ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【ゴールドファーブ博士】難波先生より

2013-06-24 22:50:43 | 修復腎移植
【ゴールドファーブ博士】去る4月25~28日に札幌で開催された「第101回日本泌尿器科学会」総会で、招待講演を行った米クリーブランド・クリニックのDavid A. Goldfarb博士の講演内容について、北大泌尿器科の森田 研講師がMediPress(メディプレス)に要約記事を書いている。
 http://medipress.jp/columns/column?i=67
 <会場から、病腎移植や修復腎移植についての米国での可能性について質問がありました。実際に米国でも小さな癌のある腎臓が、1個丸ごと摘出されて捨てられているという実態を指摘した質問でした。


 これに対しては、そのような腎臓を利用した移植の成績は悪くはないと思われるが、癌を切除した後の腎臓を移植したことで起こりうる危険性について、移植の際に医師が考える危険性を、患者・家族が十分理解出来るよう説明できるかが、非常に疑問であり、移植を受ける側がその場で正しい判断をすることは困難であるということで、癌を取り除いた後の腎移植は適切ではないとの返答でした。
 移植しないで捨てられる腎臓が一定数あるのは事実でありますが、泌尿器科医が行うべきことは、そうであれば腎部分切除手術を選択することです。
 一方、生体腎移植を希望されてきた方々の術前検査で小さな腎疾病が発見されたために、それを修復してから移植するということは、移植を行う前提が先行しているので許容できます。
 しかし、癌の治療を行う必要が先にある方に、ドナーになって他人への移植を考えることは問題であるとGoldfarb先生は話していました。>

 この質疑応答が実際にあったのかどうか、録音からの起こしによる記事なのか、確認していませんが、過去の彼の論文での主張と比較してこのように答えることはあり得るといえる。以下は私の別の論文要約から:


 「クリーブランド・クリニックの泌尿器科医であるキャンベルとその同僚ゴールドファーブは、ニコル博士の2008年の論文5)に「編集者コメント」を付している。このコメント末尾のパラグラフは以下のようになっている。

 <まとめると、臨床病期T1の腎細胞癌のある腎臓を体外に摘出し、これを切除した後に移植に利用するのは、レシピエントに対して妥当な腫瘍学的および安全上の条件を満たしているように思える。このことはこの手術が無差別にやられてよいということを意味しない。ドナーにとって“最良の治療”が優先されなければならない。死体腎に同様な腫瘍があった場合には、適切なレシピエント選択と十分なインフォームド・コンセントに基づいて実施するのであれば、妥当である。>

 その後、キャンベルとゴールドファーブは2011年の論文29)では医学・生物学的立場からは「修復腎移植」を承認している。彼らの異論は、この方法が濫用されることによる倫理的問題の可能性と、彼らが提唱している「腎部分切除術」普及の妨げになる可能性とにある。

 医学は日進月歩である。すでに2008年にキャンベルとゴールドドファーブらは、修復腎移植を「死体腎については容認」の立場を明らかにし、2011年にはさらに「生体腎についても基本的容認」と態度を変更している。すでに意見を変えた研究者の過去の主張を、日本移植学会が自説を補強する証拠として持ち出すのはフェアーでない。」


 論文で公表されている意見の方が、より「修復腎移植容認」のトーンが強く、札幌での発言は「第三者間の修復腎移植には問題が多い」というトーンが強くなっています。キャンベルとゴールドファーブは、アメリカでの腎がん部分切除論の旗振りですから、腎がん部分切除を主張することで裁判を有利にし、修復腎移植をつぶそうとする日本泌尿器科学会が総会講演に招待したのでしょう。


 その意味で、森田記事にはこれが質疑応答の忠実・中立な要約であるのか、いささか疑問が残りますが、彼も招待者の学会の立場を承知した上での発言であり、筆記者も学会の人間なので聞いた内容を都合のよいように書いた可能性がある。
 会場におられた小川先生かどなたか、この部分の正確度や録音有無について、情報がありましたら、ぜひお知らせくださいませんか。


 これと関連して、前にメルマガで書いた、作家高橋幸春(麻野涼)さんの取材・構成による修復腎移植についての「万波手記」が文藝春秋に掲載されるようです。掲載号はまだ未定ですが、突発事態が起こらなければ来月号の可能性もあります。(都議選の記事が入れば、差し替えになり延びるかもしれない。)
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