1782-1785, 2012(6/5/2012電子版)掲載のもの。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Markus+Giessing+Donors+with+malignancies
最近の34本の関連論文をレビューして、「移植用の腎臓は圧倒的に不足しているが、1)死体からの腎臓、2)マージナルドナーからの腎臓、3)ドナー年齢の上限撤廃以外に、4)小径腎がん及び近位(腎臓に近い方)の尿管癌の治療として摘出した腎臓を用いる方法がある、と指摘・提唱している。「瀬戸内グループ」が行った42例の修復腎移植には8例の尿管癌が含まれているが、ギーシングは、Am.J. Transplant.に掲載された万波論文を引用して、肯定的な議論を行っている。
昨年の国際移植学会会長だった、ハイデルベルグ大のG.オペルツ教授は修復腎移植に賛成しているので、これでドイツの移植関係の世論は決まりだろう。
2)EAU(ヨーロッパ泌尿器学会)の「腎移植ガイドライン2010年版」。
http://www.uroweb.org/guidelines/online-guidelines/
この「8.1:ドナー悪性腫瘍のレシピエントへの持ち込み」の箇所に、
<小径腎がんの再発可能性は低いので、レシピエントのインフォームドコンセントをえた後、がんを部分切除した後に、腎移植を行うことができる。>と書いてある(P.73)。
3)「英国移植学会・生体腎移植ドナーのガイドライン2011年版」:
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22456484
「4cm以上のがんのある腎臓は、体外での切除が完璧である場合にのみ移植に使用すべきである。直径1cm以下の悪性腫瘍の場合には、移植に使用できるが、超音波による経過観察が必要である。1cm以上4cm未満のものは、一律に定められず、ケース・バイ・ケースである。まだデータが不十分であることが、ドナーとレシピエントの組について認識されなければいけない。」
と述べている。
「癌の腎臓を移植するなど、禁忌中の禁忌だ」(大島伸一移植学会理事長)などとは、どこにも書いてありません。
日本移植学会の幹部たちは、2006年~2007年にかけて、その5~10年前に欧米のテキストや雑誌に発表された論文に依拠して、「修復腎移植」禁止を唱え、厚労省を動かして保険適用から外してしまった。が、日本からとオーストラリアのニコル教授のよる修復腎移植の論文発表により、欧米のガイドラインそのものが変わってしまったではないか。
学会幹部の論理が首尾一貫したものであるなら、欧米が容認した以上、日本移植学会も容認するのが筋であろう。
いまなお「修復腎移植禁止」を主張するなら、どのような論理構築をするのであろうか。
5月の裁判では証人の選定にはいることが決まった。小川先生のシアトルでの発表も行われる。
そろそろ<終りの始まり>のようである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます